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90/210

90.絶対に敵に回しちゃいけない人っているよね?

 私が連れて行かれたのは、一応客室。

 そこで待つこと三十分。

 修行と言う名のHに一区切りつけて、マリカとマイが、部屋に入ってきた。


「アキが、ここに来るとはね。どうかしたの?」

「実はね、自称勇者パーティの三人組が、私のところにパーティに入らないかって勧誘しに来たのよ」

「そう。それで?」

「ただ、ソイツ等の性的背景を見る限り、三人共、趣味は乱交で、強制性交等が数十回アリ。しかも、その殆どが、この三人での共謀でね」

「ふーん。じゃあ、勇者のパーティって言うよりも乱交パーティへの勧誘ってことだ」

「多分ね。当然、ソイツ等の申し出は、最終的には断るけど、その後、ソイツ等をここで修行させることって可能?」

「そりゃあ、勿論……」


 多分、受け入れOKとマリカは言ってくれようとしていたんだと思う。

 彼女の場合、自分を愛してくれる男はオールOKってところがあるからね。

 でも、これを遮ってマイが答えた。


「それは、本人達の姿勢を見てからの判断になります。そもそも、教祖様じゃなくてアキさんを選んだ時点で本当はNGですけど、まあ、それは目を瞑りましょう」

「はぁ……」

「私が想像するに、アキさんは、ソイツ等をここに入信させることで、ソイツ等の被害者を無くそうって考えなのでしょうけど、そう言うことをする人間を、マリカ教としても安易には受け入れられません」

「彼らが自分達の意思でここに来ても?」

「そうです。今後、絶対に教祖様と私を裏切らないと言う確証があれば受け入れますけど、その確証が得られない限りは受け入れられません。ましてや、余所で女性を襲う者などマリカ聖教国の名を落とすだけです」


 マリカ聖教国の名が、これ以上落ちることは無いと、一瞬思ったけど……。

 ただ、マイが言いたいことは、マリカ教信者が他国で女性を襲ったら、マリカ聖教国の存続がマジで危なくなると言うことだ。

 万が一、そんなことが起こったら、マリカ教そのものへの当たりが今以上に厳しくなる。

 だから、その可能性がある男性の受け入れは出来ないってことか。



 その特性からして、マリカ聖教国は、各国から当然、叩かれている。

 マリカ聖教国の中だけでの行為であれば、信者と家族の間の問題は残るけど、そこは家庭内で解決してくれってスタンスなんだろう。

 入信者が慰謝料を支払うとかね。

 必ずしも、それで済むかどうかは分からないけど。

 ただ、少なくとも信者とマリカやマイとのHは合意の行為だってことだ。


 でも、信者が外で他の女性に何かしたとなると、

『やっぱり、そう言う国だからね』

 と言われ、そこから総攻撃を食らうのが目に見えている。



 今までは、一つの宗教団体だったけど、今は、国家だからね。

 以前よりも、信者達の外部での振る舞いに気を付けているってことだろう。

 マイが入ったことで、その辺のところが強化されたとも言えると思うけど……。


 もっとも、信者達が島の外に出ること自体、皆無に近いことだろう。

 でも、自称勇者のバカホンみたいな連中は、修行(マリカやマイとのH)しない日にオキシラン共和国とかウンカ公国に出てマズイことをするかもしれない。

 だから、そんな危険分子の入信は避けたいってことだ。



「マイさんだったね」

「はい」

「これは、私の方こそ大変失礼したよ。じゃあ、ソイツ等のことは、私の方でこらしめておく。ただ、彼らがここに来る可能性はゼロじゃないからね。一応、情報共有ってことで、名前だけ伝えておくよ」

