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60.地脈って何?

「その前に自己紹介しておきましょう。私の名前は、ソフィアと言います。ウンカ公国のレトロと言う町から来ました」

「アキです。アデレー王国のビナタ町から来ました」

「記憶を失うのは、魔力を失ったことによる副作用です。意図的に奪ったものではありません。そもそも、私の歌声を聞いて、生きている者は全て眠っていますので、私の姿を見たから記憶を消したとか言うわけではありません」

「でも、なんで魔力を奪っているの?」

「この世界の安定のためです。実は、この島は磁場が極度に狂っていて、時々異世界と通じる穴が開くことがあるんです」

「異世界?」


 つまり、二つの平行世界を繋ぐトンネルができるってことか。

 しかも、この場合は召喚術によるものではないから、自由に行き来できるってことなんだろう。

 それはそれで、マズイ気がする。


「そうです。ただ、異世界と言っても無数にありますので、そのどれに繋がるかは、その時々で異なります。ただ、その穴を通じて、本来、この世界には存在しないはずの小動物や昆虫が入り込むことがありますし、そうなった場合、当然、それらの生物に感染した種々病原体が送り込まれることになります。勿論、それらの病原体は、本来、この世界には存在しないモノになります」


 マズい気がするじゃ済まなかった。

 マジでマズかったよ!


「たしかに、モノによっては感染拡大すると、この世界を危機に陥れかねませんね」

「はい。それで、私はこの島に来て、自らの魔力で地場を安定化させて穴が開かないようにしているのです」

「でも、魔力を奪う必要は無いんじゃない?」

「穴が開くのを抑えるのは、もともと私の魔力ではギリギリなんです。ところが、穴が開く力が、ここ数年、強まっていまして、このままでは数年内に私の力では抑えきれなくなるでしょう」

「それで、少しでも魔力を強めたいと?」

「そうです。魔力ではなくHPでも構わないのですが……」

「ヒットポイント?」

「ハレンチパワーです! ただ、HPを拝借してしまうと、その人の人生を狂わせてしまうでしょう。根こそぎ奪えば人型を維持できなくなりますし、そもそも低下しただけで魅力を失ってしまいますから」


 でも、これって、もしかして私なら解決できるんじゃない?

 HP有り余ってるし。


「HPなら、いくらくらいあればイイ?」

「えっ?」

「どれくらいあれば、他人から魔力を奪わずにやって行けますか?」

「百くらいあれば余裕です」

「じゃあ、HPを百程度渡せば、もう他人から魔力を奪わなくても大丈夫よね?」

「はい」


 なら、選択肢は一つ!

 私はHPを全開にした。


 これを目の当たりにして、ソフィアは、

「ナニこれ?」

 ムチャクチャ驚いていたよ。

 数値が二百万だからね。


「百と言わず、もっと吸収しても問題ないですよ」

「なんですか? この異常値は?」

「これが、私の仕様なんです」

「もしかして、Hなことをするために作られた人形ですか?」


 バレたか……。

 その設定は無かったことにしたいんだけどね。


「一応、そうなんですけど、その辺は無かったことにしてください。正直、これだけ高値のHPを持っていますし、大幅に奪われても問題ありません。寝て起きれば、二百万に戻りますから」

「信じられません。でも、これなら百や二百奪われたところで問題無さそうですね。では、お言葉に甘えて二百程いただきます」


 ソフィアは、私の方に右手を伸ばして掌を向けた。

 そして、

「HP吸収!」

 彼女は私からHPを丁度二百だけ吸い取った。



 私のステータス画面の表示がHP1,999,800/1,999,800に変わったけど、もっと吸い取っても大丈夫なんだけどなぁ。


 ソフィアの全身から放たれる光が一層強まった。

 魔力が溢れ出ているって感じだよ。


「ありがとうございます。これで、他人から魔力を奪わなくても問題ありません」

「それで……、実はですね」

「はい?」

「オルキス共和国本土から魔法ゲートを使って、この辺りの島を経由してディスプロシ島に行くルートを作っております」

「何故、ディスプロシ島まで?」


 まあ、普通は、そう思うよね?

 ディスプロシ島って、何も無い島ってイメージしかないはずだから。


「ディスプロシ島を観光地化しようとしているんです。それで、ディスプロシ島の人達の魔法で特殊ゲートを作ろうとしていますが、それで移動できる最長距離が二百キロくらいなんです。それで、沢山の島に魔法ゲートを置いて、それらの島を中継点にして大陸からディスプロシ島まで行くルートを構築中なんですけど、その中継点に、この島も使わせてもらいたいんです」

「そうしますと、この島にも滞在する人が出てくるかもしれないってことですね?」

「たしかに、それは、あり得ます」

「それは許可しかねます。下手に建物とかを建てられて、地下に杭のようなものを打たれますと地脈が狂って、異世界に通じる穴が、別の場所に行ってしまう可能性があるからです。あの穴が、この島から移動すると面倒なことになります」


 うーん。

 なんで穴が移動するかとかは、私には良く分からないけど。

 って言うか、地脈って何?



