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現世との別れ

「ほら今日の分だ重蔵たくさん食べろよ」

頬をポンポンと軽く叩く。


もちろん返事は返ってこないが、嬉しそうにご飯を長い鼻を器用に使い、餌を食べる姿をみれるだけで、十分だ。


俺は三鷹龍馬、とある動物園で、飼育員をしている。


俺の担当はゾウ、重蔵の他に3匹の世話を見ている。


重蔵にご飯をあげていると、他のゾウが俺にもよこせと擦り寄ってくる。


「わかったわかったすぐに取ってく…」


みんなの餌を取りに行こうとして後ろにターンしたのだが、その行動の間違いにすぐに気づいた。


踏み出した先はお客様とゾウ達を隔てる、小堀だった。


そこに俺は頭から落ちる。


ドスンと鈍い音、頭から温かい液体が、流れ出てくる。


お客様の悲鳴が鳴り響く。

それに気づいた同僚達が駆けつけてくる。


「誰か救急車呼べ!早く!」

「おい三鷹!しっかりしろ三鷹!」


2人が駆け寄ってきたがもう自分が助からない事は自分がよくわかっていた。


当たりどころが悪かったな、多分頭から垂直に落ちてしまった。


どんどん意識が朦朧になってくる。


そんな意識の中最後に見たのは、重蔵達が助けようと、鼻を伸ばして、こちらに向けていた光景が見えた。


ごめんまだご飯あげてないのになごめんな


その後すぐに気を失った。


もう一生目を覚ます事は無いんだろうと無意識のうちに悟っていた。



―――――――――――――――



しかし驚く事に目が覚めた。

もう意識は戻らないと思っていたので、目が覚めた事が少しばかり嬉しかった。


しかし、ここはもう自分が生きていた時代では無い。

そう瞬時に思った。


なぜならば自分がいる場所が雲の上にある畳の上だった。


畳の上にはちゃぶ台と、2つのお茶、そして80代くらいだろうか、髪はなく、ヒゲが胸辺りまで伸びているお爺ちゃんが座っていた。


「うおぅ」

驚いて飛び起きる。


「すまんの、驚かせてしまった」


びっくりしすぎて声が出ない、俺は死んだのか?ならここは天国?どこだ?


「そんな警戒しなくても良いぞ、とりあえずそこに座るが良い」


そう促され、おじいさんの対面に座る。


「それで、ここはどこですか?さらにあなたは誰なんですか?」


「そうじゃな話すとするかの」

「はい、お願いします」

「とりあえずお前さんは死んでしまった。よってここに魂だけ転送されている状態じゃ」

「やっぱり俺は死んだんですね…」


やっぱり面と向かって言われるとかなり心にくるな


「すまんな酷なことだが受け入れてほしい。それでここは扉じゃ」

「扉?」

想像の斜め上の回答返ってきた。


「そう、世界と世界を繋ぐ扉じゃ、そしてわしはここの地球発の扉の管理人、お主らの言葉で言うところの神様じゃな」

「神様!?すっ、すみません何も知らず失礼な真似を」


正座しながら頭を下げる。


「そんな畏まらなくて良い良い、対等に話してくれ」

「は、はいありがとうございます」


下げていた頭を上げる。そして、もう一つ聞きたい事を尋ねる。


「扉というのはどういう所なんでしょうか?」

「簡単に言うと地球と異世界を繋ぐところじゃな」

「なるほど…」


正直色々な事が起こりすぎて状況が理解しきれていない。俺は俺からどうすれば良いんだろうか。取り敢えず聞いてみる。


「俺はこれからどうなるんですか?」

「死んでしまった以上もう地球に返す事はできん。天国に行くってダラダラと過ごすか…もしくは」

「もしくは?」

「異世界にいくかじゃな」


いっ、異世界だと!?そんなもの架空のものだと思ったいたから、いまいち実感が湧かない。


しかし、天国に行って暇するくらいなら異世界にだって言ってやろうじゃないか!


「じゃあ異世界に行きます」

「了解じゃ、すぐに準備するからそこで待っとれ」


そういうとか神様は立ち上がり、畳に何かを書き始める。


初めは何を書いているかわからなかったが、書かれて行くうちに全容が明らかになった。


魔法陣だ異世界に転送するのに必要なんだろう。


「準備完了じゃ、ここの上に立ってくれ」

「はい」


促されるまま魔法陣の上に、立つ。


「ではこれからお主を異世界に送る。困らないように、ある程度のお金と読み書き、能力を授けておく。それでは頑張るのじゃよ」

「ありがとうございます。それでは」


視界が発光して白くなって行く。


次に目を開けた時目の前には自分の知らない世界が広がっていた。






お読みくださりありがとうございます。

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