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アメリカンガールズと妄想殺人  作者: ピタピタ子
9/17

作戦3

放課後、ルーシーが殺害されたことでまだクラスメートは騒いでいた。

「犯人って、ルーシーと関係ある女なの?」

「そんなのが逃亡中って、今の学校にいたりして。」

「やめてよ。学校の誰かが犯人みたいじゃん。」

ルーシーくらい頂点に立つ女なら、誰かに恨まれるなんてよくあることなのかもしれない。

久しぶりに街を散策した。サラもついてきた。

「二人でお出かけなんて、珍しいね。」

「私は常に路上生活だったけどね。」

「私は学校以外は家で引きこもり。」

「私達って正反対な暮らしぶりだったね。」

お互いの冗談で笑っていた。

「そうね。サラが来てから、外で散策することくらいはするようになったわ。」

ホームレスの男性が道端でお金を求めていた。もちろん助ける人もいたが、ほとんどの人が通りすぎてしまった。私は少ないお金を彼にあげた。

「サラか?」

「この人のこと知ってるの?サラ。」

「私が物乞いしてた時に知り合ったの。ジェームズ、お金はたまった?」

「全然。俺はジェームズじゃない。サラ、別人になったな。」

「生活水準が上がっても、私は私よ。」

「なら、俺に恵んでくれてもいいのにな。」

「私はお金ないわ。」

「そうか。その隣の子の家に転がり込んだわけだな。」

最初は物を勝手に使われたり、服を勝手に着られたりで困惑したが、今は彼女がいて嬉しく思う。少しだけ強くなった。

「ジェームズも誰かの家でヒモになれば?」

「馬鹿言うな。」

「おじさんだから無理か。」

「ちょっとサラ、それは言い過ぎよ。」

「それくらい言わなくても分かってる。大人を馬鹿にするな。それと俺はジェームズじゃない。」

「本当の名前は何なの?」

通行人の一人が彼の缶にお金を入れる。

「ありがとう。名乗る必要ないだろ、身元の分からないホームレスだから。」

「いつもこうよ。だから適当にジェームズと呼ぶことにしたの。」

「ジェームズと呼ぶなよ。」

少し癖のあるおじさんだが、悪い人ではなさそうだ。私達は近くで靴を買って、彼にあげた。

「頼んだつもり無いが、ありがとう。」

ジェームズはにこりと笑った。

「ジェームズも笑うことあるのね。」

私達は彼と別れて、カフェに行こうとした。するとミラ達と遭遇した。

「あんたここでホームレスと何してたの?隣の子は誰?」

「友達のサラよ。」

「あの子確かホームレスだったわ。」

「友達がいないからって、そんなことしてるの?やってること負け組じゃん。」

「負け組同士集まりね。」

「私達とは正反対。ゴージャスな女にはゴージャスな友達しか集まらないんだから。負け組には負け組がお似合いよ。」

相変わらずの自慢だった。

「ゴージャスだと思わないけど。」

そんな一言を吐き、サラは私の手を引っ張り立ち去ろうとした。

「もしかして逃げてんの?言い返せなくて逃げてんだろ。」

サラは道に落ちている飲みかけのファーストフードのジュースをミラ達にぶっかけた。

「何すんのよ!あんた初対面の私達にこんなことすんの?この服いくらか分かってるの?弁償してもらうわ。」

「そっくりそのままそのセリフ変えさせてもらうわ。洋服代なんて払うつもりなんて無いけど、どうせ値段とか言うんでしょ。あんた達みたいな低レベルな人間が考えていることなんてお見通し。自己紹介でもしてるみたいね。」

皆でサラを取り囲んだが、彼女はびくともしない。

「あんた馬鹿なの?今の状況分かって言ってる?」

「だから何?そう言えば絡む相手も自分の似たような相手って言うけど、表面的な人間には表面的な人間が集まるのね。どうせパパやママに新しいの買ってもらうんでしょ?また自慢でもすれば?次同じことしたらもっと盛大に服を台無しにするけどね。常に汚れるようなものを常備するから。流石にゾーイの噂だと頭が良いと言う噂は聞いてるから、そこまで馬鹿ではないと思うけどね。」

