卒業パーティーで婚約破棄されましたが、だから何ですか?
特にこれといって内容が無いはなしを書きたかった。
ちゃんと短いです。
「ジュリエッタ!今日この場で第二王子である俺とお前の婚約は破棄する!お前はこれまで俺の愛するリリカを虐げ、数数の嫌がらせをし彼女が男爵令嬢だからと笑いものにしたそうじゃないか!そんな醜悪なお前を王子妃などするわけにはいかないっ!」
「ソウデスカー」
棒読みで感情もなにもない声がただ口から出てくるのは、この国の公爵令嬢であるジュリエッタ・フォン・アク―ジョだ。アクージョ公爵家の長女でつい数分前まで第二王子の婚約者だった。
「相変わらず愛想のない女だな!泣いて許しを請えば温情をかけてやろうとおもっていたっていうのに、頭が悪い。」
「ニタニタ気持ち悪い顔で頭をトントンする仕草が最高に気分悪くてゲロはきそうですわ。」
「はぁ!?」
「あらやだ~。うふふ、つい心の声が漏れてしまいましたわぁ。…はい、愛想を振りまきました。これでいいですか?」
スンっと無表情に戻って笑顔を引っ込める。
「おまっお前!どこまで俺を馬鹿にすれば気が済むんだ!!!」
「いや、馬鹿を馬鹿にするのって当たり前でしょう。だって第二王子殿下ってバカじゃないですか。」
「俺の!声に!被せるように云うな!大体俺のどこが馬鹿だって言うんだ!自分で言うのも何だが学業の成績は優秀だし剣術も得意だし人望だってあるから学園の生徒会長も務めているこの俺だぞ!?」
「でも常識が無い馬鹿じゃないですか。確かに勉学は優秀ですね。剣術の才もあり魔法だってお得意でです。けれど人徳って(笑)学園の生徒会長は在学中の生徒の中で最も身分が高いものがなるというだけですわ。貴族ですもの身分が高いものが下のものを導くのは当たり前のこと。それから、殿下がお馬鹿な理由ですがそこの男爵令嬢と恋仲になったからです。」
「はっ!そうやって身分差をあげつらったところで公爵令嬢という身分でしか勝てないくせに。みっともないなっ!」
「貴族社会での身分制度は絶対ですよ。」
「馬鹿馬鹿しい。たとえ男爵令嬢であってもリリカは心根の優しい素晴らしい女性だ。お前とは比べ物にならん。」
「そんな直ぐに男に股を開く女と比べられたくありませんので、比べないでくてありがとうございます。」
「淑女にあるまじき発言だぞ!?破廉恥だ!」
「ですが彼女、リリカ・ハネ・ヒロイーンナーノ男爵令嬢は数多の令息に色仕掛けをしてまわってることは有名ですよ。」
「その噂はお前が流したものだろうが!」
「いえ、事実です。彼女と肉体関係を持ち婚約が破談になった令息もいれば謹慎処分になった令息も居るじゃないですか。」
「んな!?そんなの嘘だ!」
「別に彼女が誰とどうなろうとどうでもいいですし、殿方か性欲を持て余しているのを我慢するのも不健康なことですから発散する分には構いませんのよ。それに本番で失敗するよりはある程度経験を積んでもらった方が女としては安心もしますし。ただ相手が未婚の貴族令嬢というのが問題なだけでしてね。」
まさか男性向けエロエロ官能小説みたいにいつでもどこでもヤラセてくれる女の子がいるとか、不道徳の極みだよ。
ニッコリ笑顔で、困った子を見るようなまなざしを王子におくる。
「しかも関係を持った男子生徒のお家に金銭を集ったり脅したりするようなのは、…ねぇ?ヒローインナーノ男爵の美人局に引っかかっちゃう殿下は馬鹿でしょう。」
「そんなことはない!リリカ嬢は確かに処女だった!ちゃんと血も出てた!でも俺の愛で痛くとも耐えられたし気持ち良かったって、そうだよな?」
自分の腕の中のリリカ嬢に確認すんなし。
しかも性処理として割り切るのではなく恋しちゃうとか…脳味噌花畑か。ヤッたらわかるだろが。処女が突っ込まれて「ぁんっアン!キモチい…!」ってなるわけねーだろがい。普通に破瓜の痛みに怯えながら初夜を迎えるんだわこっちはよ。その為の閨教育だっての。
(おっと危ない。心の声がまたお漏らししそうになってたわ。)
扇でぐっと口を押さえておかないといけないわね。
「それでは肉体関係があったことをお認めになるのですね。」