「分かりました。でも、偽名の可能性も高いので、参考程度になりますけど」

「そうだね。彼らの名前は、バカホン、フールマン、クアック」

「ええと、その名前ってマジですか? バカにしてません?」

「そう名乗ってた」

「絶対偽名だわ、それ。それと、人相書きとかできる?」

「絵は描けないけど、マリカなら、ソイツ等の性的背景を見ることは可能だから、判別できると思う。基本的に、私にできることはマリカにも可能だから」

「了解しました」

「じゃあ、修行を中断させてゴメン。私は、これで御暇するから」



 私は、二人に深々と頭を下げて、マリカ教の施設を後にした。

 そして、

「転移!」

 連続転移でインケイ町まで移動。

 そこでニコラスと合流して、私は自分の店までニコラスに送り届けてもらった。



「ニコラス。今日はありがとう」

「別に、どうってことありませんよ」

「あと、明日も済まないけど、よろしくね」

「了解です。では、また明日」


 そう言うと、ニコラスは私の店の前から転移魔法で姿を消した。

 転移先はディスプロシ島。

 まだ、彼としても仕事が残っているはずだからね。

 急に私の用事に付きあってもらって、ちょっと済まない気がした。



 その日の夜、私とヴァナディスは、異世界間ゲートを通ってラヤの家に行った。

 結果的には夕食をいただきに行くわけだけど、やっぱり、一か月後には、ラヤがいなくなっちゃうわけだからね。

 それまで、ラヤとの親交を深めておきたいって思ったんだよ。


「こんばんわ」

「アキさん、ヴァナディスさん、いらっしゃい!」


 ラヤが元気な声で私達を出迎えた。

 私がラヤの立場だったら、多分、落ち込んじゃうと思うけど、明るく振る舞っていられるなんて、本当にラヤは強い娘だって思う。


「せっかくなんで、夕飯を御馳走になりたいなって思って」

「了解です。毎日来ていただいてもイイですよ!」

「ホント? 助かる!」

「ただ、フユミさんのお酒だけはアキさんが何とかしてやってください」

「OK!」


 そして、ラヤに連れられてリビングダイニングに到着。

 テーブルには、お母さんとフルフラールの他に、見知らぬ女性が着いていた。

 彼女は、全身が筋肉で引き締まった感じで、今のお母さん(永遠の二十歳)よりは年上の雰囲気だ。

 勿論、精神面じゃなくて肉体面の話ね。


「貴女がアキさんね。私はピレン。この世界でのラヤちゃんの患者第一号なの」

「そうだったんだ。私は、前世でフユミの娘だったアキです。そして、隣にいるのが私の嫁のヴァナディス」

「よろしく~。それにしても、綺麗な『()』ね、ヴァナディスさん」

「あげませんよ」

「残念」

「それにしても、ピレンさんは、何か運動でもしていたんですか?」

「何で?」

「随分と引きしまった身体をしているから」

「そう言うことね。私は、一応、冒険者だったのよ。レベルはイマイチだったけど。でも、素人よりは動けると思うから、看護師兼用心棒ってことで、最近、ここで働くことにしたのよ」

「冒険者稼業は?」

「引退した。そろそろ堅実に生きる道を探したくなってね」


 たしかに、不老の身体でも手に入れない限り、永遠に冒険者を続けることは事実上不可能だろう。

 ある程度の年になれば、誰でも体力の限界を感じるからね。

 まあ、ピレンがそれを感じるには、まだ早い気はするけど。


 でも、それ以前に通常は冒険者で安定収入を得るのが難しいから、ほとんどの場合は、どこかで辞め時の線引きをしなければならないのも事実だと思う。

 永遠に夢だけを追っていられない。

 ピレンとしても、色々考えた上での決断だったんだろう。


「後は、食事をしながらにしましょう。アキさんは何がイイですか?」

「ハムとチーズとエビのパニーニかな?」

「ヴァナディスさんは?」

「私もそれで」


 すると、お母さんが、

「私は、おでんをお願い。あと、アキ。日本酒を出してもらえる?」

 と言って来た。

 おでんに日本酒だもんね。

 絶対に飲む気マンマンだ。


「イイけど、飲み過ぎないようにね」

「分かってる」


 そう口では言っているけど、多分、最終的には裏切られる。

 酒を飲み始めたら、ブレーキが利かなくなるのは何時ものことだもん。

 今日は、そうなったら放置しよう。



 ラヤが、リクエストされたメニューを順に物質創製魔法食料バージョンで出して行った。

 フルフラールは広島風お好み焼きで、ピレンはスープスパゲッティ。

 魔法の主のラヤは、アワビのステーキに十穀米、味噌汁に茶碗蒸しだった。

 私も食べたいなぁ、それ。


 ただ、私がモノ欲しそうに見ているのを察知したみたいだ。

「アキさんの分も出しましょうか?」

 と、早速ラヤに言われたよ。


「うん。じゃあ、これを食べ終わったら、お願い」

「分かりました」


 そして、全員の配膳が整い、

「いただきます!」

 明るい食卓での会食がスタートした。



 女性だらけの夕食会。

 恋バナに花が咲くかと思うでしょ?

 でも、違うんだな。


「今日の患者は性病が三人……」

 こう言ったのはラヤ。


「なんか、今日はED治療薬が一番売れてね……」

 これはお母さんの台詞。


「思ったんだけど、全体的に見て包茎治療の患者って多いよね?」

 と言ったのはピレン。


「でも、それで稼いでいるところもありますので」

 こう答えたのはフルフラール。


 医療関連シモネタトークで花が咲いていたよ。

 全然、色気も何も無かった。


「アキさんのところでは、何かありました?」

 こう聞いて来たのはラヤ。


「なんかさぁ、自称勇者っヤツ等が来て、私をパーティに誘うのよ」

「それって、本物の勇者ですか?」

「ソイツ等のステータス……背景情報を確認したけど、完全にH狙いだね。私を手籠めにするつもりだよ。なので、早速、ミチルさんに応援を頼んでね」

「あの、七首のレッドドラゴンの人ですか?」

「そう。明日、こらしめてやろうって思っているところ」

「どんな風にですか?」

「実はね……」


 私は、ミチルさんの案をラヤに話した。

 それと、バカホン達が、どんな感じで私に近付いて来たかも併せてね。


 表情を見る限り、そう言うヤツ等をこらしめることには、ラヤも興味があるようだ。

 何気に、ドンドン乗ってきているのが分かる。


 そして、

「最後の詰めは、もう一捻り行きましょう! こんなのはどうでしょう……」

 ラヤから改良案として、恐ろしくも面白そうな提案がなされたよ。


 でも、バカホン達の反応に期待できそう!

