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アメリカンガールズと妄想殺人  作者: ピタピタ子
10/17

変化

朝起きると、サラはいなかった。おそらくバイトに行ったのだろう。

「お嬢様、そろそろ出ないと遅刻しますよ。」

ハーパーが大声で私に話した。

「分かってるよ。」

私は自分の車がないので、相変わらずバス通学だ。バスに降りるとミラ達がやって来た。

「まだバスで学校来てるの?」

「そうだけど。」

「皆、車で通学してんのよ。」

取り巻き達が私をあざ笑う。

「車は今の私には必要ないの。それに親もほとんど家にいないからバスで来てる。」

「見て、私のはポルシェの車よ。」

「流石、ミラだわ。」

「ポルシェだろうとテスラだろうと今の私には必要無いわ。今はそれを持つときじゃないの。」

「何カッコつけてるの?本当は羨ましいくせに。」

「羨ましいともなんとも思わない。もう行くね。」

彼女たちをおいて、学校に入った。一日は終わり、サラといつものように食事をした。

次の日、拳銃を持って登校しようとした。

「お嬢様、行ってらっしゃいませ。」

サラが玄関まで来て、私の拳銃を奪った。

「ゾーイ、何やってんの?本当に人を殺そうとしたら、駄目よ。損して、普通の人生なんて送れないの。その為に妄想殺人してるのよ。」

珍しくサラに説教された。バスでひたすらサラの人形を見ていた。何だかいつもと違って怒っている感じがする。

教室に着いて、ひたすらサラのイラストを描いていた。するとミラ達がそれを取り上げる。

「誰なの?これ?」

「サラよ。」

彼女達はサラのことを忘れていた。

「返してくれない?」

「返すわけないじゃん。」

私のノートを遠くに投げ飛ばした。落ちたノートを他のクラスメートが拾う。

「流石にもうそんなことやめたら?うちのクラス2人も死んでるんだよ。」

「やりすぎよね。」

男子達も女子達に話しかけた。

「もうそんなことやめろよ。」

「ミラ、もういいだろ。そんなことしても何もならないだろ。」

「こんな負け組をかばうの?負け組と一緒にいたければ勝手にすれば。」

ミラ達は彼らをあざ笑い、トイレに行った。

家に帰ると、ハーパーが電話がなり、ハーパーが受話器を取った。

「もしもし、ゾーイお嬢様ですね。ちょうど帰ってきました。今変わりますね。お嬢様、お父様からお電話です。」

「私の携帯にかければ良いのに。」

渋々と私は電話に出る。

「もしもし。いきなりどうしたの?食事?分かったよ。」

いつものレストランで食事をすることになった。

「ゾーイ、またあの父親と食事に行くの?」

「家族の大事な集まりなの。」

「レストランで食事することが?」

「それも大事なことなの。たまにしか帰ってこないから。」

「また心ない扱いされるだけだと思うけどね。そうしたいならそうすれば。」

ドレスとネックレスを準備した。

「素敵なドレスね。」

紺色のドレスが机に並ぶ。

「サラも着て見る?」

「着てみるわ。」

サラが着替えると、とても似合っていた。

「どうかしら?」

「似合ってるわ。」

ドレスでサラの細さが強調されていた。

「スタイルが良いのね。そうだこんなドレスもどうかしら?」

「赤のドレス?私の趣味じゃないわ。」

「とにかく着てみて。お母さんが若い頃に着ていたものなの。」

ドレスから彼女のキレイな腕と足がよく見える。胸元でネックレスがよく光る。

「似合ってるわ。私、こういうの着れないからサラにあげるわ。」

「いらないものを私に?」

「そう言う意味じゃない。その服は私にはふさわしくないの。」

サラはすぐにそれを自分の部屋のクローゼットに入れた。

次の日、サラはクローゼットに一日隠れた。何回かハーパーがご飯を持ってくることがあった。両親が家に来た。

「ゾーイ、ドレス似合ってるわね。お母さんに似たのね。」

「そうなの?ありがとう。お父さん、似合ってるでしょ?」

