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アメリカンガールズと妄想殺人  作者: ピタピタ子
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現状

ある朝、目が覚めると身体が重かった。風邪もひいていないのに、寒気がする。学校をサボるとうちの親にうるさく怒られる。でも学校に本当に行きたくない。

親は私が高校生になってからほぼ家にいないことが多かった。昔は転勤しては引っ越しばかりだったけど、今は両親が主張しては家にいないことが多い。代わりにメイドを一人雇ってる。前はそんなの雇って無かったけど、両親が家に帰るのが難しくなっては家事がまわらくなった。私の身の回りの面倒はメイドのハーパーが見てくれてるが、自分で出来ることは自分でしたい。父は外資系企業の会社員で主張も多い。母は通訳で、ある程度大きくなってから仕事に戻った。

「お嬢さん、おはようございます。ご飯の準備が出来ましたので、おかけください。」

サラダとパンなどがテーブルに並ぶ。

「ありがとう。ハーパー。」

もうこんな生活も慣れた。今日もおそらく両親は帰ってこない。だからといって呼べる友達も彼氏も一人もいない。私は醜いから。両親は私と違い顔が美形だ。二人とも昔からモテモテだった。父は心の奥底で私のことを可愛いと思っていない。私は両親と違い器量が整っていない。そんなこと誰かに思われなければ、こんなことで私は悩まない。でも私は運が悪く、周りは敵だらけ。私の外見を馬鹿にする人は昔からいた。大きくなるにつれて私は暗くなっていく。私は何もしてないのに。

「お嬢さん、早く準備されないと授業に遅れますわ。」

「カバンくらい自分でとらせて。」

「それが私の仕事なのよ。」

「またね。」

困った顔のメイドを一人置いて、すかさず家を出た。家も何だか居心地が悪いけど、学校も行きたいと思わない。スクールバスに私は乗る。しばらく車両の中を歩くと、わざと足を引っかけられて私は転んでしまった。

「ゾーイ、何もないのに何で転んでるの?」

いじめの主犯格の一人フランクが私を上から見てニヤリと笑う。フランクは挨拶をするかのように私に酷いいじめする男子だ。アメリカンフットボール部に入ってる。いわゆるスクールカースト上位のジョックと言われる男子だ。他の男子達も私のことを一緒になっていじめる。私のことを恋愛対象として見る男子はいない。

「ダサすぎ。それでよく高校行けるよね。」

「というか顔キモくない?」

「言えてるわ。」

他の主犯格の女子ルーシーとミラも聞こえるように悪口を言う。二人はチアリーディング部に入ってる。ルーシーは運動も勉強も万能でお金持ちの家の出身で、ミラも同じく女子が誰しも憧れる美貌の持ち主で毎回コロコロ彼氏になる男子が変わる。最悪なことに彼女の父親は私の父親の会社の上司だ。他の取り巻きの女子達を数人を引き入れてる。取り巻きの女子達も便乗して私のことをいじめる。

