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東京都蠱毒区  作者: 結城 からく


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2/2

後編

 贄子とマンションを出て、崩壊した大通りを進む。

 さっそく大勢の殺人鬼が殺到してくるも、すべて贄子のミサイルと機関銃で粉砕された。

 飛び散る鮮血と肉片を浴びながら、彼女は悪役のような高笑いを披露する。


「はーっはっはっはっは! 脆い……あまりにも脆い! 悔しけりゃあたしをぶっ殺してみろォ!」


 挑発に乗った者達が追加でやってくるが、やはり爆撃と銃撃で死んだ。

 贄子はますます上機嫌になって闊歩する。


(能力のキレが増している……どれだけ殺したんだ)


 贄子は虚空から兵器を生み出す。

 さらにそれらを自在に操作することができる。

 シンプルながらも強力な能力だ。

 連発すると疲れるらしいが、こいつは体力バカなので欠点を踏み倒していた。


 俺は彼女の後を追いながら尋ねる。


「今日の仕事は?」


「巨人討伐だ! 蠱毒区の外に自動車を投げてるらしくてな! 問題なのが飛距離だ!」


「そんなに遠くまで投げ飛ばすのか」


「平均三百キロメートルで、調子が良いと五百キロメートルらしい!」


 最長で東京から近畿地方まで届くというわけだ。

 それは確かに馬鹿げたパワーである。


「区外でとんでもない被害が出てるから、あたし達に倒してほしいそうだ!」


「わかった。巨人の居場所は……聞くまでもないな」


 俺は立ち止まって前方に注目する。

 放置車両を拾って団子のように丸めるのは、全長二十メートルほどの巨人だった。


 贄子はすかさず巨人を指差して宣戦布告する。


「ターゲット発見! 死ねェッ!」


 無数のミサイルが巨人に炸裂した。

 轟音と共に炎と黒煙が撒き散らされる。

 巨人の体表が焦げているが、致命傷には至っていないようだ。

 贄子は次々と銃弾やミサイルを叩き込むも、巨人が動きを止めることはない。

 それどころか俺達に向けて自動車を投げつけようとしている。


「クソ! 火力が足りねえ! 宍戸、頼む!」


「わかった」


 俺は巨人に向けて手をかざす。

 その瞬間、巨人が全身から血を噴き出して倒れた。

 白目を剥いて痙攣し、やがて動かなくなる。


 今のは幻覚の一種だ。

 これまでに俺が受けた負傷の痛みをまとめて追体験させたのである。

 凄まじい苦痛が情報となって巨人を襲い、キャパオーバーを引き起こして脳を壊したのだった。


 巨人の死体を見て、贄子は満足そうに万歳する。


「よし、今日の仕事は終わり! 飲み会行くぞ! この近所にもんじゃ焼きが名物の店があるんだ!」


「あそこは潰れた。誰かが店を燃やしたらしい」


「何ぃッ!? けしからん奴がいるもんだな! 今すぐぶっ殺しに行くぞ!」


 贄子に引きずられるようにして俺は蠱毒区の中心を突き進む。

 今日はまだ休めそうにないようだった。

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