第４話 朔夜、精神崩壊中！
お待たせ致しました！
あまりない時間の中で頑張りました！
「はい、あ～ん」
「んっ、もきゅもきゅ」
イマ・・オレ・・ヒル・・オクジョウ・・ナリ・・・
オレ・・ココロ・・ドコカ・・タビ・・デタ・・・
イマ・・オレ・・エヅケ・・サレ・・チュウ・・・
・・・・・・・
・・・・
だああああああああああ！！
こんな風に、現実逃避したくもなるよ！
現実逃避するさ！いや、させてください！！（切実）
昨日の罰ゲームから、気が付けばすでに翌日の昼休みになってるけど・・・
一瞬で時間が飛んでるように思うかもしれないけどさあ・・・
・・・あれからも、現在に至るまで色々あったんだよおおお！！
俺の精神力ゲージはあれからずっとミリさ！！
そりゃあ、精神崩壊もするさ！！
しかたがない、何があったのか少しだけ話そう・・・
いや、むしろ聞いてください！！
・・・って、もう俺は誰に向かって言ってんだああああ！？
もう訳わかめです・・・
ま、まあいい・・・
とにかくだ！
昨日、真白ちゃんの授業で意識を失ってしまったがために、授業が終わるや否や6限目があるにも関わらず、真白ちゃんに生徒指導室という名の監禁・拷問部屋へと強制連行されてしまった・・・
俺を無理矢理押し込んだ後、続いて入ってきた真白ちゃんの後ろ手にカチャンという鍵の音が聞こえた時には、さすがに戦慄が走ったね・・・
そこからはもう・・・
危険が危なかった！！！
危なかった危険だよ！！！
・・・何がって！？
・・・俺の貞操だよ！！
授業中に寝てしまった事の説教が始まるかと思いきや、違ったんだよおおおお！！
いや、最初は普通に・・・
違うな、最初から普通ではなかったな・・・
ま、まあ、それはいいが、俺が意識を失う前の続きから始まった。
「朔夜！私に告白しろおおおおおおお！」
「ごめんなさい！」
「何でだあああああああ！いや、朔夜！私は諦めないぞ！諦めたらそこで終了だからな！」
「諦めてください！試合はすでに終了しているんですぅ！」
真白ちゃんは先生なのに、いつの間にか俺の事を完全に朔夜呼び。
俺の中では、唯一ごめんなさいで終える事が出来た真白ちゃんとの（罰ゲームの）関係は終っている。
しかし、真白ちゃんが彼氏いない歴＝年齢というのは伊達じゃない！
周りの友人から彼氏がいるだの結婚しただのという話が持ち上がっているらしく、相当焦っているらしい。
今は飢えた野獣なのだ！
ちょっとやそこらでへこたれないらしい。
だからって、なんで俺がターゲットに・・・
もう目が・・・
比喩じゃなくて本当に、血に飢えた猛獣のようで本当に恐ろしかった・・・
言葉では埒があかないと思ったのか、真白ちゃんは実力行使に移行する。
真白ちゃんの血走った目は、手塩にかけて大事に育ててきた純真無垢な俺の息子・・・いや、マイ・サンをロックオン！
いやああああああああ！
助けてええええええ！
手籠めににされるううううう！
と、それはもう必死で逃げ回ったさ！！
・・・いや実際、真白ちゃんが有りか無しで言えば、全然有りなんだよ！？
男勝りとはいえ意外と優しく生徒思いだし、美人だし、美人だし・・・
でもさぁ・・・
無理矢理なんていやあああああああ！！
「大丈夫だ！私に全てを任せろ！」とか「安心しろ！優しくするから！」とか言われてもさぁ・・・
全然大丈夫じゃないんですけどおおおおおお！！
全然安心出来ないんですけどおおおおおお！！
という訳で、かなり本気で逃げ回った。
しばらく俺と真白ちゃんが本気の攻防を続けていたところで、気が付けば６限目が終わっており、帰りのＨＲに姿を現さない真白ちゃんを探しに来た他の教師により、なんとか大事な愛息子を死守することに成功。
その状況を、その先生に見られたらやばいんじゃないかって？
そこは、俺も真白ちゃんもさすがと言わざるをえない。
互いに何も言わずとも、入口の鍵がガチャンという音を立てた瞬間に、俺も真白ちゃんも机を挟んで対面の椅子に瞬で座ったさ。
それで事なきを得たってわけ。
もちろん俺も、そこで開放されたのだ！
いやあ、シャバの空気があんなに美味いと感じたのはいつぶりだろうか・・・
〈今まで一度も感じた事はないけど・・・〉
