表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/210

45.やたらデカくない?

 取扱説明書:アキ-108号は、Hに必要なモノなら何でも魔法で作り出せます。



 と言うわけで、

「出ろ!」

 私は物質創製魔法でバスタオルを出した。

 これは、Hの前後にシャワーでも浴びたら、当然使うものだからね。

 出せないはずが無いよ。



 私は全身を拭うと、急いで服を身に着けた。とにかく私が全裸でいるのをパラスは許し難いみたいだ。

 別にミチルさんを誘惑しているわけじゃないんだけどなぁ。


 恐らく、他の女性の裸がミチルさんの視界に入ること自体、嫌なんだろうね。

 それと、私はもう一枚タオルを出すと、パラスに渡した。失禁して服が濡れているからね。それを隠すためだよ。



 でも、まあ、これで儀式は終わりだよね。

 じゃあ、ティラノ君もティラ美もごきげんよう。

 そう言えば、ティラノ君達の子供はどうしたのかな?

 ちょっと見当たらないけど……。


 気になるけど、今は急ごう。早く店に戻らないと。

 と言うわけで、

「転移!」

 私は、ミチルさんとパラス、ヴァナディスを連れて自分の店へと戻って行った。



 転移終了。

 それで、急いでお店を再開って思っていたんだけど、店の前には、実に品の良い見慣れた馬車が止まっていた。

 リンドラー公爵夫人の馬車だ。


 馬車の脇にはフロギスの姿もあった。ビスカス国王陛下直属の部下で火炎魔法と転移魔法が使える男性ね。

 ただ、国王陛下直属だけに同性愛者だけど……。国王陛下の趣味で……。



 リンドラー公爵夫人は、定期的に私の店で大人買いしてくださる大事なお客さんだ。でも、今日は、まだ来る日じゃないって思っていたんだけど、どうしたんだろ?

 大抵、毎週決まった曜日に来るから、来るなら明後日かなって思っていたんだけどね。



 私達が戻って来たのに気づいたんだろう。

 馬車の窓からリンドラー公爵夫人が顔を出して私に声をかけてきた。


「アキちゃん。戻って来たわね」

「済みません。お店を閉めていて」

「それは別にイイのよ。本当は明後日来る予定だったから」


 やっぱりね!

「今日来たのは、国王陛下に頼まれたからなの」

 そう言うと、リンドラー公爵夫人は馬車から降りてきた。


 そして、

「アキちゃんと、相方のミチルさんでしたっけ?」

 とリンドラー公爵夫人から言われたわけだけど、これを聞いて、パラスが再び私の方を睨んで来た。


 ミチルさんを私の相方って言われたのが、相当気に入らないんだろうね。

『ミチルさんのパートナーは私です!』

 って声を大にして言いたいんだろうなぁ。



 でも、レッドドラゴンになった姿を見ても、パラスの心の中からミチルさんへの独占欲が消えていなかったってことだね。

 腰を抜かして失禁していたから、少し不安だったんだよね。

 もしかして、怖くて一緒にいられないって思ったりしていないかなぁって。


 まあ、独占欲があるってことは、多分大丈夫だよね?

 それが分かっただけでも良しとするか。


「あのう。相方ではないんですけど」

「でも、アキちゃんと同じ世界から来た人よね?」

「そうです」

「それと、たしか、旧ノーソラム軍との戦いで、首ちょんぱ魔法を使う娘にトドメを刺した人よね?」

「はい」

「実は、二人に至急、来て欲しいって言われてね。ラージェスト王国の援軍として加わってもらいたいって」


 うわ。早速か。

 ミチルさんが急ぎたいって言うから、割と早く何らかのアクションが来るだろうなって思っていたけど、まさか即日とはね。

 ラフレシアが召還した転移者が相手だから仕方が無いか。



 ただ、私とミチルさんは援軍に行くとして、ヴァナディスとパラスのことはどうしよう?

 結構……いや、相当危険なところに行かされると思うし、ここで待機してくれていた方が安全な気がする。


 正直、レッドドラゴンと対峙できる程の化け物が相手だ。

 下手をすればヴァナディスもパラスも殺されてしまう。



 多分、この辺のところを理解してくれたんだろうね。

 ヴァナディスが、

「じゃあ、私とパラスを今だけディスプロシ島に戻すことはできない?」

 と私に聞いて来た。


 さすが私の嫁だ。

 パラスは、勝手にこう言われて驚いた顔をしていたけど。



 でも、一応、パラスもヴァナディスの言うことが正しいって分かっていたみたい。

 心の中では、ミチルさんと離れ離れになるのは、絶対にイヤって思っていそうだったけどね。



 これがHP48の頃のパラスだったら、絶対にヴァナディスの言うことに反対したんだろうね。

 要は受け入れたくない相手の言葉だから、先ず否定から入ろうってヤツ。


 でも、HPが72まで上がってからは、むしろ仲が良い……と思う。

 だからかな。パラスは、私達と一緒に行くとは言わずにいてくれたよ。


「それなら、僕が転移魔法で連れて行きましょう」

 こう言ってくれたのはフロギス。


 彼の転移魔法なら、一発でディスプロシ島まで行けるね。

 私のコマギレ連続転移を使うよりも二人のためにはイイよね。

 ゲロゲロにならないと思うからさ。


「済みません、お願いします」

「了解です。では、行きます」

「ちょっと待って」

「えっ?」

「その前に」


 急ぎなのは分かっているけど、一応、私とヴァナディス、ミチルさんとパラスそれぞれの、しばしの別れに少し時間をくれてもイイでしょ?


