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67.衝撃?

 転移魔法終了。

 無事に私は、シルヴィア教総本山の前に姿を現した。

 ただ、今までお堅い女を演じていたシルヴィアが、いきなり全裸だったんで信者達はムチャクチャ驚いていたよ。


 一方の私は、布面積が極めて少ない白のビキニ姿だったけど、信者達の視界には全然入っていなかったよ。

 別に見せる気も無いけど。


 なので、

「出ろ!」

 私は、早急に物質創製魔法で服を出して、急いでそれを身に付けた。



 丁度この時、シルヴィアは私のことなど目もくれず、信者達に、

「今まで私が課した苦しい禁欲課題をよく成し遂げました。これから、そのご褒美を与えます」

 と言っていたんだけど、全裸で言うご褒美って何?


 まあ、だいたい想像つくんだけどさ。

 そして、シルヴィアは信者達を連れて総本山の中へと消えて行った。



 その数分後、

「うわぁ!」

「うっ!」

「うおぉぉ!」

「うぅっ!」


 なんか、信者達の気持ち良さそうな雄叫びが総本山の中から聞こえて来たよ。

 間違いなく一対多数でナニをやっているんだろうね。


 ビナタの町のヤロウ共は興味津々だなぁ。

 指をくわえて総本山の方をジッと見詰めているヤツ多数だったよ。



 私は、性的大ドンデン魔法アナザーベクトルで、シルヴィアを『淫猥な男好き』に変身させてやったんだ。

 つまり、マリカ二世ってとこだね。


 なので、禁欲第一の宗教から完全に百八十度ひっくり返って、マリカを教祖とする淫猥な宗教と同様のモノに変わっちゃったってこと。

 女性の服を着るのがイヤで、身体構造上は超エロイ身体つきの女性で、それでいて淫猥な男好きってことは、二十四時間全裸でヤリっぱなし状態にしかならないだろう。

 もう、あとは勝手にヤッてくれ。



 一応、シルヴィアにはディスプロシ島行きのゲートを壊すつもりは無いみたいだし、それさえ分かれば、もうここに用は無い。


 なので、

「帰るよ!」

 私は、そうビナタ町の連中に言ったんだけど、そうしたら、

「えぇぇ?」

 シルヴィアに興味があるのか、総本山の中に入って仲間に加わりたいのか、いずれにしてもコイツ等は、まだ帰りたくないって感じを全面に出していたよ。


「帰らないなら置いて行くよ!」

「じゃあ、付いて行くから戦闘服になってくれ!」

「はぁ?」

「そうだ、脱げ脱げ!」

「それくらいサービスしろ!」


 まったく、コイツ等……。

 でも、マジで置いて行くわけには行かないからね。

 折角出したばかりの服だったんだけどなぁ。


「超高速稼働!」


 ふたたび私は、服を一瞬のうちに空気摩擦で焼き尽くして戦闘服姿になったよ。

 もったいないとは思ったんだけどね。


 この私の姿を見て、ヤロウ共は、

「おお!」

「さすがアキちゃん!」

「やっぱり、これが一番似合ってるよ!」

「愛してるぅ!」

 いつものような反応を示していたけど……、本当はシルヴィア教の信者達が羨ましいんだろうな。


 でも、私は絶対にヤラせないけどね!

 本当は、そう言う仕様なんだけどさ……。



 一先ず帰る気になってくれたので、

「転移!」

 コイツ等の気が変わらないうちに、私はコイツ等を連れて連続転移に入った。


 妻帯者もいるしね。

 キチンと連れて帰らないと、後で私が奥さん連中から怒られそうだもんね。



 そして、数分後にビナタの町についたんだけど、

「おぇっ!」

「うげっ!」

「ゲロゲロゲロ……」

 みんな、胃の中からエクトプラズム的なモノを出していたよ。

 まあ、これも想定の範囲内だけどね。


 …

 …

 …


 数か月後のことだ。

 西の方角から、大人数の男性一行がビナタの町に入ってきた。

 なんだか、行進しているって感じかな?


 見たことの無いヤツ等ばかりだったんだけど?

 しかも、これって全部で千人以上いるんじゃない?



 行列の先頭では、屈強な男性達が数人で神輿みたいなのを担いでいた。

 ただ、神輿にしては、少し大きいんだよね。


 その神輿の中からは、淫猥な雰囲気が漂っていた……って言うか、超高値のHP波動がダダ漏れなんだよ!