「あっ…あぁ!そうだ!彼女こそ俺の伴侶に相応しい素晴らしい女性だ。お前なんかと違ってなっ」
「あら、それは婚約宣言ですの?」
「そうだ婚約宣言、いいや!もうリリカ嬢としか結婚しないのだから結婚宣言だ!」
「まぁ!なんと喜ばしいこと!」
「………お前が祝福するのか?」
「えぇ、えぇ!本当におめでとうございますわ。これから頑張ってくださいねヒロイーンナーノ小男爵様。」
「うん?小男爵??それだと俺がヒロイーンナーノ男爵の跡取りみたいになるぞ?」
「そうですよ?だってヒロイーンナーノ男爵令嬢は一人娘ですもの。そもそもわたくしとの婚約だって婿入り婚約だったではありませんか。次代の王は王太子殿下ですが、正当な血筋の弟王子は他にもいらっしゃいますわよね。ですから憂いなく男爵家に婿入りなさればよろしいわ。」
「ちょっと待ってよ!え?私の家に婿入り?なんで?私は王子妃になるんじゃないの!?」
「あら、初めて言葉を交わしますわねヒロイーンナーノ男爵令嬢。ごきげんよう。ですが、高位の貴族の声掛けを待たずに話しかけるのはマナー違反ですわよ。今後気をつけてくださいね。」
「学園は平等を重んじているのにどうしてですかっ」
「あら、もう卒業したでしょう?なにをおっしゃるの。」
「っあ、…そういえば、…でも!」
「卒業パーティーは門出を祝う場。おあつらえ向きですわね?」
おほほ、と微笑んでまわりの群衆を見渡す。
「さぁ!皆さまでこの身分を厭わない真実の愛を貫くお二人の門出を祝福いいたしましょう!」
パチパチパチと乾いた拍手がまばらに聞こえる。
まぁそりゃそうだ。一体何を見せられているのか戸惑って仕方ないだろうし。
「ま、まて…えぇっと?…どういうことだ??」
「どういうことも何も、お祝いでしょう。ご成婚おめでとうございます。貴方は第二王子ではありますが母たる側妃様は平民の出。その身分を補うためにヘーレクイン侯爵家の養女になり生家と縁を切って貴族になりその身一つで王に輿入れなさいました。無謀とも言える勇気ある決断をなさった尊い女性です。けれども血は別です。王の寵愛深くとも第二王子の王位継承権は最下位。それでも最高の教育環境ではあったでしょうに。王妃様と側妃様は仲が良かったと聞いておりますから、側妃様が亡くなった後も王妃様は義理息子の貴方ために位の高い婿入り先に私との婚約を整えましたのに、ね。」
立場の危うい王子とは、そういうものだ。
よりよい婿入り先にて位を保つか本人の実力で功績を立てるか、独身のまま王籍に残るかしか方法がない。
「俺は第二王子だ!王族だ!」
「はい、そうですね。だから、何なんです?」
「へ?王族なんだぞ!?」
「でも男爵令嬢との結婚宣言をした時点で小男爵になりました。王族だったときの宣言は覆りませんよ。それに王家の血筋という意味での王族であるなら、わたくしも王族に名を連ねております。」
祖父が同じ先王という従兄弟同士なのだから。あなたの父が国王で私の父は降婿した王弟だということをお忘れなのかしらね。
そうやって公爵家は王家のスペアとして血を濃くも薄くもせずに王家に次ぐ責任と権力を保っているというのに。
(だからこそ片親が平民の娘だった第二王子の降婿先にと我が家が選ばれたんじゃないの。)
それなのに卒業パーティーという衆人環視がある場でのこの茶番でもあるのだ。なかったことにはもう出来ない。
ほんの数分前と今で立場が変わるのは王侯貴族にはままあることだ。ほんの一瞬の油断、それだけですべてを失うことも。
そんな予断ない責任は重い生き方をしなければならないのだから享受する対価が大きいのも貴族として当然のこと。っていうね。
「俺が…男爵…?」
「嫌だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
呆然とする元第二王子の隣で、真実の愛を貫いた対価の恋人は絶叫している。
ははっ、なにこれ笑える。
ちょっとだけ考えて行動していればこうはならなかったのに、馬鹿だわね。
