表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/210

78.取扱説明書くらいキチンと読めよって思う!

 ビナタの町は、朝から快晴!

 とても気持ち良く一日が過ごせそうな予感。


 私は、早速、ヴァナディスと二人で店を開けた。

 客の入りは、まあ、普通?

 何時もの日常が始まった……はずだった。



 ただ、このブルバレン世界での私の日常を、悪い意味で、一気に非日常に変える輩が複数人いる。

 一人目はユキ。

 私の大学時代の同期で、この世界の大天使セクロ……なんとかに召喚されたけど、全然何もしないので、天界からは働かない女って言われているヤツ。


 そして、もう一人。

 私の中学時代の同級生で、晴れの日の温度変化を知らなかった女。

 アタマ弱い系のマリカだ。



 マリカは、エロ系宗教の教祖で、不眠不休で信者の男性と毎日Hしまくっているわけだけど、この日、何故か彼女が単身で転移魔法を使って私の前に突然現れた。

 大抵、複数人の男性を従えていると思ったんだけど?


 しかも早朝だよ?

 仕様から考えて夜型だよね?



 取扱説明書:アキ-108号は、基本的には、どちらかと言うと夜行性です。



 取扱説明書:マリカ-1919号も、基本的には夜行性です。



 この時、彼女は妙に嬉しそうな表情を見せていた。

 勿論、そこら辺の男性を誘うが如く、HP……ハレンチパワーを全開にしていたけどね。


「アキ! やっとレベルが一万を超えたよ!」

「レベル?」

「ほら、これを見て!」


 マリカが自分のステータス画面を立ち上げて、私にも見えるように設定を切り替えた。

 そこには、以下の通り記されていた。



 Lv:10,003

 HP:2,000,000/2,000,000

 MP:0/200

 SP:0/200

 STR:200

 VIT:300

 DEX:200

 INT:200

 AGI:200

 LUK:200



 HPは言うまでもなくハレンチパワーね。

 MPはマゾポイントでSPはサドポイント。

 これら三つは、人間の場合、最大でも100とされている。

 あと、MPとSPが0なのは、別にプレイをしているわけじゃないから意図的に抑えているってことだ。


 ちなみに私の嫁のヴァナディスはHPが98/98と、一般的には極めて高値を示す女性なんだよね。

 だから、最高に美人(人間)だよ!



 それから、STR、VIT、DEX、INT、AGI、LUKも、この世界の人間だと、どんなに高い人でも100程度が最大だって私の取扱説明書には書いてあった。

 それが、マリカの場合、VITが300で、他が200もあるわけだから、実は尋常ではない高値だと言える。



「レベル一万越えだよ! 凄いでしょ! 他の数値は転生した時から全然変わらないけどね。ちなみにアキはどんな感じ?」


 こうマリカに聞かれて、私は自分のステータス画面を立ち上げてマリカに見せた。

 余り他人に見せるモノじゃないんだろうけど……。

 今の私のステータスは以下の通りだ。



 Lv:1

 HP:2,000,000/2,000,000

 MP:0/200

 SP:0/200

 STR:200

 VIT:200

 DEX:200

 INT:200

 AGI:200

 LUK:200



 実を言うと、私のステータスとマリカのステータスは、LvとVIT以外は完全に同じなんだよね。

 しかも、私もマリカと同じで、Lv以外は初期値から変わっていない。

 魔導士エロスに製作された直後と今で変わっているのは、Lvが0から1に変わったことだけだったりする。


 ちなみに、マナミも私と完全に同じステータスだと思う。

 彼女もLvは1のはずだからね。



 私のステータスを見て、マリカは、

「レベル上げが全然じゃない?」

 と見下しつつも、やたら嬉しそうな顔で私のことを見ていた。


 そして、

「まあ、アキもしっかりレベル上げに励みなよ!」

 と言うと、マリカは転移魔法で私の前から姿を消した。

 単にLvが一万を超えたので、自慢しに来たかっただけのようだ。



 この時、なんか、ヴァナディスが不機嫌そうな顔をしていた。

 私がレベル1と言われて面白くないようだ。

 ただ、それって誤解なんだけどね。


「あのね、ヴァナディス。私とマリカのステータスなんだけど、マリカは勘違いしているから」

「勘違いって?」

「つまりね……」


 私は、このステータスの意味を、ヴァナディスに順に説明していった。

 一般に言われているモノと全然違うってことをね……。



 私の中にプレインストールされた取扱説明書内の記述によると、先ず、LvはLevelじゃなくてLover、つまり愛好者を意味している。

 実質的には使用者数を表しているらしいけどね。

 なので、私のLvが1なのは、ヴァナディスしか使っていないことを意味している。


 マナミの場合もケイコしか使っていないはずだから、Lvは1のはず。

 つまり、マリカは念願の一万人切りを達成したってことだね!


