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44.全裸になれって……誤解されるよ!

 転移終了。

 目の前には、偶然だけどティラノ君&ティラ美夫妻が……。


 ティラノ君は私のカワイイ下僕だけど、ティラ美は怖い。

 だって、メスのティラノサウルスだよ。そんなもんに敵視されたら、一瞬で破壊されること間違いないじゃん。



 でも、暴君竜ティラ美が私達を見て怯えている。

 なんでだろう?

 もしかすると、ミチルさんが本能的に怖いのかな?

 さすがにティラノサウルスでも、レッドドラゴンには敵わないもんね。格が違い過ぎるからさ。



 私は、他者のステータスを覗き見できるけど、内容は一部限定されている。

 例えば、ハレンチパワーやマゾポイントを見ることは出来るけど、ヒットポイントとかマジックポイントを見ることは出来ない。


 普通は、異世界に行ったら、HPはヒットポイントでMPはマジックポイントなんだけどなぁ。

 多分、ミチルさんのヒットポイントもマジックポイントも、とんでもない数値なんだろうね。一度、見てみたいよ。



 そんなことを考えていたら、ふと、

「ミチルさんのを覗いてみたい」

 って声に出ちゃって、これを聞いたパラスが、

「何?」

 って、凄い形相で私を睨んでいたよ。


「ヒットポイントとマジックポイントを見てみたいってこと! 変な意味じゃないから誤解しないで!」

 私は慌ててパラスに説明したよ。

 まあ、信じてくれているかは分からないけど。



 そんなやり取りがあった直後、

「じゃあ、アキちゃん。悪いけど全裸になって」

 とミチルさんが私に言って来た。


「えっ?」

 これには、私も驚いたけど、それ以上にパラスが驚いていた。



 何か知らないけど、パラスが輪をかけて私の方をムチャクチャキツイ目で睨んでいるよ。これは完全に敵視している。

 そうなっても仕方が無い流れだよね。

 ミチルさんの言うことだから、キチンとした理由はあるんだろうけどさ。


 でも、言葉の内容が内容だからね。

 もうちょっとミチルさんには空気を読んで欲しかったよ。


 一方のヴァナディスは唖然とした顔をしていた。

 完全に意識が飛んでいるようにも見えたけど……。


「別にHなことをするわけじゃないから」

「でも、完全にパラスに誤解されていますよ」

「これから、ちょっとした儀式を行うんだ」

「儀式?」

「うん。これを持って」


 私は、ミチルさんから一本の剣を渡された。

 もの凄く切れ味が良さそうなヤツだなぁ。でも、こんなモノを渡して、マジで、いったい何をする気なんだろう?



 一先ず、私は剣を地に置いて、ミチルさんの言う通り服を脱いで全裸になった。

 でも、ミチルさんは全然欲情した感じは無い。


 むしろティラノ君の方が反応しているよ。お前、ティラ美の前でマズいだろ!

 そもそも私は人型で、ティラノサウルス型じゃないよ!

 お前は反応しちゃダメだろ!



 あっ!

 でも、私は雄性動物なら何でも欲情させるんだったっけ?


 ただ、もっと反応……と言うか欲情している者がいた。ヴァナディスだ。

 でも、今はHタイムじゃないからね。我慢してね。



 私が剣を拾い上げた直後だ。

 突然、ミチルさんの全身が強烈な光に覆われた。

 そして、今まで人間の形をしていた彼の身体が一気に巨大化して、七首の赤い龍に姿を変えた。

 この姿を見るのって久しぶりだなぁ。初めてミチルさんに会った時以来だよ。



 これを目の当たりにして、パラスもヴァナディスも驚きを超えて震えていた。

 特にパラスは、腰を抜かしちゃったのかな?

 その場に座り込んで失禁していたよ。


 まさかパラスは、こんなとんでもないヤツから毎晩精気を搾取していたとは思ってもいなかっただろうね。


 でも、これでミチルさんのことを嫌いにならないでね。

 ミチルさんの正体は、一年以上前に教えていたんだからさ。



 多分、ミチルさんとしては、本当は、この姿をパラスにだけは見せたくなかったんじゃないかと思う。

 でも、それを敢えて見せるってことは、その儀式ってヤツは、相当重要なことなんだろうね。



 そうそう。それからティラノ君とティラ美も、ムチャクチャ怯えていた。

 怯えるティラノサウルスって、想像できないよね?

 ティラノサウルスが出てくる映画を前世で見たことはあるけどさ、さすがに怯える姿は無いもんね。

 普通は全てを破壊して喰らう側だよ!