サラは普通の17歳とは違い、かなり肝が座っていた。小さい頃からたくさんの苦境にたたされたに違いない。

「覚えてろよ。行こう。」

ミラは取り巻きの女子達と一緒にその場を去ってしまった。カフェに入った。すぐにサラはコーヒーとケーキを頼んだ。私は紅茶だけ頼んだ。

「流石に私達、同居してること知られなくて良かった。ミラのお父さん、私のお父さんの上司だからそういう話すぐにバレるよ。」

「その時は私は追い出されるね。」

ケーキとコーヒーが目の前に置かれる。

「このケーキ甘すぎるわ。とてもじゃないけど食べれるもんじゃないわ。」

「ここのケーキ甘すぎるから、紅茶しか頼まないんだ。」

「最初から言ってくれてもいいのに。」

「ごめん。」

家に帰ると私はすぐにアルファベットのパズルを持ってきて、並べた。ミラの名前が並ぶ。

「今日は策略は妄想の中で考えるわ。」

「分かったわ。アドリブなのね。ゾーイに付き合うわ。」


妄想の世界に入る。ロッカーに荷物を入れて、ちょうど向かってきたミラ達に声をかける。

「あんた何?はやくどいてくれない?」

すかさずミラや取り巻き達の手にパーティーの招待状を渡した。

「今度の金曜日、自宅でパーティー開くの。お父さんとお母さんも大丈夫だって言ってるから。誰でも歓迎なパーティーなの。メイドも二人いるから。」

「何だか分からないけど、面白そうね。行ってみるわ。」

「言い忘れたわ。何か欲しいものあったら買っとくから、私にメールして。これ、私の電話番号。」

家に帰ると、さっそく準備をした。

「ハーパー、パーティーでお酒飲みたい子がいるみたいなの。買ってきてくれない?このカード使って。」

「かしこまりました。」

ハーパーは未成年ということを無視して多くのお酒を注文した。

「サラ、メイドらしいわ。」

「ちょっと大人びた地味な服だからね。」

サラにはメイドになりきってもらった。準備が終わると夜のパーティーがはじまる。

ミラ達は他校の男子や女子もたくさん連れて来た。かなりの大人数だった。

「ようこそ、パーティーに。何か困ったことあれば二人のメイドが何でもしてくれるから。」

私がそう言うと私とサラとハーパーに色々注文して来る。

「ゾーイの割に、うちらの好きな音楽知ってるじゃん。」

表面的で聞くに耐えない音楽だけど、彼らが好きそうな音楽だから流した。

「皆、どんどん飲んで。」

「さっそくハイになってる。ゾーイもショット飲みなよ。」

突然花瓶が割れた。

「ハーパー悪いけど、一緒に片付けてくれない?」

ハーパーに指示をした。部屋を出ると作戦を考えた。

「この花瓶の破片、中々使えそうだわ。残しといてくれない?」

「かしこまりました。何をされるんですか?」

「その時になったら分かるわ。」

割れたガラスの破片を粉々にしてキッチンに置いた。

部屋に戻るとミラの連れて来た男子達がひたすら部屋でボールを投げていた。彼らの一人が大きな飾り石をふざけて投げたらテレビが壊れてしまった。また私達で片付けることになった。

「皆、料理作ったから、食べて。サングリアも作ったわ。」

テーブルにたくさんの料理を並べた。皆、お酒の勢いで暴れまわっていた。

「あらいけないわ。火を止めないと。」

サラは急いでキッチンに向かう。

「サラ、何やってんのよ!火事なんて起きたらパーティーどころじゃないのよ!」

私はサラに怒るふりをした。

「皆さん、大変です。銃を持った集団が家に入ってきました。この部屋は施錠します。その間3人で奴らを追い出します。」

銃声が響き、サラが悲鳴をあげる。そしてハーパーはわざと部屋の音響機材の音を大音量にして施錠した。

「私達どうなるの?ヤバイよ。」

「何言ってんの?3人で何とかしてくれるみたいだし、入れないように頑丈に閉めてくれてるよ。」

皆、料理をどんどん口に入れ、サングリアもごくごく飲む。皆すごいむせていた。

「水ないの?すごい喉が突き刺さるように腫れてるんだけど。まじ最悪。」

「水どこにもないじゃん。ゾーイはやく来て。時間かかりすぎだよ。はやくやっつけろよ。」

「何言ってんの。今呼んだら俺ら殺されるぞ。」

「さっきから音大きすぎて耳が痛い。」

参加者の中にはミラの彼氏もいた。

「ねえ、窓から出ようよ。」

「ハニー、そっちも閉まってるんだ。」

ミラの彼氏の携帯に一つの通知が来る。私がわざとパーティーに参加してる男と寝てる写真を送った。

「ミラ、どういうことだ?」

「私は知らないよ。何かの間違いよ。合成よ。私を信じてよ。」

彼はその男と取っ組み合いの喧嘩になった。周りはどんどん咳をする。実は料理には彼らが壊した花瓶とテレビを粉々にして料理に混ぜ込んだ。彼は拳銃を手に取り、ひたすら暴れまわる。もちろん、周りはパニック状態だ。酔った皆も適当に武器なるものを持って投げ飛ばしたりして暴れまわった。その様子をひたすら、サラとハーパーと一緒に監視カメラで見ていた。しばらくすると静かになっしまった。部屋を開けると全員無惨な姿で死んでいて、物が至るところに散乱していた。私達は驚くこともなく、家ごと焼いてしまった。その様子を私はひたすらデッサンしていた。燃える家の様子をひたすら描いていた。そして私の妄想は終わる。


「今回も中々やるわね。」

「大人数を一つの部屋に閉じ込めることによってどんなことが起きるか様子見てたのよ。ある人から聞いた話なんだけど、自然界で泳ぐ魚は確かにそれを食べようとする魚が出るともちろん逃げるの。広い海だから食われるか食われないかは一瞬よ。でもね、水槽に食べてくる魚と一緒に入れるとどうなると思う?」

「ゾーイの通っている高校みたいになるんじゃないかしら。」

「最初は全力で逃げるけど、だんだん逃げることも考えなくなるんだ。高校とか家庭だってそう、水槽の巨大版のような人工的環境なの。逃げにくい環境で逃げるのを諦めてしまう。狭いところに閉じ込められたら正気な考えなんて出来ない。施錠された部屋で銃声が響けばいかにして生き残るかを考えるの。相手を殺してでもね。」

「どんどん本性出したわね。そう言う所嫌いじゃないわ。」

「逃げるのが悪いなんて言われてるけど、その理論聞いても同じことは言えないわ。」

私達はハーパーに呼ばれてご飯を食べに行った。

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