今後の方針3
『(さて、悠星。どうだったにゃ? 攻略の手助けしてみて)』
「新鮮だった。結構楽しかったし」
『(とびっきりの可愛い子達にゃ。性格も良さそうだしにゃ)』
「ていうか、最上級レベルでしょ。あんな可愛い子見たことないよ」
『(ほう。まあ、奥手の悠星も少しは積極性が出たかにゃ)』
「だから、奥手じゃないって。ちょっと女の子が苦手なだけじゃないか」
『(悠星、この路線は今後も続けたいとボクは考えているんだにゃ)』
「は? まさか、ハーレムパーティを作るとか言わないでくれよ」
『(いやいや、そこまではしないにゃ。ただ、悠星も正式に迷宮カードをゲットしたわけで、大手を振って迷宮に挑めるにゃ。それに合わせて世界を拡大していこうって)』
「世界を拡大?」
『(要するに、仲間を作っていきたいわけにゃ)』
「ああ」
『(でもね、ほいほい作るわけにはいかないにゃ。悠星の本分は学業にあるんだし、まだ未成年でいろいろと限界も多いにゃ)』
「そうだね」
『(ペースは急がないけど、質の高い人材は引き入れていきたいわけにゃ)』
「なるほど」
『(まあ、悠星が他人の面倒を見ることで苦しくなってしまうようなことにはしないからにゃ)』
「そのあたりはジークにまかせるよ」
『(とりあえずさ、悠星の仲間を「クラン」と表現しておくにゃ)』
「クランか。一定の目的を持つ者の集団。ゲーマーには馴染の言葉だね」
悠星には言わなかったけど、もう一つ大切な理由がある。
神楽家には定期的に世界をリードする人材が生まれる。
おそらく、悠星もそういう人間に育っていくと思う。
その将来を見据えたうえでの一種の派閥作り。
『(大蛇戦以前から、ボクもなにか刺激のあるものを探していたんだにゃ。そんなところに現れたのがあの二人だったんだにゃ)』
「ああ、そうだったんだ。いきなり現れたわけじゃないんだね。確かに世界が明るくなった気がする」
『(うん。1年以上はキョロキョロしてたからにゃ。彼女たちは一目でいろいろと才能を感じたにゃ)』
「え? 可愛いだけじゃなかったの?」
『(もちろん、ボクの趣味もあってまずはルックスのいい子。ただ、前提として迷宮攻略に可能性を感じさせるか、ということにゃ。ほら、以前、魔法総合力の話したでしょ?)』
「ああ、虹の七色で魔法適性を判断するんだっけ。紫、青、水、緑、黄、橙、赤色」
『(そうにゃ。人は紫、青、水、緑、黄、橙、赤の順番で魔法適正が高くなるにゃ。でだにゃ、彼女たちは二人共赤色だったにゃ)』
色ではわかりにくいかもしれないので、
紫(G)、青(F)、水(E)、緑(D)、黄(C)、橙(B)、赤(A)、白(S)とする。
魔力適正の判定
魔素耐性、魔力適正、集中力、精神力、器用さ、知力の六点から魔法適性を判断する。
魔道具で数値で表すこともできる。
その六点の総合力は体からの発光として表される。
紫→赤色と右にいくほど適正力が高い。
なお、悠星は赤色のさらに上、白色の発光を示した。
これはいわゆる『ギフテッド』を表す。
「赤(A)色? 魔法適正力が最高ってこと?」
『(そうにゃ。ボクは転生してきてからは赤(A)色を見たのは初めてにゃ)』
「なるほど。無理してでも関係をもちたかったわけか」
『(しかも、かなり可愛かっただけでなく、人間性も高評価だったにゃ)』
「へえ」
『(だけどね、『私は可愛いですっ』て顔をしてるような自惚れの強いのはパスにゃ)』
「うんうん。僕もやだよ」
『(傲慢なのはダメだにゃ。逆に引っ込みすぎるのもまずいにゃ)』
「そうなの?」
『(だって、迷宮で切った張ったをするわけにゃ。小さな虫も殺せないようなタイプだと難しいにゃ)』
「ああ、なるほど」
『(で、しばらく一緒に動き回って中身も観察したんだけど、すぐにわかったにゃ。性格もかなりいいことが)』
「すぐにわかったわけ?」
『(悠星、ボクが伊達に千年以上生きてると思ったかにゃ? 人間だろうと猫だろうと見分けはバッチリにゃ)』
「へえ」
『(とびきり可愛いとなると芸能人なんかにありがちなんだけど、顔にいやらしさが出るんだにゃ。私、可愛い、あんた邪魔ってにゃ)』
「可愛いはわかるけど、なんであんた邪魔になるわけ?」
『(芸能界のような世界は弱肉強食のわけにゃ。気をぬいたらやられてしまうにゃ。人気がなくなったらそれまでだしにゃ。だから、競争意識が非常に強いにゃ。それが顔に出るんだにゃ。最初は純粋そうなお嬢さんでも、ちょっとたつと目がギラギラしてくるにゃ)』
「へえ」
『(悠星ももう少し大人になればわかるにゃ。しかも、彼女たちは金持ちなんだけど、あれは根っからの富裕層だにゃ。叩き上げとか成金とかってのとは違うにゃ)』
「ああ、すぐにベンツとかロレックスとかに走る人?」
『(成金の世間的イメージはそうだにゃ。でも、成金は顔に出やすいにゃ?)』
「うーん。わからん」
『(悠星も大人に(略)』
「それわかったから」
『(まあ、成金の上昇志向も悪くはないけどにゃ)』
「どっちなんだよ」
『(双方に良さがあるってことにゃ)』
「ふーん」
『(だけど、彼女たちと知り合えて悠星も気力が湧いてきたにゃ?)』
「ああ、前向きな気持ちが出てきたな」
『(それからは何回も三十階のシーサーペント戦に挑んだにゃ)』
「段々と習熟していって、最初に討伐した時は一時間以上かかったけど、今じゃ三十分程度で討伐できるようになった。今じゃ、丁度いいトレーニング相手になってる」
『(ボクの新たに開発した魔道具も調子いいにゃ?)』
「ああ。ただ、この先を見据えて新兵器を開発していきたいけどね」