 恐竜時代の食物連鎖の頂点だもんね、多分。



 レッドドラゴンと化したミチルさんの声が、私の頭の中に直接響いて来た。

 多分、これはパラスにもヴァナディスにも聞こえていただろう。


「その剣で僕の胸を突き刺すんだ」

「えっ?」

「大丈夫。それくらいじゃ僕は死なないから。アキちゃんは、僕からの返り血を浴びる必要があるんだ」

「えっ? でも、なんで?」

「それがリニフローラ様から僕に命じられたことなんだ。だから突き刺して」

「そんな、できません」

「でも、これは必要なことなんだ。ラフレシアが降臨したマリカって女性に、僕とアキちゃんで対抗するためにね」

「マリカ?」

「そう」


 なんか、イヤな名前だな。

 以前、理科のテストで気温変化の問題が出た時に、私とマナミが、

「「正解は晴れの日!」」

 って答えたら、ムキになって、

「何で? 朝、冷えたんだから午前中は雪じゃないの!」

 って言ってきたヤツと同じ名前だよ。

 でも、まさかね。


「マリカって人の魔力は、レッドドラゴンである僕の魔力に匹敵するらしい」

「えっ?」


 それってムチャクチャ強くない?

 多くの異世界転生者とか異世界転移者のレベルを遥かに超えているような気がするんですけど!

 気のせいかな?


 でも、そんなヤツが相手だから、ミチルさんと私が組むことで、総合力で相手に勝てってことか。


「じゃあ、アキちゃんは、その剣を僕の方に向けて」

「こ……こうですか?」

「うん」


 すると、レッドドラゴンは私を両手で抱え上げると、そのまま自分の方に私を強く抱き寄せた。

 別に抱擁するためじゃない。

 私が向けた剣を自らの胸に刺すためだ。


「グサッ!」

 マジで刺さった。


 痛そう……。

 思わず私は、剣がレッドドラゴンの胸に突き刺さった直後に目を瞑ってしまった。



 レッドドラゴンは、私をゆっくり地上に下ろすと胸に刺さった剣を引き抜いた。

 すると、大量の血が一気に噴き出した。まるで真っ赤な噴水のようだ。

 見たくないよね、こんなシーン。


 ただ、至近距離にいた私は、この血を全身に浴びて、身体中が真っ赤に染まった。マジで全身血だらけだよ。血のシャワーを浴びた状態だよ。


「アキちゃん。癒しの魔法を」

「は……はい」



 取扱説明書:アキ-108号は、傷ついた男性を完全に癒す能力を有します(心身共に)。相手が男性の場合は、異性愛者でも同性愛者でも治します。



 そうだった。

 私は癒しの魔法で怪我も治せるんだった。相手が男性なら。


 この世界ではレッドドラゴンは性別無しってなっているけど、精神的には一応男性寄りだから、多分効くよね?

 効かなかったら人間の姿に戻ってもらってから魔法をかければイイか。



 取り急ぎ私は、

「治癒!」

 ミチルさんに癒し魔法を使った。


 若干懸念はあったけど、無事、レッドドラゴンの傷は私の魔法で塞がり、出血はキチンと治まった。



 でも、どうして私が血で真っ赤っかにならなきゃいけなかったんだろう?

 すると、ヴァナディスが、

「もしかして、龍の血を浴びると不死身になるってやつですか?」

 とレッドドラゴンに聞いた。


 そう言えば、地球でもそんな物語があった気がするなぁ。そのネタを使ったアニメも見た記憶があるよ。


「そうだね」

 そう言うと、レッドドラゴンは全身から強烈な光を放った。

 すると、今度は巨大な身体が収縮してミチルさんの姿に戻った。



 この時、ミチルさんの胸からは、完全に傷跡が消えていた。

 私の癒し魔法ってスゲー。


「基本的にアキちゃんは不老不死だけど、火炎魔法や雷魔法を受けた時だけは別だからね。なので、僕の血を浴びることで防御力を上げたんだ」

「では、アキは火炎魔法にも雷魔法にも耐えられるようになったってことですか?」

「そう言うことだね。もしかすると、リニフローラ様が僕をレッドドラゴンに転生させたのは、このためだったのかも知れないね」


 うーん。

 それだと、ミチルさんが転生した時……、つまり、私が転生するよりもさらに一か月前の段階で、リニフローラは今の状態を全て予見していたことになるんだけど?

 まあ、女神様だし、それもありなんだろうね。



 ただ、この全身血だらけ状態は、正直言って気持ち悪い。

 そろそろ勘弁してほしいな。


「ええと、私は何時まで血だらけでいなければならないのでしょう?」

「多分、もう流しても大丈夫だよ」



 取扱説明書:アキ-108号は、何時何処でもHができるように魔法でシャワーを浴びて全身を綺麗にすることが出来ます



 取扱説明書:相手に浴びせることもできます。



 取扱説明書:ただし、魔法でシャワーを浴びますと、周りがびしょ濡れになります。本魔法は、必ず濡れても良い場所でお使いください。



 まあ、ある意味便利な機能だね、これ。

 私は急いで魔法でシャワーを浴びて血を洗い流した。

 でも、本当に防御力は上がっているのかなぁ。

 全然実感がないんだけどね。

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