「痛い。」

「どうしたの?」

フランクは笑いながら私の手を足で踏みつける。他の男子も私の顔を足で蹴った。

「大丈夫?どうしちゃったの?そんな顔が汚れちゃって。」

「それは駄目だよ。元々顔が汚れてんだから。」

ミラとルーシーの会話で、他の取り巻きの女子達も一緒になって嘲笑った。

「これ使いなよ。」

ルーシーは泥だらけのハンカチで私の顔をわざと拭いた。

「あれ?中々汚れが落ちないわ。何でかしら?」

「ルーシー、それ泥だらけよ。まあ拭いても汚い顔のままだけどね。」

取り巻きの女子の一人ジェイドが聞こえるように悪口を言う。

「何かあいつ暗くない?こんなのバスにいるとこっちまで暗くなるわ。」

「何見てんだよ。こっち来んな。」

バスで散々な目にあった。でもこんなの序の口だ。ロッカーから物を取り出すとフランク達が近づいてきた。私が昨日ロッカーに入れっぱなしにしていたハンカチを取り出した。

「この歳でこんなもの持ってるの?」

お母さんが昔作ってくれた熊がいっぱい描いてあるデザインのハンカチだった。それを手にとって返さなかった。

「返して。」

「しかもねんき入ってる。」

私の言葉など無視して、私のハンカチを足で踏んで、汚いものを扱うかのようにハンカチを遠くに投げた。一人の女の子が私のハンカチを拾う。

「これ、あなたの?」

「うん。ありがとう。」

そのまま彼女はどこかに行ってしまった。教室に入ると主犯格の女子達に物を隠されたりした。

「何そのバッグダサくない?どこで買ってるんの?」

ミラが聞いてきた。

「親戚から貰ったものなの。古いものが好きなの。」

私は極貧な家庭という訳ではないが、物は大切にしたい気持ちがあるため、今持ってる鞄は手放せなかった。

「本当にセンスないね。私なんてグッチのバッグよ。」

「私はヴィトンのバッグよ。」

ルーシーとミラはバッグの話で盛り上がっていた。

「そうなんだ。凄いね。」

彼女たちはいつも私の持ってるものと自分達の持ってるものを比較しては見下してくる。

ルーシー達がいなくなると、シンディーが近づいてきた。

「ねえ、ゾーイ。放課後一緒に家に行かない?他に友達も来るんだ。」

「良いよ。」

シンディーとはそれ程私は面識が無いので、いきなり話しかけられたことにビックリした。シンディーには特別いじめられたことはないが、まともに挨拶してもらった覚えがない。一緒に出かけるなんて初めてのことだ。

「今日の授業はこれで終わりよ。来週までに課題を提出するように。」

授業が終わるとシンディーの席の方に行った。移動しようとするとフランク達がわざとぶつかり床に転げ落ちてしまった。その様子を何人かが写真で撮る。

「良いの撮れた。」

「本当、ウケるんだけど。」

フラッシュとシャッター音は鳴り止まない。中には写真は撮らず、見てるだけの人もいた。写真を撮ってどうするのだろうか?

化学の授業中、中々集中出来なかった。集中してはまだ誰もカメラを撮ってないはずなのにシャッター音が耳の中に残る。どんどん自分の中で大きくなる。私はすかさずトイレに行って泣いていた。

「もうこんなのがいつまで続くんだろう。」

昔からいじめられていたので、どんどん私はネガティブに考えた。

お昼の時間、食堂に行った。ご飯はどれも高校生が好きそうなものばかりだった。席を見回してもどこの席もグループで占領していて座れない。しょうがなく空いてる広い席に一人で座った。

「ねえ、あんたさ、ここ私達の席なんだけど。いつも分かっていてわざとやってるわけ?」

「特等席に座るなんて、ゾーイのくせに偉そうね。」  

私が席をどくと、ルーシーとミラ、その取り巻き達がテーブルを占領した。他を探しても空いてる席がほとんどない。空いてたしても、二人や三人で使っている所ばかり。

「あいつまだ席探してるの?ダサすぎなんですけど。」

「ゾーイのくせに、身の程知らずなのよ。」

ルーシーやミラの取り巻き達も一緒に私の悪口を言う。結局、席は見つかったものの食べる時間はほとんど無かった。残ったパンを自分が常に持ち歩いてる残り物ケースにいれた。私は残ったパンを学校の外で食べようとした。すると元気が無さそうなホームレスの少女がいた。私と同い年くらいの女の子だった。彼女のお腹が鳴る。

「これ、食堂の残り物だけど、良かったら食べてね。じゃあ授業あるから戻るね。」

その少女を置いて、授業に行ったがいつものように遅刻してしまった。私がいてもいなくても変わらないだろうと思った。授業中、何故彼女があんな生活をしてるのかひたすら考えていた。彼女の姿が頭によく残った。そんなこと考えても私には彼女を救うことが出来ない。

そんなことしてるうちに放課後になってしまった。

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