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55.好感触?

 いよいよ今日は、リビダ長官達がディスプロシ島の視察を行う日。

 なので、私の店は、本日、臨時休業となる。


 私もヴァナディスもパラスも、ディスプロシ島に行ってリビダ長官達の反応を見たいって言うのもあるけど、それ以前に、仲介者が私だからね。

 立場上、私が不在ってわけには行かないってことだよ。



 そろそろ出発しようと思ったその時、いつものアイツが来たよ。

 誰って、働かない女だよ。

 この世界に、セクロ……なんとかに召喚されたユキのことだ。

 やっぱり、『セクロ』って来たら、次に来るのは『ス』しか思い付かないよ!



 取扱説明書:アキ-108号は、聞いた単語と語呂が近いHな単語しか思い浮かばないことが多々あります。



 この機能があろうと無かろうと、この場合に限っては、結果は同じだと思うけどね。

 どう考えてもさ。



「また来たよー」

「何かあったの?」

「二点ばかりねー。一つ目はマリカのことだけどー」

「アイツ、とうとう動き出したの?」

「それが、なんか信仰宗教の教祖になったって話だよー」

「はぁ?」

「それもHしまくりの宗教で、信者は男性だけ。信者は全員出家させてマリカと一緒に暮らしているんだってー」

「あの女らしいなぁ」


 まあ、そうなるだろうって思っていたけどね。

 完全に天職だと思う。


「ほらっ。マリカはアキと同じだから睡眠をとる必要はないでしょー?」

「私はとっているけどね。睡眠自体が好きだから」

「でも、マリカは不眠不休で信者の男性とHしまくっているんだってー。それこそ、男性のがマリカの身体の中に一本も挿っていない時間は無いって。必ず、どこかしらに挿っているって状態らしいよー」

「それで、マリカはHで世界征服するとか?」

「さすがに、それは無いみたい。もう、現状に満足しちゃってるってー。マンだけにー」

「はいはい」


 コイツが、こんな低俗なギャグを言うなんて珍しいな。

 嵐でも来るんじゃなかろうか?


「で、もう一つの方が問題なんだけどねー。実は、ラフレシアが、また新たに一人、変なのを召喚したらしいよー」

「またぁ?」

「オルキス共和国の東側の高地に現れたってー」

「どんな人?」

「不感症の女性って聞いたけどー」

「えっ?」


 これは、多分、性感マッサージ魔法対策のつもりなんだろう。

 マリカの二の舞を踏まないように。


「まだ、活動は初めていないみたいだけどねー。名前はカナコだったかな?」

「じゃあ、日本人?」

「多分ねー。じゃ、また何か動きがあったら連絡に来るねー。で、今日は青果もワインも置いていないけど、どうしたのー?」

「今日は、臨時休業でね。これからディスプロシ島に行くの」

「そうなんだ。で、情報料をいただきたいんだけどー」


 うーん……。コイツ、図々しいな。

 でも、今日はワインもメロンも出さないよ。

 このバブリーな女に似合わなそうなモノでも出してやろうか?


 ってわけで、

「出ろ!」

 私は、カップラーメン(辛くないヤツ)を二箱出してやった。

 贅沢思考のこの女には、完全に無縁の代物だろ!


 って思ったんだけど……、

「うわぁ、懐かしい。これが、この世界で食べられるなんて。嬉しい!」

 逆に喜ばれたよ。

 なんか、ちょっとだけ悔しくなってきた。


「これ、好きなのよねー。でも、こっちに来たら、カップラーメンって無いじゃない? 次から情報料は、これでお願いねー。じゃあ」


 そう言うと、ユキはカップラーメン二箱と一緒に、その場から姿を消した。

 毎度の如く転移魔法を使ってね。



 それから少しして、パラスが私の家に来た。

 ミチルさんは、今日もハンター業で忙しいらしい。なので、私とヴァナディスとパラスの三人でディスプロシ島へと向かう。


 ヴァナディスとパラスは、ちょっと嫌な顔をしているけどね。

 コマギレ連続転移で酔うのが目に見えているからさ。


 でも仕方が無い。

 私は、

「出ろ!」

 海上で浮かぶためのソープマットを出すと、

「転移!」

 すぐさま、二人を連れて連続転移に入った。



 その数分後、私達はディスプロシ島のログハウスの前に着いたんだけど、

「「気持ち悪い……」」

 ヴァナディスもパラスも、完全にゲロゲロ状態になっていた。

 やっぱり、私の連続転移を何セットも連発すると、こうなるんだよね。


 でも、今日のところは我慢してくれい!

