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79.お母さん!?

 さすがに私も警戒度がマックス状態になった。

 ただ、ラヤの姿は、本当に前見た時と全然変わっていない。

 歳をとっていないのだろうか?


「全然成長してなくない?」

「それは、お互い様です」


 そう言いながら、ラヤは平然とした表情を見せていた。

 全然、驚いた素振りさえもなかった。

 女神様の手で転生したって聞いているし、もしかすると、その時にラヤは私が人間じゃないってことを知らされているのかも知れない。


「ある筋から、別の異世界で聖女に変身したって聞いてたけど、この世界に何の用? もしかして、また破壊しに来たんじゃ?」

「違います。ちょっとリニフローラ様からの依頼があって、この宇宙の別の惑星に出張なんです」

「じゃあ、ワザワザ途中で寄ったってとこ?」

「そうです。あと、首ちょんぱはしませんから安心してください。それで、どうせならって思って挨拶と、それから会わせたい人がいて」

「会わせたい? もしかして、その隣の女性のこと?」

「ええ。じゃあ、フユミさん、挨拶して」


 そのフユミと言う女性は、かなり緊張した様子だった。

 でも、その名前って私のお母さんと同じだよ。

 凄い偶然もあったものだ……。

 なんて思っていたんだけどね、この時は……。


「ええと、アナタが亜紀ね?」

「はい。アナタは?」

「前世の名前は篠原芙由美」

「えっ?」

「アナタの前世の名前は篠原亜紀よね?」

「もしかして、お母さん?」

「ええ」

「……」


 それが、まさか偶然どころか、本当に私のお母さんだったなんて……。

 もしかして、ラヤは、私のお母さんが何処か別の世界に転生したのを知って、それで、ワザワザここまで連れて来てくれたってこと?

 私の中で、ラヤに対する評価が大きく変わった瞬間だった。


 でも、生きている状態で母子の再会が果たせるとは、思っていなかった。

 お互いに姿は変わっちゃったけどね。

 本当に嬉しいよ。



 ただ、同時に妙に照れ臭くもあったし、それに私は、最期に、お母さんに凄く迷惑をかけちゃったからね。

 まさか飛び降り自殺して、しかも青年一人を巻き込んで殺しちゃって。

 なので、今更どんな態度を取ってイイか分からないって言うのが、正直なところだ。


 私からは、言葉を発し難い。

 そもそも、何を言って良いのかが分からなかった。


 すると、

「それにしても、随分と綺麗になっちゃって。男に不自由してないんじゃない?」

 とお母さんからの言葉が。

 たしかに、私が本気になれば、男には100%不自由しないんだけどさ……。

 HPが二百万もある訳だからね。


「でも、一緒になったのは女性でね」

「えっ?」

「この娘。ヴァナディスって言うんだけど、彼女が私の嫁」

「あら、この娘も凄い美人。亜紀がお世話になってます」


 ヴァナディスの存在が、一先ず緩衝材になった気がした。

 それにしても、相手が男性じゃなくて女性だって言ったのに、お母さんは全く動じていないなぁ。


 元々、我が道を進むと言うか、一般常識に囚われない人だったから、その辺は個人の自由って思ってくれているのかも知れない。

 知らんけど!



 その脇では、ラヤが両手を合わせて何やら祈りを捧げていたけど、急に快晴の空がどす黒い雲で覆われた。

 しかも、もの凄くイヤなオーラが接近してくるのを感じたよ。



 突然、辺り一面に、

「我を呼ぶものはお前か?」

 と力強い男性の声が響き渡った。


 そして、まさかと思ったけど、次の瞬間、十二枚の漆黒の翼を持つラフレシアが私達の前に姿を現した。

 この女、なんてモノを呼び出しやがった!

 やっぱり、コイツは、まだラフレシアの手先なのか?


 ただ、ラヤが、

「はい。お久し振りです」

 とラフレシアに言ったんだけど、ラフレシアからは、

「久し振りだが、女神側に寝返った裏切り者になど、俺には用は無い!」

 と冷たく一蹴。

 完全に両者の関係は途切れていたようだ。

 つまり、私の心配は杞憂だったってことだ。

 ちょっと安心したよ。



 ラヤとラフレシアの会話が続いた。

「実は、リニローラ様からの依頼でデボニアンの世界に行くことになりまして」

「デボニアン? あんなところに行くのか?」

「はい」

「俺は勧めんがな。あそこは、あの世界の堕天使マンドラゴラが支配する世界でな。さすがに俺の目から見てもヒドイ世界だ。やめるなら今のうちだぞ」


 ちょっと待って?

 ラフレシアは、この世界のサタン……だよね?

 そのサタンがヒドイって言うレベルって、どんなの?


