表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/20

人外変身!


「ナルシ……だっけ。随分な名前を付けてもらったじゃん。よかったね?」


 ニヤニヤと挑発的な笑みを浮かべるロド。

 ナルシはボロボロになった腕をおさえながら睨む。


「……あんずをかえせよ」


「家に? ……それとも、君のところに?」


「家に決まってんだろ……」


 ナルシはどこか試すような表情のロドに呆れながらも答える。


 俺と一緒にいて、あんずになんの得がある。

 そんな自嘲が含まれた声色だった。


「……君は偉いね」


 ロドの声。

 お世辞の賞賛ではなかった。


「偉いって、何が」


 空気を読まず追求するナルシにやば、と口を抑えるロド。


 それでも静かに待つナルシを見て、仕方なく続ける。


「……僕らの中で一番あの子を大切に思ってるのにさぁ」


 ロドは拗ねたように、羨ましがるように言い放つ。


 それを聞いたナルシは一瞬驚いたような表情になる。


「だからこそだろ」


「……あはは……そう……」


 手をかざすロド。


 骸骨と人体模型がまたガチャガチャと動き出すのを見て、ナルシはしかめっ面になる。


「それ怖いからやめて欲しいんだけど」


「はぁ?」


 ナルシの率直すぎる要望にロドは呆れる。


「……じゃあやめるって言うわけなくない?」


「お前ならワンチャンあるかなって」


「ないよ。苦手そうだからこれ出してんの」


「最悪!」


 ナルシは悪態をつきながら腕に力を入れる。


「いっ……」


 あまりの痛みに小さく悲鳴をあげるナルシ。


 ロドは苦笑する。


「ほら、手そんなんなんだからもうやめなよ。目ももうほとんど見えてないでしょ」


 宥めるような優しい声。

 ナルシは内頬を噛む。


(イライラする。いつもはこんなのじゃないから、特に……)


 そういえば、とナルシの動きが止まる。


 ピーアもどこかおかしかった。

 ナルシはじっとロドを見つめる。


「……? 諦める気になった?」


 相変わらずのいやな笑顔。


(……こんな顔、してたっけ。前はもっと……)


 考えようとして、止める。


 もうどうしようもないとこまで来ちゃったし、考えても意味が無い。


 ナルシは溜息をつき、もう一度腕に力を入れる。


「……そうだね」


「え」


 手で目を覆うナルシ。


 訝しげにその動作を見ていたロドは、数秒置いてナルシのしようとしていることに気づき青ざめる。


「待て! そんなことしなくても」


 バシュッという鈍い音。


 後頭部から赤いリボンが覗く。


「うわ……」


 ドン引きのロドの声。


 ナルシは目からゆっくり手を離す。


 ズルズルと赤くて黒すぎるリボンが瞳から引き抜かれていく。


 そのまま両腕を胸の前で伸ばし、自らの手と手を繋ぐ。


 ダン! と足で地面を蹴ると物凄いスピードでリボンが現れる。


 速度を落とすことなくナルシの頭上まで来て急降下。


 ドシャ、と重くてかたいなにかが落ちた音。


「ぅえっ……グロ……」


 口元をおさえて後ずさるロドに、ナルシは呆れる。


「似たようなことやっただろ」


「限度があるだろ!」


 ナルシは答えない。


 床に落ちた腕はリボンとなり消えてしまった。


 瞳と腕をカバーするようにリボンが巻き付く。

 リボンはだんだんと腕の形になっていく。


 パチン、と拍手。

 リボンが解ける。


 そこにはなんの傷もない腕があった。

 ナルシは治ったばかりの腕で目のリボンを取る。


 いつも通りの赤色の瞳が煌めく。


「変身完了! ……なんちゃって」


 ピースをしてみせるナルシ。

 ロドは青ざめた表情のままだ。


「……僕、君が一番マシだと思ってたけど……違ったようだね」


「一番正しい選択をしてるだけ。お前らがおかしいの。……さ、やろ」


 ロドの言葉にナルシは淡々と言い返す。


 もう話し合いはしない、という態度にロドは俯く。


「そう……」


 数秒経って顔を上げるロド。


 殺意のこもった瞳だった。


「……うん。そうだね。どうせ、話しても無駄だ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