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41.再会した敵?

 それから二日後のことだ。

「ヤッホー。ちょっと遅れてゴメン!」

 ムチャクチャ美人な娘が私の店に来店した。


 この女性の姿には全然見覚えが無いんだけど、彼女のステータス画面を見て、私は、その正体に気が付いた。



 取扱説明書:アキ-108号は相手のステータス画面を覗き見することが出来ます。これは相手の性的嗜好を理解するためです。



 取扱説明書:アキ-108号は、その気になれば他人の性的背景を全て把握することが可能です。



「マナミ!?」

「そうだよー。アキも元気そうで」

「うん……。こっちの世界に来てたのは知ってた。でも、ラフレシアに召喚されたんでしょ?」

「まあね。それで、今日はアキのところに敵情視察に来たの」

「はっきり言うね」

「まあね。隠してもしょうがないじゃん。お店やってるんだね?」

「うん」

「上がってイイ?」

「イイよ」

「じゃあ、お邪魔します!」


 マナミは妙に明るかった。

 正直、今のマナミが何を考えているのかが分からない。私よりも頭がイイ娘だし、多分、何かを企んでいるのだけは間違いないと思う。

 それが、私にとって利益なのか不利益なのかは分からないけど。

 一先ず私は、マナミを店の奥の居室に通した。



 ふと、背後にイヤなオーラを感じた。

 私が後ろを振り返ると、

「あの方は誰ですか?」

 とキツイ……と言うか嫉妬の目をしたヴァナディスが立っていた。嫉妬してくれて嬉しいよ。でも、そう言う仲じゃないから安心してくれ。



 それともう一人、

「私のレーダーが反応している!」

 と言いながらケイコがエロオヤジみたいな表情をしていた。


 って言うか、なんで勝手に人の家に上がり込んでいるんだコイツは!?

 もしかして、あれがマナミって気づいたんじゃ?


 コイツは、女性型等身大フィギュアを疑似男性器で犯すのが趣味って言う危ない人間だからね。コイツとマナミを近づけたくないんだよね。

 そのままケイコは遠慮のない顔で、勝手に居室に入って行っちゃったけどさ。


「ねえ、ヴァナディス」

「はい?」

「ヴァナディスも同席して」

「でも、お店の方は?」

「一先ずパラスに任せて。最悪の場合、ケイコから彼女を守らないと」

「どうしてですか?」

「彼女がマナミ。私の中学校から大学まで一緒だった友人。で、ラフレシアに召喚された私の後継機」

「じゃあ、もう一体の動く等身大フィギュア?」

「だね」

「ミチルさんに連絡を入れましょうか?」

「いや、多分、まだ大丈夫。じゃあ、飲み物……冷えたオレンジジュースを出してもらえるかな?」

「はい」


 ヴァナディスは、急いで台所にジュースとお茶菓子を取りに行ってくれた。

 完全に私の嫁をしてくれているよ!