 すると、フロギスが、

「そうですね。済みません」

 と言って私に軽く頭を下げた。一応、理解してくれているみたいだね。



 別にこの場で大それたことをするわけじゃないけどさ。

 せいぜい抱き締める程度だよ。

 もっとも、私とヴァナディスの場合は、親友同士の別れみたいにしか見えないだろうけどね。まさか、等身大フィギュアとその使用者とは誰も思うまい。


「じゃあ、行ってくるね」

「はい。無事に帰ってきてよね」

「勿論。ヴァナディスこそ、身体に気をつけてね」


 しかも、月並みな言葉しか交わしていないしね。

 まあ、さすがに人前で使われるのはマズイからさ。ヴァナディスも私もHなことは我慢していたんだよ。



 隣では、ミチルさんとパラスも別れを惜しんでいた。

 ちょっと待て!

 あっちは派手に口づけを交わしている。少しは我慢しろよ!


 それを見てヴァナディスが、

「アキ」

 目を瞑って私に顔を近づけてきた。


 せっかく我慢していたのに、ヴァナディスのスイッチが入っちゃったじゃん!

 でも、まあ、イイか。



 と言うわけで、こっちも濃厚接触を……。

 もっとも、私が大人のための等身大フィギュアであることを知っている人は限られているし、普通に(?)女の子同士の仲って思われるだけだろうけど。


 それに、この国は国王陛下と御后様が同性愛者だから、別に変な風に言う人もいないだろうし。


 …

 …

 …


 しばし御歓談(?)の後、ヴァナディスとパラスはフロギスの転移魔法でディスプロシ島へと避難した。

 それにしても、フロギスは凄いね。あの距離を、ほんの一瞬で往復してきたよ。


 ディスプロシ島はラージェスト王国領だけど、地理的に、あそこまで戦火が飛ぶことは無いだろうし。

 これで一安心だ。



 そして、

「アキさん。ミチルさん」

「分かってる」

「では、行きます!」

 フロギスは、私とミチルさんを連れて転移した。



 次の瞬間、私は、今まで来たことの無い知らない場所にいた。多分、ここはラージェスト王国内なんだろうけど……。


 ただ、もう日が傾いていた。

 転移前は、お昼前だったのに、ここは夕方かよ。


 それだけ時差があるところに来たってことか。

 やたらデカい国だな、ラージェスト王国ってとこは。


「ここは、多分、ラージェスト王国の丁度中心に位置する辺りだね。アルミナム山の遥か東方。南東には山岳地帯が見える」

 こうミチルさんが解説してくれた。


 日が傾いているってことは、それだけ東に来たわけだろうし、理屈上は分かる。

 ただ、私は正直、ピンと来ていなかった。



 でも、えっ?

 ちょっと待て。

 ラージェスト王国の中心に位置する所ってマズくない?

 だって、ラフレシアが召還したヤバいヤツが仕切る反乱軍がラージェスト王国の東側半分を配下に治めているんでしょ?

 ってことは……。


 ご名答!

 東数キロ地点に敵陣営がありました!

 って、マジで前線?

 いきなりかよ。

 もしかして、今は休憩中?

 何故か戦火が止んでいるよ。



 それと、私達って援軍として来たのに、他の援軍の人達は?

 それ以前にラージェスト王国の軍隊は?

 軍人さん達が全然お見えにならないんですけど?


 それから、敵陣営では、何故か一つのテントの前で、五十人くらいの男性兵士達が列を作っていた。

 あれって何しているんだろう?


 それともう一つ。

 この付近一帯に、直径十メートルくらいの太さの大蛇(?)が這ったような跡がある。

 これって、何だろう?



 丁度この時だった。

 背後から私に、

「もう三年近く前ですか。あの時はお助けいただき有難うございます」

 と男性の声。


 大抵、男性は私の背後に立つと抱き付くか、イヤラシイ手付きで触ってくるかなんだけど、今回の男性は、そう言ったアクションを起こしてこなかった。

 紳士なのかな?



 私が振り返ると、そこには初老の男性がいた。

 はて?

 誰だろう?


「ええと、どこかでお会いしましたでしょうか?」

「旧ノーソラム軍との戦いの時です。アナタの連続転移でアデレー王国に避難させてもらった一人です」


 ああ、たしか、こんな男性も居たような気が……。

「私はサマルスキー大佐」

 大佐ね。大尉じゃなく。

 もし大尉だったら、

『体位じゃないよ!』

 ってギャグが言えたのに。


 別に、そんなのどうでもイイか。

 なんか、私自身がオヤジギャグを言うようになってきたよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