 と言うわけで、偽勇者退治は、ラヤ案も取り入れて楽しむことにした。

 まさに自称勇者共が、ブルバレン世界最強の元スーパー破壊神を敵に回した瞬間だった。


 …

 …

 …


 次の日、私の店にはニコラスが来ていた。

 彼の転移魔法が無いと、このプロジェクトは機能しないからね。

 いつ自称勇者達が来てもイイように、少し早くからスタンバってもらっていた。



 定刻に自称勇者バカホン達が私の店に来た。

 しかも、何気にウキウキ顔をしていた。

 完全にH狙いなのがバレバレだよ。


「アキさん。お迎えに上がりました」

「ありがとう。それで、転移魔法で一気に目的地に行けた方がイイと思いまして、知り合いの転移魔法使いに来てもらいました」

「そうか。では、急いで現地に向かおう。場所は、ラージェスト王国とハーレ王国の国境付近。ここだ」


 バカホンは、地図を広げてニコラスに見せていた。

 ニコラスは、

「了解しました。転移!」

 早速、私達を連れて目的地に向けて一気に移動した。



 到着したところは、森の中を東西に走る獣道だった。

 ただ、とんでもない大きさの獣がいるのか、その獣道の幅は二メートル近くもあった。


「じゃあ、ここまで送り届けてくれてご苦労さん。君は、もう帰ってイイから」


 バカホンは、そう言いながらニコラスに小金貨一枚を渡した。

 要は、私を襲う上で邪魔だから、早く帰れと言うことだ。


 状況は、既にニコラスには説明してあるからね。

 ニコラスは、

「了解です」

 と言うと、何の疑いもなさそうな顔をバカホン達に見せながら、転移魔法でその場から消えた。


 ただ、彼には、まだやってもらうことがあるからね。

 ここから百キロくらい離れたところで待機してもらうことにしていた。



 その場に残ったのは、私とバカホン達の計四人。

 早速バカホンが、私に抱き付くと、そのまま押し倒して来た。

 いきなりだな。



 取扱説明書:アキ-108号は人間ではありませんので、アキ-108号の同意無しに性行為に及んでも性犯罪になりません。



 取扱説明書:しかし、持ち主(現:ヴァナディス)の許可なしに勝手に使うのはご遠慮ください。



 取扱説明書:特に、勝手に使い回すのは言語道断です。



 取扱説明書:共有する場合は、性病をはじめとする種々疾患の感染媒体にならないよう、念のため消毒をお願いします。



 勿論、ここで女王様モードに切り替われば、コイツ等を、文字通り私の犬に変えることは可能だ。

 でも、それじゃ面白くない。

 私は、そのまま流れに従って押し倒されてあげたよ。



 ただ、それと同時に、

「ズシン!」

 と何かを地面に打ち付けるような大きな音が聞こえてきたんだけど、バカホン達は、私を襲う方に夢中で、全然、その音を聞いちゃいなかった。


 私に覆いかぶさって来るバカホン。

 さらに、私の手足を押さえつけるフールマンとクアック。

 ヤリ慣れているな、コイツ等。



「ちょっと、何するのよ?」

「ナニに決まってるだろう!」

「そんなことしている暇は、ないと思うけど?」

「いやいや、お楽しみの時間はたっぷりあるだろう」

「ヤバイのがアンタの後にいるんだけど」

「はぁ?」


 私の身体を押さえつけながら、三人が後ろを振り返った。

 すると、そこにいたのは七首のレッドドラゴン。

 変身後……いや、変身前か。これぞまさに、ミチルさんの真の姿だ。


 実は、ミチルさんには先に入ってスタンバってもらっていたんだよ。

 バカホン達は、まさか本当にレッドドラゴンがいるなんて思っていなかったからね。


「マジかよ!」

「逃げろ!」


 自称勇者のくせに、私を放ったらかしにして、我先にとミチルさんとは逆方向に走って逃げて行ったよ。

 一先ず、私とミチルさんの担当はここまで。

 あとは、最凶の人に任せて私達は高みの見物となった。


 私はミチルさんにおんぶしてもらって、彼の浮遊魔法で私達は上空に浮かび上がった。

 一応、お姫様抱っこは遠慮しておいたよ。

 パラスに怒られそうだからね。

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― 新着の感想 ―
[一言] >私はミチルさんにおんぶしてもらって、彼の浮遊魔法で私達は上空に浮かび上がった。 >一応、お姫様抱っこは遠慮しておいたよ。 >パラスに怒られそうだからね。  それはそれで、独占欲か嫉妬心が…
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