海ほたる迷宮2 迷宮カードをゲットした!
バスを降りると目の前に迷宮庁の管理施設がある。
二階建ての事務的な建物だ。
入口に入って右手へいけば迷宮へと至る。
左側はレストラン・ファ○マ・ショップが並ぶ。
いつものように僕はファ◯マでいろいろ購入する。
本日はこれだけ購入した。
U.F.O.濃い濃いモンスター焼そばパン
塩バターパン(あん&マーガリン)
たっぷりクリームのダブルシュー
野菜と食べる!台湾まぜそば風サラダ
三田製麺所監修 つけ麺 風肉まん
飲むヨーグルト九百g。
朝食は済ませてきたんだけど、すでにお腹が空いていた。
僕は十五歳なんだ。
さらに迷宮で肉体が強化された結果、1日で最低五千キロカロリーの摂取を必要としていた。
これでも足りないぐらいなんだ。
「ジークはまず国産鶏のサラダチキンスモークだな?」
『(基本だにゃ)』
ジークの大のお気に入りだ。
「あとは?」
『(スパイス香る!ロースかつカレー。ザクじゃがクリスピーチキン。麦チョコ。ドリンクはファ◯マの牛乳。五百mlにゃ)』
あ、猫だけど、塩とか関係ない。
人間の食べ物も遠慮なく食べている。
病気とは無縁なんだ。
あと、従魔たちにもいくつか。
好みを聞いて購入する。
ジークと従魔たちは飲食が不要だ。
ペットフードは家で食べてるふりだけ。
でも、嗜好品としていろいろ要求してくる。
ファ◯マのパンはコンビニの中で一番好きだ。
でも、最近値段が上がってきた。
それと、サイズが小さくなってきたように感じる。
あと、コンビニの外にある自販機群。
その一台にチェ○オがあって、僕はいつもメロンクリームソーダを頼む
他にも、関西のサン○リアがひっそりと進出している。
ジークたちはみっ○ちゅじゅーちゅが大好きだ。
さて、購入した商品はこっそりとマジックバッグに放り込んで。
あとでフードコートで食べる。
ここは弁当持ち込みも可能な半分フリースペースだ。
ジークと従魔は椅子の上でこっそりと食べてもらう。
もちろん、忘れてないよ。
「はい、チュ○ル」
当然のように受け取るジーク。
従魔もいっちょ前に一人一本要求してくるんだ。
このマジックバッグ。
日本で所有しているのは僕だけかもしれない。
噂を聞いたことがない。
冗談ではなく流通など様々な分野に巨大な影響を与える魔道具だから、ものがあれば大ニュースになるはずだ。
秘匿されているのかもしれないが。
ジークが魔導具師だからできる芸当だ。
迷宮からは時々、魔道具の作り方という巻物が手に入る。
大抵は攻撃魔法の魔道具だ。
多くの優秀な魔道具は日本軍が所有している。
日本軍は富士山に専用の迷宮をもっている。
攻略最深度は二十階だ。
去年の暮に攻略した。
詳細はわからないけど。
一般人シーカーも魔道具をもっている。
汎用品ならば普通に売っているからね。
この魔道具の良し悪しが迷宮攻略の可否を大きく左右する。
ちなみに、ほとんどの魔道具は迷宮の中でのみ機能する。
マジックバッグは迷宮外でも使える。
魔素をほとんど使用しないからだという。
迷宮外でも僅かな魔素が漂っているが、マジックバッグはそれで十分らしい。
魔道具は非常に高い。
簡単なファイアボールの魔道具でも十万円以上する。
高価なものだと、平気で一千万円を越えてくる。
上は天上知らずだって話だ。
仮にマジックバッグが販売されたら。
容量無制限だとしたら、間違いなく億の値札がつく。
それも一桁じゃない。
例えば、港へ行くと大きな倉庫がいくつも並んでいる。
あれがバッグ一つに置き換わる。
大きな原油運搬タンカー。
あれがバッグ一つに置き換わる。
ただ、容量無制限って言ったけど、容量には何らかの制約があるようだ。
ある程度に至ると収まりが悪くなってくるらしい。
その限界は桁違いに大容量ってことだけどね。
