表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギャルゲーの幼馴染ヒロインに転生してしまった。  作者: ぷり
未完成の楽譜―奏side― (ショートショート連載)
9/13

未完成の楽譜【2】

 ――『前世』のオレは、ピアノに置いてあった楽譜を手に取った。


 ……これは、『前世』のオレが作った曲だ。


 「さて、行くか」


 どこへ行くのか、と見ていると屋敷を出た後、街にある一軒家へ向かった。

 勝手に家にあがり、廊下を進み、花飾りが下げてあるドアをノックする。


「どうぞ」


 無用心だな。泥棒だったらどうするんだ。

 オレはドアを開けた。


 ベッドで夜着にカーディガンを羽織り、本を読んでいる――花音がいた。

 いや、正確には花音ではない。違う姿だ。だがわかる、花音だ。

 顔がやつれている。


 オレを見ると、彼女は本を閉じた。


「弾きに来てくれたの?」


「ああ」



 彼女の部屋にはアップライトピアノが置いてあった。


 オレは持ってきた楽譜で奏で始める。



「――やだ、完成してないじゃない」


 その花音は笑っていった。

 オレも笑ったが、心中……胸が痛い。


 前世のオレは、目の前の彼女がもう長くない、と知っていた。


 だから曲が未完成でも毎日ここに来て、出来ているとこまで弾いてそのあとはアドリブで終わらせていた。


 頭の中にはもう完成した楽譜があるのに、わざとそうしていた。

 このやり取りがしたかったから。











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