 リニフローラって名前は、以前、ミチルさんから聞いた記憶があるけど、たしか、この世界を創世した女神だよね?

 もしかして、ラヤは、その女神の依頼で、そんなとんでもないところに行かされようとしているってこと?

 それって、いくらなんでもヒドくない?


 さすがのラヤも、

「そ……そうなんですか?」

 ちょっと声が震えているような気がした。



「一応、忠告はしたぞ。どうも、イヤなヤツが来る気配がするんでな。俺は、ここで退散させてもらう。無事を祈っているぞ!」


 そう言った直後、ラフレシアは忽然と姿を消した。

 まさに逃げたって感じだった。


 そして、ラフレシアと入れ替わりで、今度は神々しいオーラに満ち溢れた女性が姿を現した。

 彼女は、背に一対の大きな白い翼を備えていた。

 完全にラフレシアとは対照的な存在に違いない。


「ラヤ」

「お久し振りです」

「面倒をかけるけど、よろしくお願いね。あと、アキ」

「はい?」

「アナタに会うのは、これが初めてですね。私の名はリニフローラ。この世界を創世した者です」


 コイツが、ラヤを変なところに派遣しようとしている女神……いや、ダ女神か?

 そんなことは、さすがに口には出せないけど。

 一先ず、相手が相手なんで、当たり障りのない態度で接しておこう。


「では、女神様?」

「私のことを、そう呼ぶ者もいます。ラフレシアが召還した者達を何人も排除してくれて、アナタにも礼を言います」

「いいえ、別に私なんか」


 正直なところ、今更、礼を言われてもね。

 それに私は、私自身の生活を守るために戦ってきた部分もあるし。

 特にダ女神から頼まれてやったつもりは無いよ!



「では、ラヤ。この宇宙艇に乗りなさい」


 そう言うと、ダ女神は、宇宙艇を魔法の如く、ポンと出しちゃったよ。

 たしかに女神と言うだけのことはあるね。

 私の物質創製魔法(エロ限定)なんかよりも何倍も凄いや。

 でも、だったらラヤに振らずに自分で問題解決すればって思うところもあるけど。



 早速、ラヤは、その宇宙艇に乗り込もうとした。

 そして、ラヤを追うようにお母さんも宇宙艇に乗り込もうとしたんだけど、

「フユミさん。デボニアンに行くのは私だけですけど」

 とラヤが言った。


 当然、お母さんは、これに納得が行かない様子だった。

 別の異世界から、ワザワザこの世界まで来たんだもんね。自分もデボニアン世界に同行するモノだと思うよね?


 勿論、私だってラヤを援護してあげたい。

 お母さんと再会させてくれたお礼もあるしね。

 気が付くと、私は、

「さっきのラフレシアの口調からすると、とんでもない世界なんでしょ? だったら、ミチルさんを連れて来るから、私とミチルさんも一緒に行くよ」

 とラヤに言っていた。

 同時に私は、ラヤを敵視していた頃とは完全に180度反転している自分に驚いたよ。

 まさか、ラヤに向かって、こんな言葉を口にするとはね。



 ところが、その直後、私もお母さんも、突然、金縛りにあったかのように身体が動かなくなった。

 どうやら、このダ女神の仕業のようだ。


 しかも、そのダ女神からは、

「他の人はラヤの足手まといになります。なので、アキもフユミも、この地でラヤの帰還を待っていなさい」

 との言葉が。

 そもそも、ダ女神には、私達を同行させる気など無いようだ。



 そして、ラヤは、脇目も振らずに単身で宇宙艇に乗り込むと、さっさと空の彼方へと飛んで行ってしまった。


 その直後、ダ女神も、空高く上って行き、姿を消した。

 もう用が済んだってことなんだろう。

 私達の身体が動かせるようになったのは、ダ女神が姿を消してから、数分してからのことだった。



 呆然とする私の頭の中に、ダ女神の声が響き渡った。

「ラヤには、デボニアン世界の悪しき支配者を倒してもらいますが、その支配者は若い女性が好みでして、彼に近付くためには十代の女性であることが必須になります。恐らく外部から来た者は、男性も二十歳過ぎの女性も、近づくことすら許されないでしょう。また、身体の一部が作り物となっている人間も排除されます。彼が、作り物部分に爆弾等が仕掛けられている可能性を疑っているからです。当然、全てが作り物のアキでは、到底近付くことすら許されません。そのため、アキもフユミもミチルも同行を許可出来ないのです。ラヤは今でも最凶魔法を使うことが可能です。ですので、今は、ラヤの勝利を信じて待ちなさい」


 つまり、ラヤは、そのデボニアン世界の支配者の首を、ささっと刎ねて帰って来るってことか。

 でも、それって、そのダ女神の指示で首刎ねするってことだよね?