 二人には、その場で少し休憩してもらった。



 小一時間が過ぎた頃だ。

 ニオベとニコラスが私達を迎えに来てくれた。


「おはようございます」

「おはよう」

「宮内庁の方々は、既に公民館の方にいらしてます」

「そうなんだ」

「では、今からそちらに移動しますので」

「分かった。お願い」


 と言うわけで、私達はニコラスの転移魔法で公民館へと移動した。

 やっぱり、人様の転移魔法で移動する方が楽でイイね!



 公民館に着くと、そこにはリビダ長官と数人の高官達がいたんだけど、その中には何故か知った顔が……。


「お久しぶりです。サマルスキー大佐」

「今は、防衛庁の長官になったがの」

「そうでしたか。失礼しました」

「では、早速、見学させてもらうよ」

「はい。よろしくお願いします」


 早速、私達は高官達を連れてニコラスの転移魔法で移動した。

 高官達には、先ず海釣りが出来る足場と遊泳可能な砂浜をご覧いただき、その後、お食事処に移動して、ラージェスト王国の王都付近では滅多なことではお目にかかれないでろう、海産物を中心とした昼食を楽しんでいただいた。


 さらに、その後には山頂の展望台、鍾乳洞と順に移動して見学していただいた。

 特に鍾乳洞は、松明を持たずに中に入れることに、リビダ長官もサマルスキー長官もムチャクチャ驚かれていた。

 中に照明があること自体が、この世界では大変珍しいことなのだろう。



 続いて高官達には温泉に入っていただいた。

 勿論、混浴じゃないよ!


 そ……それから、私達からHなサービスなんか、一切していないんだからね!

 誤解しないでよね!



 そして、少しくつろいでいただいた後に夕食を取っていただき、その後に砂浜に移動していただき、打ち上げ花火をご覧いただいた。

 さすがに、リビダ長官もサマルスキー長官も打ち上げ花火を見るのは初めてだ。

 この世界で、これが見られるのは、ディスプロシ島と私が暮らすビナタの町しかないもんね。

 全員、今日一番の驚きの表情を見せていたよ。


「これは凄い!」

「素晴らしいですね」

「リゾート地ではなく、短期滞在型の観光地とするとの話だったが、中々素晴らしいじゃないか」

「思っていた以上だよ」


 好感触なご回答、ありがとうございます!

 ケイコもマナミも、ニオベ達も、高官達の反応を見て、かなり自信がついたようだ。



「今日は、お時間をいただき有難うございました」

「こっちこそ、面白いモノを見せていただいた。これならラージェスト王国の新しい観光地として大いなる発展が期待できると実感しました。国王陛下には、その旨を報告しておきます」