 町中の女性達が、その神輿みたいなのに向けて、殺意にも似た負のエネルギーを一斉に放っていた。


 しかも、女性達は私の姿を見ると、

「あの中に乗ってるのって、アキちゃんじゃなかったの?」

 って言ってきたよ。

 町のみんなの中では、超高HPイコール私ってことになっているからね。



 でも、この雰囲気を出せる輩は限られている。

 しかも、平気で超高HP波動を出して男をはべらせる性格の奴は二人しか心当たりが無いよ。少なくとも私とマナミは除外だ。

 さらに西の方角から来るって言ったら、一人に絞られる。


「もしかしてマリカ?」

 私が大声でそう言うと、

「もうアキのいる町に着いたんだ!」

 って言いながら神輿みたいな中から淫猥な姿をした一人の女性が顔を出して来たよ。



 私は、その女性のステータス画面を覗き見した。

 名前欄にはマリカって書いてある。

 以前とは違う顔になっているけど、間違いない。コイツが性なる魔玩具に生まれ変わったマリカだ。


「何しに来たの?」

「ちょっと東に向けて旅をしているのよ」

「この行列は何?」

「勿論、私の忠実な下僕達。テヘッ!」

「私を攻めに来たの?」

「違う違う。ラフレシアからはアキとは戦うなって言われているから。私が好きなように、この世の中を乱せばそれでイイって」

「まあ、たしかに乱れているんだろうけど……。でもさ、一応、HPを下限まで下げられないかなぁ。周りの女性達が殺意を抱くし、男性達は脳内ドピンクに変わっちゃうし」

「それはムリね」

「なんでぇ?」

「だって、この超高HPで下僕達を繋いでいるようなものだもん。HPを下げたら下僕達が離れちゃうじゃない?」


 まあ、所詮、性なる魔玩具なんて、そんなもんだよね。

 元々、高HPを撒き散らして、ひたすらHする存在って設定だし。

 私は、そうなりたくないけど。


「でも、この町にいるんだったらHPを下げてもらわないと」

「すぐ立ち去るわよ。ここは、単なる通過点だから」

「じゃあ、何処に行くの?」

「オルキス共和国のスプマまで、ちょっと」

「何が目的なの? もしかしてケイコとマナミのゲート?」

「そうじゃないってば。ラフレシアの性転換魔法を受けて来たのがいるでしょ?」

「シルヴィア?」

「そう。そいつを粛正しにね」

「粛正ねぇ」

「だって、超高HPを撒き散らして信者達と楽しんでいるらしいじゃない?」

「マリカもでしょ?」

「私は、それ専用機だからイイの! とにかく、もうすぐ、うちの転移魔法使い達のパワーが復活するから。そうしたら、すぐに立ち去るから」

「町の人達の迷惑になるから急いでよね!」

「分かってるわよ!」

「本当は、私の家の裏の荒れ地に出て休んでもらった方が助かるんだけど」

「そうね。たしかに、それなら町の人達の邪魔にならないかも。じゃあ、そうする!」


 マリカは、そう言うと神輿を担ぐ男達に何やら指示を出した。

 すると、早速、マリカ達一行はビナタの町を通り抜け、私の家の裏の荒れ地に出て、そこで腰を下ろした。

 しばし休憩ってとこだろう。

 ちなみに、この荒れ地は、花火大会で使っていたところね。



 よく見ると、一人だけ知った顔をした男がいたよ。

 宇井武司だ。

 私の元彼の友人の一人で、そう言えば、偶然、時空の狭間に入っちゃって、この世界に来ちゃったって話をユキから聞いたっけ。


 別に名前とは違って『浮いた』ヤツじゃなかったけどね。

 周りからは、そんな感じで言われて茶化されていたけど。


 ただ、誰かに望まれて召喚されたわけでもないから、特に異世界転移の特典魔法とかを貰えていないらしい。


 今のところ、向こうは、こっちの正体に気付いていないっぽいね。

 まあ、分からないままの方がイイよ!