 そして、私は部屋に入ると、

「座って」

 マナミにテーブルについてもらった。


「じゃあ、遠慮なく」

「私も」


 ただ、マナミが椅子に腰掛けると、何故かケイコがマナミの隣の席に腰を下ろして物色するような目でマナミのことをジロジロ見ていた。


 ケイコは、既にマナミ狙いなんだろうね。

 気を悪くしないでね、マナミ。

 そんなんでもマナミにとっては、一応、ラフレシアに召喚されたサタン側救世主の先輩だから。


 ただ、私としては、もの凄く不安だけどね。友人のマナミが、そんなヤツのターゲットにされるなんてさ。



 ヴァナディスが戻ってきて、コップとジュースとお茶菓子をテーブルの上に出してくれた。そして、

「どうぞ」

 率先してヴァナディスがマナミのコップにジュースを注いでくれた。本当にイイ嫁だよね、ヴァナディスは。


「ありがとう。で、アナタがアキの使用者?」



 取扱説明書:マナミ-365号は、アキ-108号同様に他人の性的背景を全て把握することが可能です。



 いきなりマナミが凄い質問をかましてくれたよ。

 多分、マナミは私と同じ機能を持っているから、西暦……じゃなくて性暦とか性的背景とか全部筒抜けなんだろうけどね。

 でも、これに怯むヴァナディスじゃない。


「はい。私がアキの嫁のヴァナディスです。よろしくお願いします」

 と一見笑顔なんだけど、どことなく怖いオーラを発しながら、ヴァナディスは答えてくれたよ。


「やっぱりね。でも、アキがねぇ」

「何よ? 何が言いたいのよ、マナミ?」

「まさか女性を相手にするとはね。でも、凄い美人ちゃんだし分かる気もするけどね。それと、私の隣に座っている女性がケイコさんね」


 これには、ケイコも目が点になっていた。

「自己紹介、まだだけど?」

「私は他人のステータス画面を覗くことが出来るからね」

「そうなんだ」

「私の正式名称はマナミ-365号。アキと同じ、動く等身大フィギュアとして、この世界に転生したの」

「やっぱり!」

「で、アナタの趣味も分かるわよ。でも、アキは使わせてもらえないみたいね」

「悪かったわね」

「じゃあ、私を使ってみる?」

「イイの?」

「勿論!」


 これには私も、

「えっ?」

 思わず大きな声が出た。


「どうしたの、アキ?」

「だって、いきなりそんなこと……」

「アキが言いたいことも分からなくは無いけど、せっかく、こんな便利な身体に生まれてきたんだもん。色々経験してみたいって思ってね」

「経験って……」

「アキだって女性相手じゃん」

「そうだけど、ケイコの性癖は!」

「分かってるって。でも、そう言うのも面白そう!」


 そう言えば、マナミは好奇心も旺盛だった。

 前世では、マナミが誰かと付き合っていたとか、ヤリまくっていたとか、そんな話は聞いたことが無かったけどね。

 好奇心は強かったけどガードも堅い娘だったから。

 でも、この身体に生まれ変わってスイッチが入っちゃったかもしれないね。変な方の……。



 一方のケイコは、こう言われて喜びの余り全身が震えていたよ。

「じゃあ、今夜、是非!」

「今夜だけじゃなくて、しばらく泊めてもらいたいんだけど?」

「イイの?」

「別に、性なる魔玩具として正しい使われ方をするだけでしょ? まあ、使うのが男性か女性かの違いだけで。あと、私、宿取ってないし」

「じゃあ、ずっと私のところに居てイイから!」

「ありがとう!」


 なんか、妙な方向に話が進んでいる……って言うか、まとまっているよ。

 私は目が点になってしまったけど、なんだか私の隣ではヴァナディスが、少しホッとした表情を見せていた。


 これなら、もうケイコは私を狙ってこないだろうし、マナミも私をターゲットにしていないってことになるだろうからね。

 勿論、Hな意味のターゲットね。



「ところでアキ」

 急にマナミが真面目な顔になった。これからが本題だ。


「何?」

「これ、お土産。忘れないうちに渡そうと思って」


 そう言いながらマナミは、アイテムボックスの中から大量のお土産を出してくれた。こんなに、どこで買って来たんだろう?

 でも、本題じゃないんだね?


「ありがとう。それにしても、凄い量だね?」

「世界一周してきたから」

「は?」

「カリセン王国に出て、そこからウンコ……じゃなかった、ウンカ公国に行って……」


 あのね……。

 マナミのヤツ、絶対にわざと間違えたな。この手のギャグ、好きだからなぁ。


「で、こっちに来て二か月後にルディシア王国に入ったんだけどね」

「完全にこっちと反対側じゃん?」

「当然。世界一周してきたから」

「マジだったの?」

「イイじゃない別に」

「別に悪くは無いけどさ」

「本当は一年くらいかけてゆっくり回るつもりだったんだけどさぁ。ルディシア王国でラフレシアに催促されたのと、そこで私の敵がアキだって知らされて。それで、そこから一か月で、コルダタ連邦経由でこっちに来たの」

「またマイペースだね」

「当然じゃない? だって、戦って焼かれたら私だってアキだって死んじゃうからね。そうならなければ永遠に生きられるんだろうけど、本当の意味での不老不死じゃないからさぁ。だから、先にこの世界での人生を謳歌しなきゃと思って」


 マナミらしいな。

 まあ、その考え方は決して間違っていないと思うよ。

 むしろ、正しいと思う。


 私だって、焼かれることは無かったけどさ。

 でも、初っ端にラプ男とラプ子に会って殺されるかと思ったし、ティラノ君の件やラヤの件、魔王の件もあったしね。



 それに、ラフレシアは、私に対抗する人材としてケイコやマナミも送り込んできた。

 多分、私がこの世界で永遠に生きることは無い。どこかで修復魔法でも直せない致命傷を負うだろうね。


 だから、そうなる前に楽しんでおいた方がイイ。

 私も、マナミの考え方に是非一票入れたいね!


 この山のような土産物を見て、ケイコが、

「それにしても、これだけ買うお金、良く持ってたね?」

 と言った。


 多分、ケイコは、私やマナミが物質創製魔法で、限定条件を詠唱に加えることで金貨を作り出せることを知らないんだろうね。

 もっとも、その限定条件通りに金貨を使うことは無いけどさ。


「物質創製魔法で金貨を出せるから」

「嘘?」

「本当よ。ケイコさんこそ、色々な魔法が使えるんでしょ? お金だって自由に出せるんじゃないの?」

「それがさ、私の場合、100%ラフレシア……地球で言うサタンに貰った魔法じゃない? だから金貨を出すと、真鍮に金メッキしたモノが出るのよ!」


 それって偽金貨かい!

 まあ、悪役が作るお金って言ったら偽金が相場だし。さすがに、これは仕方が無いんだろうね。

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