「よろしくお願いします」

「次に来る時は、仕事ではなくプライベートで来たいものだ。では、我々は、これで」


 高官達には、いわゆるタクシー係の転移魔法使いが付いている。

 その者の魔法で、彼らはラージェスト王国本土へと帰って行った。



「ホント、高官達に紹介できて良かったわ。アキ、ありがとう」

「マナミこそ、お疲れ様」

「で、こんな時にこんな話をするのは何だけど」

「マリカの件と、もう一人、ラフレシアに召喚された人のことでしょ?」

「知ってたんだ」

「今朝、働かない女に聞いた」

「あの、セクロ……なんだっけ?」



 取扱説明書:マナミ-365号も、アキ-108号と同様に聞いた単語と語呂が近いHな単語しか思い浮かばないことが多々あります。



 マナミもユキを召喚した大天使の名前を覚えていないみたいだ。

 私と同じ仕様だから仕方がないけど。


 すると、ケイコが、

「セクロピアが召還した人ね」

 と、マナミに代わって言ってくれた。


 そうそう。セクロ……なんとかは、セクロピアだった。

 でも、多分、明日になったら、私もマナミも忘れているな。


「ラフレシアは、マリカの件は半ば諦めたっぽい。まあ、一部の人間を堕落させるのには性交……じゃなくて成功したけど、全世界的ってわけじゃないからね」

「そうだね。じゃあ、私達もおいとまするね」

「そうしたら、ニコラス。アキ達をお願いできるかしら。さすがに帰りもアキの連続転移じゃ、この二人がゲロゲロになって大変だろうから」


 さすがマナミだね。ヴァナディスとパラスの状況をよく理解してくれている。

 これは有難いよ。


「分かりました。では、アキさん、ヴァナディス、パラス。お送りします」


 こう言われて、ヴァナディスとパラスの顔には安どの表情が……。

 余程、私の連続転移はキツイんだね。


 と言うわけで、

「転移!」

 私達は、ニコラスの転移魔法で私の家まで届けていただいた。


 …

 …

 …


 その翌週のことだ。

 今日は花火の日。

 リンドラー公爵夫人が大人買いに来る日とも言う。


 あの時以来、公爵夫人は夕方に買い物に来て、少し私の家でくつろいだ後に花火を見てから帰るパターンに切り替わった。

 今日も彼女は打ち上げ花火をしっかりご堪能された。

 あと、私が出すスパークリングワインと、ヴァナディスが作る美味しいおつまみもね!



 そして、その翌日、

「おはようございます」

 朝の九時くらいに、私の家の前にフロギスが来てくれた。ビスカス国王陛下付きの優れた転移魔法使いだ。


 今日は、彼の転移魔法で移動できるわけだから、私にとってもヴァナディスにとってもパラスにとっても非常に有り難い。



 彼の後には、上品かつ豪勢な馬車が一台、停まっていた。

 中に乗っているのは、言うまでもなくアスタトス王子とメリル妃。


 私達三人は、そのVIP二人が乗っている中に同乗させていただいた。

 こんな馬車に乗せていただくのは、リンドラー公爵夫人の馬車に乗せていただいて以来だね。


 そして、

「転移!」

 フロギスの転移魔法で、一瞬でディスプロシ島へと移動した。

 前回と違って、ヴァナディスもパラスもゲロゲロにならずに済んで良かったよ。



 着いたところは島の公民館前だった。

 既にマナミ達は、その場に来てくれていて、私達……じゃなくてアスタトス王子とメリル妃のお出迎えをしてくれた。

 私達は、ハッキリ言ってオマケだもんね。



 今日も、リビダ長官達の視察の時と同様に、先ず海釣りが出来る足場と遊泳可能な砂浜をご覧いただいた。

 ただ、来るのが少し早かったため、まだ昼食を取るには早い。

 それで、今回は砂浜近くのログハウスの中もご見学いただいた。



 その後、お食事処に移動して、今回もアデレー王国の王都付近では、まずお目にかかることは無いであろう新鮮な海産物を中心とした昼食を楽しんでいただいた。


 アスタトス王子もメリル妃も、

「「こんな美味しい魚は生まれて初めて!」」

 と二人してハモりながら感動されていた。

 ラージェスト王国の高官達が来た時よりも、食い付きが数段イイよ!



 続いて山頂の展望台に移動して、付近の島々の全容をご覧いただいた。ルテチア島も見えるし、反対側にはオルキス共和国に属する島々が見える。

 さらに、今日は天候に恵まれて大陸……アデレー王国も見える。


 この景色に、メリル妃は、

「うわぁ、凄い!」

 大層喜ばれていた。


 これならきっと、口コミしてくれるんじゃないかな?

 それを期待したい。

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