 それから数十分後。

 十人くらいの男性が立ち上がると、一斉に、

「超転移!」

 って唱えた。


 すると、マリカ御一行様の姿が、荒れ地から忽然と姿を消した。転移魔法使い達が魔法を融合して御一行様全員を転移させたってことか。



 まあ、正直言って私自身は、この町が平和なら別にどうでもイイんだけど、でも、スプマ町にはディスプロシ島行きのゲートがあるからね。

 さすがに、あのゲートのことは心配だよ。


 シルヴィアは破壊する気は無いって言っていたけど、マリカは何をしでかすか分からないからなぁ。



「ヴァナディス」

「なに?」

「ゲートが心配だから、一応、様子を見に行ってくる」

「分かった。ゲートのこと、お願いね」

「了解。転移!」

 と言うことで、私は連続転移魔法を使って単身でスプマ町へと急いだ。



 私がスプマ町に着いた時、まだマリカ達の姿は見えなかった。

 どうやら、私が追い抜いたっぽい。


 まあ、向こうは、かなりの大人数での転移だからね。一気に移動できる距離も限られているんだろう。

 一先ず私は、シルヴィア教総本山の近くで腰を下ろしてマリカ達が来るのを待っていた。



 それから数時間後、ようやくマリカ達一行が転移して現れた。

 着いていきなり、マリカは神輿みたいなのから出て来ると、

「行っけー!」

 下僕達に突撃命令を出した。


 端から話し合いをする気なんて毛頭ないってことか。

 頭脳労働が嫌いなマリカらしいや。


 そして、下僕達はシルヴィア教総本山のドアを突き破ると、流れ込むように総本山の中に突き進んでいった。


「女性教祖一人に男性多数で相手をする正統宗教はマリカ教だ!」

「いや、シルヴィア教だ!」


 なんか、訳の分からない宗教同士の激突で、中ではムチャクチャの戦闘状態になっているっぽい。


 ただ、マリカ教信者もシルヴィア教信者も、共に超高HPに晒されて思考回路がおかしくなっているはずだからね。

 多分、正気を取り戻したら、思い切り自己嫌悪に陥るんじゃないかな?



 HPによる支配だから、本来なら5%とは言え高い値を持つシルヴィアが有利だね。

 私と初めて会った時のシルヴィアは、中身が単なる女装好きの男性だったから、スプマ町の男性達もビナタ町のヤロウ共も私の方に強く反応していたけどさ。


 でも、今のシルヴィアは見た目が超美女なのに加えて、中身が男大好きな完全なる淫乱女性になっているからね。

 戦っているうちに、マリカの下僕達の中にシルヴィア教に寝返るやつが出て来たよ。


「俺はシルヴィア教に改宗(かいしゅう)するぞ!」

「俺もだ!」

「俺も!」


 さすがに、これにはマリカも半ば切れていたよ。

 絶対に誰にも負けないはずだったHP勝負で敵わない相手が出て来たんだもんね。


 そして、

「下僕がナニふざけたこと言ってんのよ!」

 マリカが、こう言い放った。


 すると、元下僕の一人が、

「しょうがねえだろ! あっちの方がエロいんだから!」

 との回答。

 これを聞いて、マリカの中で何かが切れた。


「お前等、そいつの正体を知っているのか? シルヴィアなんて名乗っているけど、そいつの本名は黒沼団十郎だぞ!」


 この言葉に、シルヴィア教信者達は唖然としていた。

 そりゃあ、ここまでゴツイ名前を出されたら『ナニそれ』って思うだろう。

 マリカの言葉がさらに続いた。


「そいつは、堕天使ラフレシアの性転換魔法で女性化した男だぞ! そんな人間相手に、お前達は興奮して喜んでいるんだぞ!」


 すると、これを聞いてシルヴィアが、

「ヒドイ! 何もばらさなくてもイイのに!」

 と、つい流れで言ってしまった。

 口が滑った感じもあるけどさ、それって完全に自分の正体を認めている……と言うか、暴露しているのと同じだよ。


 まあ中には、そう言うのもアリって思う人もいるから、別に私はシルヴィアの存在を完全否定はしないけどさ。

 でも、やっぱり嫌悪感を覚える男性はいるよね。


 しかも、今回の場合、シルヴィア教の信者達はシルヴィアが最高に綺麗でエロい女性って信じ切っていただけに、シルヴィアの中身が男性ってことを知らされて、その衝撃は測り知れない感じだったよ。

 それこそ、エネルギー充填100%超えから0%まで一気に下がったみたいだよ。

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