と、そこでも現実逃避に走ってしまふ・・・
その時のあまりの清々しい解放感により、俺は完全に忘れていた・・・
忘れていたのである！！
６限目が終わったという事は・・・
今は放課後であるという事に・・・
俺は開放感から、ランランとスキップしながら帰宅の途につくためカバンを取りに教室へと戻った・・・
戻ってしまったのだああああ！
そんな俺を待ち受けていたのは・・・
もちろん、当たり前ですが・・・
綾瀬瑞穂、花崎みなも、佐久間千里、結城美鈴の４人。
ですよねぇ・・・
４人の姿を見た瞬間、先程までランランと浮き足立っていた俺に一瞬で１０倍の重力がのしかかり、ぺしゃりと床に押し潰されてしまった。
いや、誇張じゃないんだよおお！
本当に、そんな気がしたんだよおおお！！
そんな潰れたヒキガエルの様な姿になっている俺に、彼女達４人は「大丈夫？」と言いながら優しく手を差し伸べてくれる。
いや、わかってる。
わかってるんだよ？
彼女達が良い娘達だって事は。
そりゃあ普通なら、彼女達と付き合えるなら嬉しくないはずはないさ。
でもさぁ、何度も言うけど・・・
俺はごめんなさいを望んでたんだよおおおおお！！
こんな展開は望んでねえええええ！！
告白した相手に振られるんじゃなくて、ある意味罰ゲームに振られるって何なの！？
もう俺はハートブレイクよ・・・
もう心とか心とか、特に心とかがズタズタですよ・・・
そんな俺に４人同時とかなんて、マジ無理ですぅううう！
俺のキャパシティはペットボトルのキャップ程度しかねえんだよおおお！
それで、どうやって池の水を全部汲み上げろっていうんだよ！
不可能じゃん！！
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、彼女達は満面の笑みを浮かべながら俺を起こして椅子へと座らせる。
そして、俺を中心に周りを囲むように彼女達も椅子に座っていく。
・・・って、あれぇ？？
ちょ、ちょっと待って！？
おかしくね！？
何で俺が中心に座らされてんの！？
配置がおかしくね！？
話し合いなんだから、普通は輪を描くように座るもんじゃないの！？
何で俺が囲まれてんの！？
これは、あれか！？
俺を逃がさないようにしてんの！？
俺が逃げるとでも思ってんの！？
うん、その通りです・・・
物凄く逃げたいです・・・
と、俺が１人葛藤している中でも、勝手に話し合いが進んでいった。
最初は普通にこれからどうするかという話を始めて、そこで決まったのが特に決め事はないという事。
・・・・・ええ！？
それ、話し合いの意味無くね！？
とは思ったものの、彼女達の言い分としては・・・
互いの邪魔をせずに、互いに好きなように俺と接するようにしたいって事だった。
なぜ、そこまで俺に・・・
ただ、そこには俺の意思など存在しない。
俺が自分の意見を言おうと「あのさ・・」とか「ちょ、ちょっといい？」と話しかけても、聞こえなかったかのように彼女達だけで話が進んでいく。
・・・・・あれぇ？？
俺、この場にいらなくね！？
俺って空気じゃね！？
と思ってしまうのも仕方の無いことだろう。
そして、その話し合いは意外とすぐに終り・・・
むしろそんな話はどうでもいいとでも言うかの如く、話はよからぬ方向へと進んでいく。
それは・・・
「朔夜くんの食事中の幸せそうな顔とか、かわいいよね～」
「あ～、わかるよぉ！でも、朔ちゃんが困った時に見せる顔も、かわいくて母性がくすぐられちゃうよぉ」
「それもわかるわ。でも私は、朔夜君のごくたまに見せるキリッとした真面目な顔がかわいいと思うわ」
「うんうん、どれもわかるね♪私なんて、朔たんと一緒にバカやってる時の楽しそうな顔がかわいくて仕方ないなぁ」
・・・・・・・
・・・・・
やめろおおおおおお！
俺を悶え殺す気かああああああ！！
よりにもよって、本人を囲んで互いに自分が感じる俺のかわいさ自慢とかさぁ！
どんな羞恥プレイだよ！！
そんなの望んでねえよ！
そもそも俺はかわいくねええええええ！！
これは究極の拷問だよ！！！
俺に死ねってか！？
俺への死刑宣告か！？
ああ、今すぐ死にたいよ！！！
こんなの今すぐ死ねるさ！