 でも、万が一、穴が別のところに移動したら、それを探すところかは始めなきゃいけないってことになる。

 それこそ、この近辺だけに移動するって保証は無いから、世界中を探さなきゃいけない。

 たしかに、それは面倒だ。


「では、小屋を一つ建てて、その小屋の中に大陸本土側に行くゲートとディスプロシ島側に行くゲートを設置して、この島は基本的に素通りする形にそれば良いでしょうか?」

「そうですね。それなら許可します。それと、小屋の設置場所は、地脈の影響のない場所として私から指定しますけど宜しいでしょうか?」

「その辺はお願いします。明日、観光地化プロジェクトの責任者が来るはずですので、明日のこの時間に、もう一度お会いできますか?」

「分かりました。では、私は一旦、戻ります。本当は、人間が来たので魔力を奪えるかと思って、ここに来たのですが、もう魔力を奪う必要はありませんので」


 そう言うと、ソフィアは忽然と姿を消した。

 幽霊だからね。

 出るも消えるも自由自在ってことなんだろう。



 ただ、今回のメンバーで、私以外で魔力を持っているのはレッドドラゴンのミチルさんだけだからね。

 下手に魔力を奪おうとしたら、幽霊とは言え、返り討ちに遭っていたかも知れない。

 ミチルさんに手を出さずに済んだのは幸いだったと思うよ。



 多分、これで私の仕事は終了!

 ってことで、私はテントに戻って寝ることにした。

 そもそも私は人形だから、寝る必要は無いんだけど……。



 翌朝。

 私とヴァナディスがテントから出て朝食の用意をしていると、

「おはよう、アキちゃん、ヴァナディス」

 ミチルさんとパラスがテントから出て来たんだけど、相変わらずミチルさんはダルそうだな。

 パラスは、スッキリしていたけどね。

 もう、所かまわずヤリすぎじゃない?

 別にイイけど。


「「おはようございます、ミチルさん」」

「で、結局、昨日の夜って何かあった?」

「実は、そのことなんですけど……」


 私は、昨夜の出来事を、順を追って三人に話した。

 まさか、この世界と異世界を繋ぐ穴が開かないように、白魔術師が幽霊になった後も守っていたって言うのには、みんな驚いていたよ。

 その穴が原因で、トンデモない病原体が入り込んだら大変なことになるもんね。



 とは言っても、私には地脈とか意味が分からなかったんだけどね。

 ただ、ミチルさんは、私の伝聞形の説明でも十分意味が理解できているようだった。


「つまり、この星の気の流れを狂わせないようにってことだね」

「気……ですか?」

「そう。人体と同じように、星にも気の流れがあるって言われていて、気の流れるところを地脈って言うんだ。杭を打った場所が偶然、地脈だったなんてことが、たまにあるらしいんだけど、そうすると、星の気の流れが変わって、今まで地震が起きなかった場所で地震が起きたりするって、そんなオカルティックな話を聞いたことがあるよ」


 ふーん。そうなんだ。

 一応、私は気の流れを掴むことは出来るけどさ……。



 取扱説明書:アキ-108号は、どのレベルのプレイができるのかを予め把握するため、相手のエネルギー状態や気の流れを確認できます。



 それで、地場が狂う場所とかが変わって、異世界に通じる穴の場所が変わっちゃうってことかな?

 良く分からないけど。


「一先ず、私がHPを分け与えましたので、もう魔力を奪う必要は無いってことです。それと、今夜、ケイコとマナミに会っていただくことにしました。小屋を建てるにも、地脈に影響が出ないよう、場所を指定するそうですし」

「なるほどね」


 そして、この後は、ケイコとマナミが来るまでヒマになってしまったわけだけど……。

 折角なので、私達は、この島の海岸で海水浴を楽しんだよ。



 ケイコとマナミが来たのはお昼ちょっと前。

「アキ。どうだった?」

 こう聞いたのはマナミ。


「実はね……」

 私はケイコとマナミにも、昨夜の出来事を説明した。

 二人共、この島が異世界に繋がる場所だと聞かされて、相当驚いていたけどね。


「じゃあ、もしかすると、その穴を通じて地球に戻れるかもしれないってこと?」

 こう言ったのはケイコ。



 ケイコは異世界転移であって転生じゃないからね。

 私やマナミは地球では死亡確認がされているけど、ケイコは行方不明者だもんね。

 家族に説明がしたいとか、あるかもしれない。


 なので、私やマナミよりも地球に戻れるなら戻りたいって気持ちは、強いのかも知れないなぁ。

 私は、こっちの世界の方がイイけどね。


「可能性はあるけど、どの異世界に繋がるかは分からないから」

「まあ、それはそうだけど……。それと、この島を中継点にする場合、この島に観光客を外に出さないことが条件ってことよね」

「そうなるわね」

「無人島だし、砂浜もあるから海水浴場にできないかなぁ……なんて思っていたんだけど、そこは諦めるしかないってことか」

「仕方無いけどね。それと、今夜だけど」

「そこは了承した。白魔術師ソフィアの幽霊に会うってことでしょ?」

「お願いね。一応、私も同席するけど」

「そうしていただけると有難いわ。よろしく。じゃあ、私達も、夜までここで時間を潰すとするか!」


 ってなわけで、私達は海水浴にバーベキューと、このフェルミ島での時間を堪能することにした。

 折角だし、別にイイよね?

 飲み物と野菜(棒状)とウインナーくらいなら、私とマナミの魔法で出せるし、他の食材はケイコに買って来てもらったけどね。

 ケイコなら私やマナミと違って、長距離の転移魔法が使えるからさ。

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