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36.バカップル!

 一か月後、私達はコルダタ連邦のハウトゥイニア町に向けて出発した。

 と言っても、私の連続転移での移動だけどね。


 私の一回の転移は2キロまで。

 それを連続50回まで可能だし、連続転移をワンセット終えた後、別に私は、ガス欠にでもならない限り、すぐに次の連続転移に入れる。



 ミチルさんも、連続転移を何回やっても、特に体調不良とかは無さそうだね。

 さすが、レッドドラゴン。

 今までミチルさんの様子がおかしくなったのは魔王戦の直後だけだもんね。



 でも、パラスとヴァナディスがキツそうだ。

 何セットも連続転移を繰り返すと、常人では吐き気を催すらしい。

 これが、その辺のヤツラだったら、『そっちが強引について来たんだろ!』って言うところだけど。


 まあ、パラスはミチルさんにとって大事な女性だし、ヴァナディスも今では私の大事な同居人だからね。一応、ムゲには扱わないよ!



 連続転移ワンセット自体は30秒もかからないと思う。

 でも、何セットも続けて行うのなら、やはりワンセット終えたところで最低10分は休憩しないとパラスもヴァナディスもムリみたい。

 これは、ディスプロシ島からビナタの町に戻って来た時の経験からだけど……。



 この星は、地球とだいたい同じくらいの大きさらしい。

 なので、星の反対側までの距離は約2万キロ。

 連続転移が200セット必要になる。


 でも、さすがに一日で一気に200セットとなると、パラスとヴァナディスの身体が持たないもんね。

 それで、一日の移動は、最大で連続転移20セットまでとした。

 つまり、移動距離にして二千キロが上限ってことだね。


 それでも、ワンセット毎に10分以上の休憩を入れるから、二千キロの移動だけで恐らく三時間半以上はかかると予想される。

 多分、途中で休憩時間が長くなる可能性もあるからね。



 これだと、片道だけで十日もかかるけど、二人の身体のこともあるから仕方が無い。

 時間がもったいないけど、出発前の段階では、移動以外の時間は休憩&少し観光ってことで四人とも合意していた。


 それと、極力、陸路での移動にしたいんだけどさ。どうしても海を渡らなければならないところがある。

 なので、そこだけはアイテムボックスからイカダを出して、それに乗った状態で転移魔法を使う予定。

 基本的には、ディスプロシ島から帰って来た時と同じだね。



 初日は、朝十時くらいに出発。

 途中で昼食を取るために長めの休憩を入れた。

 そして、20セット目の連続転移を終了した時には、既に15時を回っていた。まあ、昼休憩が長かったからね。


 約1キロ先に街が見える。

 でも、ヴァナディスは勿論、夜の営みでレッドドラゴンの精気を根こそぎ吸い取る化け物パラスでさえも、連続転移後には、すぐに動けるだけの元気はないみたいだね。

 さすがにゲロゲロで。



 取扱説明書:アキ-108号は、何処にでもH目的のデリバリー出張ができるよう、ステータス画面の中で世界地図検索ができます。



 便利な機能だね。

 本来の目的がHなデリバリー出張じゃなければ!