 でも、人数を示すんだったら、単数複数の両方を示す意味で、Lover(s)が正しいのかな?

 だとすると、LvじゃなくてLv(s)が正しいのかも知れないけど……、魔導士エロスがLvに決めたってことで、ここは了承して欲しい。



 マリカ教本拠地のネトリ村でも、第二支部があるスプマ町でもマリカ教は精力……じゃなくて勢力拡大しているみたいだからね。

 信者数も増えているって話だし、まあ、マリカの一万越えは想定の範囲内だよ。



 ただ、そのお陰でスプマ町では、マリカ教に入信する男性が急増して大問題になっているらしい。

 それから、ゲートで繋がっているディスプロシ島にも、スプマ町とディスプロシ島を繋ぐ各中継点となる島々にも、マリカ教の魔の手が伸びているって話だ。

 本当に迷惑なヤツだな。



 次にSTRだけど、これはStrengthじゃなくてStripping……ここでは『脱ぎっぷりの良さ』を示しているらしい。

 そもそも、大人のための動く等身大美少女型魔玩具だからね。

 Strengthが高値である必要は無いってことだ。

 むしろ、仕様から考えれば、脱ぎっぷりの方が大事ってことだね。



 VITはVitalityで、一般に言われているのと言葉自体は同じだけど、ただ、ここでは飽くまでも『Hな方面での体力』のみを指している。

 言ってしまえば、連続で何人でもHの相手をすることが可能ってことだ。



 取扱説明書:アキ-108号は、100人乗っても大丈夫です!



 取扱説明書:ついでに、100人に乗っても大丈夫です!



 取扱説明書:マリカ-1919号は、何人乗っても大丈夫です! 上限はありません!



 取扱説明書:ついでに、何人に乗っても大丈夫です! こっちも上限はありません!



 なので、少なくとも、ここで言うVITは、防御力ではない。

 股を防御しちゃったらHできないからね。

 それだと、私達の仕様に反することになる。


 あと、この機能については、マリカの方が私よりも優れている。私が200でマリカが300だからね。

 この差が対応人数の差に繋がっているってことだ。



 DEXとINTもDexterityとIntelligenceで、一般に言われているのと言葉自体は同じだけど、『Hな方面での器用さと知識』をそれぞれ意味している。



 取扱説明書:アキ-108号は、Hに必要なモノなら何でも魔法で作り出せます。また、Hの道具を何でもそつなく使いこなすことが可能です。その道具に関する知識も豊富です。



 だから、Hの道具を器用に使いこなすことが出来るし、Hなことにも、Hの道具のことに関しても、妙に詳しかったりするってことだ。



 AGIは、Agilityではなくて、Attempting Genital Insertionだそうだ。

 つまり、『性器挿入の試み』ってことらしい。

 私自身は、まだ男性器の挿入を試みてはいないけど、潜在的には、それを強く試みる性質にあるってことだろう。

 そもそも、そう言う魔玩具として生まれたわけだからね。


 その特性値が、人間の最大値が100のところ、私達は200もあるってことは、まあ、それだけ尋常ではないレベルでエロってことだ。

 言っていて自己嫌悪に陥るな……。



 最後にLUKだけど、これはLuckではなく、Lusty Knight……つまり『好色な騎士』ってことらしい。

 言ってしまえば、望んで『クッコロ』しに行く女騎士ってとこかな?

 その素質が、どれだけあるかってことのようだ。

 まあ、私達の仕様を考えれば、そんなモノだよね?



 この説明を聞いて、ヴァナディスは、私のLvが1だってことを喜んでくれているみたいだけどさ。

「良かったけど……」

 って言いながら、何か複雑な顔をしていたよ。


 自分しか使っていないことが、キチンと記録として証明されたのは嬉しいけど、問題は私の仕様なんだよね。

 どう考えても、他の人ともホイホイHしそうなステータスだもんね。

 もっとも、そうなっているのはマリカだけで、私もマナミもLv1のままだけどさ。



 それにしても、マリカには、今更だけど、

『自分の取扱説明書くらいキチンと読めよ!』

 って言ってやりたい気がする。

 教科書すら開かないレベルの活字嫌いだったから、ムリなのは分かっているけどさ。


 …

 …

 …


 次の日も朝から快晴!