「そうだな。」

お父さんは私の方を向かないで言った。本心ではそんなドレス着ても似合わないって思ってるのがよく分かる。私がトイレに行くと夫婦の会話が聞こえた。

「ゾーイ、本当は君のようにドレスなんて似合っていない。容姿に恵まれないなら、勉強さえ出来てれば良かったのに、才能がないからな。」

「あなた、あの子はこれから変わっていこうとしてるのよ。まだ17歳だし、裁縫とかも出来るから洋服でビジネスを展開するのも向いてると思うし、色んな可能性があるのよ。私は家にいなくてもゾーイのことよく知ってるの。もう少し、長い目であの子のことを見ようよ。」

「あいつは駄目だ。」

やっぱり、私は期待なんてされてないんだ。もちろん自分のお店を持つことなんて考えてない。大学にも行こうなんて思わない。皆、優秀になりたかったり、金持ちになりたかったり、良い仕事につきたかったりして高いお金を払ってでも大学に行くけど、私にはそんな夢はない。ただ今の現状と戦って生きている。

「ゾーイ行くぞ。」

「分かった。」

父親の後ろ姿をずっと見ていた。しっかりしたスーツ姿で、セットした髪型の父をずっと見ている。肩幅が広くて、シャツにはシワ1つない。歩いている時と変わらず、車を何事もなく運転する。見た目は確かにしっかりとした大人だ。ただ見た目と経歴だけ。私だけは彼の欠点を知ってる。実の娘を愛せないことを。産まれたときは私のことを愛していた。大きくなるにつれて、愛が薄まる。私が思うように成長しなかったからだって思う。

レストランにつくと、食事がどんどんテーブルに並ぶ。

「ゾーイ、お前はどこの大学に行くのか?」

「私は大学なんて行かない。行く意味を感じられないの。」

「実力と専門性がなきゃ一生底辺のままだ。」

「何で底辺じゃ駄目なの?大学は就職するための場所なの?なら、行く意味を感じられない。」

食事中、サラの人形をテーブルに置いていた。人形を置きっぱなしにすると、父とサラの人形が目を合わせる。

「これは何だ?」

「私が自分で作った人形なの。」

「マナーがなってない。それをテーブルからおろせ。」

私は父の言うことを無視する。

「聞こえないのか?それをテーブルに置くな。」

まだ無視して食事をする。

「もう子供じゃないんだ。17歳だろ。あっと言う間に成人するんだ。」

「だから何?人形置いたところで誰かに迷惑かかってるの?」

「さっきから聞いてばかりだな。何も知らないことは恥をかくことなんだ。」

「そんなプライドなくても生きてける。」

初めて父に反抗した。

「人形を大勢がいるレストランのテーブルに置いて遊ぶ姿が大人の姿なのか?」

「二人とも落ち着きなさい。今は家族で食事を楽しむときでしょ。それより最近学校はどうなの?」

「実は転校生が来て、その子と友達になったの。私はその子とずっと一緒だよ。」

「名前はなんて言うの。」

「サラよ。人の気持ちがよく分かることなの。誰かがいじめられたらその子に手を差し伸べてたの。」

「良いね。」

「本当に良い子なの。」

私は適当な嘘をついた。

私はサラの人形にスープを与えた。もちろん口を開くことは無かった。それでも与え続ける。

「ゾーイやめるんだ。」

「嫌だ。」

「お父さんの言うのとを聞きなさい。家じゃないのよ。」

「サラ、ご飯よ。」

私は父親を見て笑っていた。誰かの笑い声が聞こえる。周りも騒然としてるが、私はサラの人形だけが目に入る。

「やめろ。」

私はムカついて、レストランを出た。両親がお金を払い後ろから追いかける。

「もう私帰る。」

「車で家に帰ろう。だから今すぐ乗れ。」

私は不機嫌な表情を浮かべながら車に乗った。車に乗ってる間、父と母と口を聞かなかった。ひたすら、人形を見つめていた。

「おかえりなさいませ。」

家に着くと、すぐ部屋に戻った。両親が部屋に入ろうとしても拒否した。

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