 何て指示を出すんだろうか、この世界のダ女神とやらは。


 ユキの話では、ラヤは既に殺人鬼を卒業したってことだったじゃない?

 それを今更、蒸し返せだなんて。

 少し、ラヤに同情したよ。



 ただ、さっき、ダ女神は、私のことを、

『全てが作り物』

 って言ってたよね?

 もしかして、お母さんの脳内にも、この言葉が直接伝わっているんじゃない?


 さすがに、お母さんには知られたくなかったな。

 いくらなんでも、自分の娘が生きた人形だって知ったら、お母さんだってショックを受けるんじゃないかな?


 でも、表情を見る限り、余り衝撃を受けていなさそうな雰囲気だった。

 もしかして、お母さんにはダ女神の言葉が聞こえていなかったのかな?

 あるいは、私が等身大美少女フィギュアだってことを、ラヤから予め聞かされていたのかも知れない。



 それはともかく、恐らく、ダ女神はラヤの勝算が高いと踏んでいるんだろう。

 それに、万が一のことがあっても復活させるとか、そう言った配慮も頭に入れているのかも知れない。


 とは言ってもね。

 仮にそうだったとしても、私もお母さんもラヤのことが心配だよ。

 さすがに、その日は一日、二人してブルーになっていた。

 奇跡の再会を果たせたのに、なんか空気が重いよぉ。

 これも全部、ダ女神のせいだ!


 …

 …

 …


 次の日、私は店を休業した。

 せっかくだし、気を取り直してお母さんをディスプロシ島に連れて行ってあげたいって思ったんだ。

 ラヤのことは心配だけど、今はラヤが無事帰って来るって信じるしかないからね。


「実はね、お母さん。この世界にマナミも来ているんだ」

「ホントに? マナミちゃんも、この世界に来てるの?」

「うん。もう三年くらい前かな。交差点で斜め後ろから車にはねられて」

「それで転生したのね」

「そうらしい」

「でも、あのマナミちゃんがねぇ」


 お母さんから見たマナミの像は、

『しっかり者で成績優秀』

『自分の娘には出来過ぎた友人』

 なんだよね。


 ハッキリ言って、自分の娘の言うことよりもマナミの言うことの方を信じる感じかな?

 でも、言い換えれば、マナミが同じ世界にいるってことで、お母さんには、結構安心してもらえそうな気がするよ。


「今、マナミはディスプロシ島にいてね。ヴァナディスの故郷なんだけど」

「へー。遠いの?」

「でも、私の連続転移で行けばすぐだよ。それと、島に温泉があるんだけど、マナミが私達の地元の温泉に似せて施設を作ってさ。ホント、懐かしい感じがした」

「そうなんだ。でも、連続転移って」

「私は、一回に二キロしか移動できないんだけど、それを五十回まで連続使用できるんだ。まあ、島に行くには連続転移を何回か繰り返すことになるけどね」

「だったら、私の転移魔法で行った方は無難かもしれないわね」

「お母さん、転移魔法使えるんだ!」

「使えるのは転移魔法と薬作りの能力くらいだけど」

「じゃあ、お母さんの転移魔法でお願いする。実は、連続転移を繰り返すんだと、ヴァナディスが酔うからさ」

「酔うって?」

「私は何ともないんだけど、何十回も連続で転移するから体調が崩れるみたいなのよ」

「そうなんだ。なら、私の転移の方がイイわね。一回で行けるはずだから。それで、地図とかある?」

「一応、これ。この南の島がディスプロシ島ね」


 私は、お母さんに世界地図とディスプロシ島の地図を渡した。

 世界地図はA2用紙くらいの大きいヤツ、ディスプロシ島の地図はA4用紙くらいの大きさのヤツね。



 この世界にも、一応、地図が存在する。

 とは言っても、二十一世紀の地球と比べたら、精度が低くてチャチなモノしか無い。

 残念だけど、科学力が低いからね。

 でも、一応、方角と距離くらいは大体分かる。


「できれば、島の温泉……この辺りだけど、ここに一気に行けると有難いかな。多分、マナミはそこに居る気がするんで」

「たしかに温泉が好きだったからね、あの娘。じゃあ、行くよ。ヴァナディスもイイかしら?」

「はい」

「じゃあ、転移!」


 お母さんの転移魔法が発動した。

 たしかに、私の転移魔法とは全然違う。

 雰囲気としては、ニコラス……ニオベの彼氏ね……の転移魔法に近い。

 それだけパワーが強力ってことだ。



 そして、次の瞬間、私達はディスプロシ島の温泉施設の前にいた。

 その施設は、私達の『地球時代の地元の温泉』を模倣して作られていた。

 マナミが、彼女の記憶を頼りに、真似て作ったから、こうなったんだけどね。


 お母さんも、

「これって……」

 さすがに驚いていたよ。

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