 ただ、この日も早朝から、私を非日常に誘う女が私の店に来た。

 言うまでもない。

 働かない女、ユキだ!


「来たよー」

「またラフレシアが何か呼んだの?」


 大抵、この女が来る時は、堕天使ラフレシアが、何らかのアクションを起こした時だからね。

 さすがに私も、ちょっと警戒した。

 また、変な戦いに巻き込まれるんじゃないかって思ったんだ。


「今日は、そうじゃなくて、カップラーメンを買いに来たんだよー」

「買いに?」

「ちゃんとお金は払うから、二箱頂戴!」


 空耳じゃないよね?

 コイツが金を払うって?

 これは、せっかくの快晴が一気に崩れて、絶対に嵐になる。

 そんな予感がしたよ。


「一箱24個入りを二箱でイイ?」

「イイよー」

「銀貨四枚だけど?」

「全然、大丈夫だよー」


 しかも、値切ろうともしないなんて……。

 もしかすると、これは嵐どころか、恐竜を絶滅させたレベルの小惑星が降るかもしれない……なんて不謹慎なことを一瞬考えてしまったよ。



 一先ず私は、

「出ろ!」

 ユキが所望するカップラーメン二箱を物質創製魔法で出した。


 基本的に、取扱説明書に記載された通り、私はHに関係するモノしか魔法で出せない仕様になっている。

 でも、カップラーメンを余裕で出せるのは、それをHな方に使う男性が、世の中に存在するからだ。


 食べ物を粗末にして欲しくは無いけど、そんなことをする男性に、ある意味感謝しなくてはならないのかも知れない。

 特にユキはね!

 この世界でユキがカップラーメンにありつけるのは、その男性達のお陰なんだから!



「じゃあ、二箱ね」

「ありがとう」

「じゃあ、銀貨四枚で」

「了解」


 ユキが普通にお金を払ったよ。

 本当に珍しいことも有るもんだ。


「そうそう。ラフレシアは何も動きを見せていないけど、大天使セクロピアが言うには、なんか、とんでもないゲストが来るらしいよー」


 そうだった。

 コイツを召喚したのはセクロピアだったっけ。

 何時も名前を忘れるんだよね。

 それで、セクロ……なんとかってなっちゃうんだ。

 でも、これも明日には忘れているんだろうな。



 取扱説明書:アキ-108号は、聞いた単語と語呂が近いHな単語しか思い浮かばないことが多々あります。



 この機能は必要無いと思うんだけど……。

 でも、この機能に関係なく、セクロピアって言葉が思い出せなくなりそうって考えるのは私だけじゃないと思う!



「ゲストって?」

「私も詳しいことは知らないけど」

「そうなんだ」

「じゃあ、私は、なんか嫌な予感がするからゲストが来る前に逃げ……帰るねー」


 コイツ、一瞬、『逃げる』って言おうとしなかったか?

 もしかすると、ユキはゲストの正体を知っているのかも知れない。

 本当に、イソイソと引き上げて行ったよ。



 ゲストの正体は気になるけど、少なくともラフレシアが召喚した者でなければ戦いに発展することは無いだろう。

 気を切り替えて、私は店の方に集中することにした。


 …

 …

 …


 そろそろ、お昼近くの時間だ。

 この時、二人の女性が私の店の方に向かって歩いて来る姿が、私の目に留まった。

 片方は十代半ばで、もう片方は二十代半ばから後半くらいに見える。


 二十代の方の女性は、私にとって初めて見る顔だ。

 ただ、私には、もう片方の十代半ばと思われる女性の姿に苦い思い出があった。



 もう随分も前の話だけど、首ちょんぱ魔法を使って、軍人達の首を大量に刎ねまくった女がいた。

 その女の名前はラヤ。

 普通に考えれば、もう二十代のはずだけど……。

 その十代半ばっぽい女性は、当時のラヤに瓜二つの姿をしていた。


 以前、ユキからは、

『ラヤは女神リニフローラから治癒魔法を与えられて、他の異世界で人を救うのを仕事としている』

 って聞いていたけど、やっぱり私の中では、ラヤは大量殺人鬼に他ならない。

 当然、嫌悪感が走るし、私自身、目付きがきつくなっているのが分かる。



 そして、二人が店の前まで来ると、その十代の女性が、

「アキさん」

 と私に声をかけてきた。


 この姿で私のことを知っていると言うことは、やっぱり、この女性は、例の最凶の破壊者なんじゃない?


「もしかしてラヤ?」

「そうです」


 予感的中。

 それにしても、何故、今更ここに来たんだろう?

 この世界を再び破壊しに来たんじゃなければイイんだけど……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