魔道具なしでは攻略は非常に難しい。
だから、みんな無理して魔道具を購入する。
初級攻撃魔道具と初級防御魔道具のセットだ。
それでも三十万円ぐらいする。
真面目に活動していれば1ヶ月でペイ可能だ。
だから、不平をこぼしながらも購入していく。
普通の剣とかでもできないことはない。
地下三階の敵は慣れればサクサク討伐できる。
最大の敵が角ウサギなんだ。
それもソロでしか出現しない。
でも、地下四階では難しい。
三階の敵が集団で出てくる。
地下五階はまずムリ。
強化された熊を相手に剣でどう戦うんだ? って話だ。
多少ステータスが上がったぐらいでは話にならない。
張り手一発で首から上が飛んでいく。
だから、お金のない人は地下三階でお金を貯めて魔道具を購入する。
そうでないと、いつまでたっても地下三階から先に進めないし、三階でだって怪我する危険性が高い。
その魔道具をジークが作ってくれる。
もちろん、表には出せない。
日本というか、世界的に魔導具師は数が少ない。
日本だと百人強だって言われている。
たいていは初級魔導師でまさしく初級魔法を魔道具に付与している。
それより上は中級ときて上級魔導師がいる。
『マスター』って呼ばれる人たちもいる。
上級魔導師以上の人たちだ。
日本では数名しかいない。
◇
さて、迷宮管理施設の右側に行き、免許(迷宮カード)発行を申請する。
免許発行は土日の場合八時から夕方六時までだ。
窓口は五ヶ所ある。
本日は土曜日だから、五つの窓口はフル稼働になる。
それでも混雑時はかなり待たされる。
数時間待ち、ということもあるんだ。
僕は早朝に整理券をゲットしたので、すぐに僕の番になった。
「迷宮カード、申し込みは簡単で拍子抜けしたよ」
『(身分証明書を見せて申込書と申込料千円を提出するだけだからにゃ)』
「そのあと、講習が十時からあって、簡単な体力測定テストをして終わり」
他にも講習は十三時、十五時、十八時から選択できる。
『(でも、早く来て正解だったにゃ)』
「だね。窓口の前は混雑し始めてるもんな」
この混雑は十時の講習を受ける当たりでピークに達し、そのまま夕方まで事務所内はごった返した。
◇
「やったぞ、ジーク。G級カードだ」
迷宮カードは迷宮でのレベルを表示してくれる不思議カードだ。
一種の魔道具なのである。
これは世界迷宮機構共通のクラスをも表示できるようになっている。
レベル・クラスについてはあとで説明することもあるだろう。
『(ステータスオープンはやってみたかにゃ?)』
「そういや、そうだな。『ステータスオープン』。お、表示されたぞ。レベル五十四」
三十階をクリアした時はレベル五十六になった。
でも二ヶ月だらけていたら、二つもレベルが下がった。
レベル五十四がどの程度のランクなのかはよくわからない。
迷宮三十階をクリアできる程度なんだけど。
日本軍の人たちが二十階攻略したっていうから、結構やるとは思っている。
でも、僕自身の力というわけではない。
ジークと従魔三体がいるから。
彼らは超強力なんだ。
『(あと、電子マネーカードとしても使えるらしいが、どうかにゃ?)』
「SuicaとかICOCAとかね。僕は現金一択だし、全額ジークに渡してるから問題ないよ」
まあ、少しばかり問題あることがあとでわかって恥をかくことになる。
G級カードを手に入れたら、ようやく迷宮に正式デビューだ!
入場料は五百円(保険をふくまず)。
地下三階以下に挑戦するなら保険に入っておく必要がある。
保険は事前に入っておくことが推奨されている。
海ほたるで結ぶことのできる保険は一択。
一日コースだけだ。
まあ、保険に関してはすでに入るコースをネットで調べてある。
あとはそこにシーカー番号を記入して保険会社に送信するだけ。