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プロローグ


 間近に迫るトラックを見て、「あ、これ死ぬな」と他人事のように思った。


 まだ、まだあの子を守れてないのに。何も返せていないのに。


 突き飛ばしたランドセルが目に焼き付いて離れない。


 表情は見えなかった。


 あの子は何を思っただろう。怒っているかな。そうだといいな。

 ずっと許されない方がまだマシだ。


(……頼むから、)


 今までに聞いたことがないような鈍い音と、浮遊感。


 思考が感情に追いつけない。


 もう、何も考えられないようだ。



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