そんな俺の心の叫びも空しく、彼女達が思っている俺の話題は止まること知らなかった。
「朔夜くんってさ・・・・」
「朔ちゃんってねぇ・・・・」
「朔夜君は・・・・」
「朔たんなんてねぇ・・・・」
周りを囲まれて逃げ出すことも出来ない状況で、究極羞恥プレイに耐えきる事なんて・・・
俺には不可能だった・・・
もう俺はぐったりして、俺の身体から魂が抜け出ていく。
その俺の魂は天高く昇って行ったとさ・・・
―――完―――
いや、完じゃねえええええええ！！
俺、何勝手に終らせてんの！？
こんなバッドエンド嫌だよ！！！
いやでも、本当にそんな気分だったんだよ・・・
あれから俺は、気がついたら家のベッドに深く深く潜り込んでいた・・・
あの後どうなったのかも、どうやって帰ったのかも記憶にない・・・
そして翌朝。
まあ、今日の朝だな・・・
意外にもスッキリ起きることが出来た俺は、昨日のことは夢の様に思えた。
・・・いや、そうか！
夢だ！きっと夢だったんだ！
そう考えた俺の気持ちは明るくなり、ルンルン気分でスキップしながら学校へと向かったさ。
もう、ひゃっはあああ！と叫びたい程だったね。
いや、むしろ叫んだような気が・・・
今思うと、周りから白い目で見られていたような・・・
ま、まあいい・・・
そんな気分のまま学校の校門にさしかかると・・・
「朔夜くん、おはよ～！」
「朔ちゃん、おはよぅ！」
「朔夜君、おはよう！」
「朔たん、おは～！」
・・・・・
夢じゃなかったあああああ！！
夢であってほしかったあああああ！！
むしろ、これも夢であれ！！！
と、望んだ所で状況は変わらない・・・
「あれ～？朔夜く～ん？」
「朔ちゃん、動かなくなっちゃった？」
「朔夜君、どうしたの？」
「お～い、朔た～ん！戻っておいで～！」
微動だにしなくなった俺を心配して、彼女達は声をかけてくる。
「くっ！やはりこれは現実かよ！こんちくしょおおおお！」
俺は心から泣き叫んだ。
「あ～、よしよし、朔夜くん大丈夫だよ～」
そう言って綾瀬は俺の頭を優しく撫でてくる。
優しい・・・
違う俺！籠絡されんな！
「朔ちゃんには、私がついてるよぉ」
嬉しい・・・
違う俺！絆されんな！
「朔夜君、泣きたい時は好きなだけ泣くといいわ」
暖かい・・・
違う俺！惹かれんな！
「朔たん、また一緒にバカやろうよ」
楽しい・・・
違う俺！浮かれんな！
「「「「私達は何があっても見放さないから、安心してね！」」」」
・・・・・・・
・・・・・
ちげええええええええ！！
違うんだよ！
むしろ見放してくれよおおおおお！
一瞬、絆されかけたけど・・・
やっぱり無理無理！！
俺には４人同時なんて、絶対無理！！
俺と4人じゃ釣り合わないし、そもそもそんな甲斐性ありませんからあああああ！！
そうして、気がつけば昼休み。
もちろん、５人で昼飯を食べる事は決定事項だったらしく、俺は屋上へと強制連行されてしまい現状に至ったのである。
わかるっしょ！？
ねえ、わかるでしょ！？
俺のこの苦悩！？
え？わからない？
・・・・・・
ま、まあいい・・・
誰にも俺の苦悩を理解されなくても、何とも思わないさ！
ああ、思わないともさ！
精神崩壊中の俺は、この後も１人で更に訳のわからない状態へと陥っていくのであった・・・
お読みいただきありがとうございます！
昼休みの光景を書くつもりが、気が付けば回想回になっていました・・・
・・・って、たった３話投稿で一時的とはいえ、ジャンル別日間ランキング１位になってるううううう！
ブクマ・評価・アクセス数がうなぎ上りになってるうううう！！
やばい・・・
やばいでしょ！
自分の中ではありえないでしょおおおおお！
と、作者にも主人公のテンションが乗り移るほど、まさかの出来事に困惑しております。
これもひとえに、読んで下さる皆様方のおかげです＾＾
沢山のコメントにもビックリしましたが批判が全然なく、コメント下さる皆さんは暖かく優しい方ばかりで嬉しいし、気持ちが救われています！
執筆は家のＰＣですが、コメントは携帯で時間のある時に確認しているので、楽しみに見させてもらっています。
これからも是非お付き合いお願いします！