王子は父王がやったように生母と同じように恋人を高位貴族の養女にするとかしていればどうにかなってた。見本があったのに何でやらなかったのかしら。王族と縁を繋ぎたい家なんて幾らでもあったはずなのにお勉強が出来ても応用が出来なければ意味がないわ。
―――――後日、第二王子のヒロイーンナーノ男爵家へ降婿が決まった。
そのことに側妃様の依親になっていた侯爵はなにも異を唱えなかった。
それはそうでしょうね。
だってそもそも王家の血統主義の王族寄りの臣下だもの。むしろそうでなければ依親など引き受けないわ。
貴族主義の派閥は平民の血が入ることに激しく反対しますものね。
(そう考えると、やっぱり元第二王子殿下は哀れな人だわね。)
彼はいわば王の恋心に翻弄された王子だ。
平民を側妃に娶り寵愛したいが為に、王は、かなりの不都合を捻じ曲げた。結果としてこうなってしまっただけのはなしよ。
もちろん側妃さまに非はないわ。たったひとつの愛を信じて身一つで別世界に身を投じたのですもの。王妃様だって王の我儘に付き合って別腹の子を我が子と分け隔てなく育てられた懐の深いお方だわ。
というか、そうでなければいけないのが王妃でもあるのよね。
私は王妃教育も王子妃教育もうけたことはないけれど、公爵家令嬢としてある程度のことは知っているし、父が先王の別腹の王子だったことや歴代の系譜において王が側室や側妃といった後宮ハーレムを持つことに嫌悪感はない。
(王妃は子を一人でも産めまなくとも資質があるからこその王妃よ。)
出産は命懸けだと聞くわ。ならばそんなリスクを背負うのはフェアじゃない。だって王妃は守られて幸せに暮らすだけでは務まらない存在だもの。
むしろ子を産むという役割は他に任せた方がいいのよ。
だからこそ王妃様は側妃さまのお子も我が子同然に愛せるのでしょう?
まして元平民の側妃さまの後ろ盾にもなっていたと聞いているわ。親友のように、姉妹のように。
そんなにも整った生育環境であったから優秀になれたのに、性根がアレじゃぁね…。
元第二王子殿下は、どうやら生母の「真の愛に身を投じる」という、美談的な性格が強く遺伝してしまったようだ。
あははははは。
おわり。
追申、
ちなみにわたしは近隣国の第七王子との婚約が調いました。いわゆる人質婚です。
おもいきり政略婚なあげく相手は赤ん坊です。国に利益があるのでやりますし、愛人を作って子を成しても良いそうなので実質養子みたいなもんですが、我が子同然に愛し愛国心溢れる子に育てる所存でございます。
(やっほーい!恋人とこのままいてもいいって確約を掴んだわよっ)
あのアホ第二王子は知らんかったようだけど自分だけが恋人といちゃついてるなんて思い上がりよ。
そもそもお前のことなんか愛してねぇから。←
専属執事との恋なんて最悪一時の熱病で済まされるか秘めた恋のまま心に抱えるプラトニックなままになるはずだったのがあのアホのやらかしで私の大勝利になったわ。
もちろんそれでも婚姻が出来ないことはわかっている。
だけど恋人との子は産める。なんてったって夫となる相手はまだ赤ん坊だからね。
一人娘の私が夫の成長を待っていたら適齢期を過ぎることは目に見えている場合は特例としてそういう許可が下りるし。
(国としても人質の血を国内に繋げたくないからそういう意味でも私を選んだのでしょうしね。)
政とはそういうものだ。
だから私の公爵家の娘としての役割は、名義上の夫を我が子として慈しみ愛し我が子と分け隔てなく平等に育てて愛国心溢れる大人に育てること。
まぁ、もし私に子が授からなくとも王家のハーレムから降家する王族なんてごまんといるでしょう。
そういう血筋を養子として受け入れることもまた公爵家の役目ですから問題はないわ。
しょうもないはなしを最後まで読んでいただきありがとうございます!(^▽^)/
んで、やっぱりどうにも返信する時間を捻出できませんのでコメント欄は閉じさせていただきます。陳謝。
読書いただけただけでありがたいです(o^―^o)ニコ
またどこかで会える魔法をかけまーす!
ありがとうございました!(o_ _)o))ボわワヮヮヮァア=3念。