 ここは、既にアデレー王国ではなく、隣国のオルキス共和国内。

 目の前の街はシミアってとこらしい。


 ちなみにオルキス共和国はアデレー王国の東南側に位置する。

 結構、大きな国なんだよね。

 その中で、シミアは北側の国境付近に位置している。


 特に観光するところは無いっぽい。

 今のヴァナディスとパラスの状態を考えると、どうせ観光はムリだから別にイイけどね。



 ここで一時間くらい路上休憩。

 その後、徒歩でシミアに入った。


 よく、異世界モノだと街全体が魔物とか魔獣から人々を守るために壁で覆われていたりするのがあるけど、この世界では、そう言った例は少数派だ。

 ほとんどは、日本の市町村と同様で、壁で区切られたりしていない。

 街に出入りするのに税がかかったりしないし、通行許可とかも特に必要はない。



 ただ、商売する場合は、店舗を構えようと路上販売だろうと役所に登録して売り上げに応じて税を納める仕組みになっている。


 まあ、ギルドに登録すれば、自動的に役所の方に申請登録されるし、納税もギルドを通じて簡単に手続きができるようになっているんだけどね、この世界の場合。

 なので、ギルドを通した方が、面倒が無くて楽なんだ。



 シミアの街も、特段、壁で覆われていることは無かった。

 つまり、この辺りには、魔物とか魔獣が滅多なことでは出ないってことだろう。


 観光名所もない小さな街に宿があるか心配だったけど、一応、行商に来る人達のために数件だけど宿はあった。

 一先ず、そこにチェックイン。

 二人部屋を二つ借りた。

 互いに隣の部屋だ。

 当然、私とヴァナディスのペアと、パラスとミチルさんのペアで泊まったよ。



 夕食は、各部屋に運んでもらえることになっていた。

 チェックインの時に夕食と朝食を運ぶ時間を聞かれていたんだ。食堂に行って食べる形式じゃなく、両方とも部屋で食べるとのこと。

 なので、私もヴァナディスも、ミチルさんとパラスには、チェックインしてからは一切干渉無し。

 夫婦水入らずでやってくれ!


 でも、ミチルさんとパラスって、植物化されたパラスをミチルさんが買ったことが出会いだよね?

 それが、こんな仲になるとは……。

 本当に世の中、どこでどんな巡り合わせがあるか分からないなぁ。



 夜八時くらいからかな?

 隣の部屋……ミチルさんとパラスの部屋から壁越しに、

『あ~ん♡』

 とか、

『う~ん♡』

 とか、

『イク~♡』

 とか、パラスのイヤラシイ声が聞こえてきた。


 もしかして、これって?

 ついつい壁に耳を当てる私とヴァナディス。



 これは間違いない!

 ミチルさんvsパラスのHバトルだ!


 しかも、ミチルさんはタダラフィルとダポキセチンのダブルドーピングで立ち向かっている模様!

 ムチャクチャ激しいんですけど!

 しかも、超ロングプレイ!

 まあ、ドーピングしているから当然だけどね。


 ただ、これ、私達とは反対側の部屋にも聞こえているよね?

 別にイイか。



 この強烈な攻撃をパラスは一身に受け止め、しかもレッドドラゴンの強大なる全エネルギーを搾取している感じだ!


 受ける方も凄い!

 超ディフェンス力!



 聞かされている私とヴァナディスの方が変な気分になってきた。

 超ヤバイ!

 ヴァナディスの顔が凄くHな表情になっているよ。

 それが、次第に私の顔に近づいてくる。


 …

 …

 …


 この日、初めて私は、ヴァナディスと女と女の中が良い……じゃなかった、仲の良い大人の関係になりました。

 お陰でLvもめでたく1に。

 ちなみに、ここで言うLvは、LevelじゃなくてLover、つまり愛好者数、実質的には使用者数だよ!


 …

 …

 …


 翌朝。

 私はHPが最大値に復帰する。

 なので、普通なら、この状態に女性は嫌悪感を生じるんだけど、ヴァナディスは慣れている。

 故に大丈夫……と言いたいところなんだけど、今日は妙にヴァナディスがくっついてきている。


 と言うか、彼女が自分の身体を私の身体に押し付けたり、擦り付けたりして楽しんでいる感じだ。

 こう言う仲になってしまうと、私の超高HPを受けるのが、むしろ喜びに変わってしまっているっぽい。



 取扱説明書:アキ-108号は、その気になれば他人の性的背景を全て把握することが可能です。



 取扱説明書:アキ-108号は、精神を集中すると、見ただけで相手のHの履歴を霊視できます。いつ頃に何人とやっているかを全て見抜きます。



 ヴァナディスの性的背景に、『超高性能 自立式 汎用人型等身大 性欲処理用 魔玩具愛用』って書かれたよ。

 これって私のことだね!


 それから対物性愛者って記載がされていた。

 つまり、等身大フィギュアの私を愛してくれているってことだけど……なんか、人間じゃなくてゴメン。


 あと、Hの履歴は、飽くまでも人間を相手にした履歴みたいで、特に変更はなかった。

 と言うか空欄のままだった。

 なので、ヴァナディスは、まだ人間相手には処女の状態だね。



 互いに変な世界に入り込んじゃったな。

 でも、相手がヴァナディスだから、まあ、イイか。


 ビナタの町に戻れば、アデレー王国は国王も御后様も同性愛者だからね。近々同性婚も許されることになるらしい。

 ってリンドラー公爵夫人が言ってた。


 厳密には、ヴァナディスは同性愛者じゃなくて『()()()()()』ってことになるんだろうけどね。



 私達は、一応、八時前にはベッドから抜け出して人が入れる状態にした。朝食を八時に指定しておいたからね。

 時間通りに朝食が部屋に運ばれてきた。

 まあ、パンとスープくらいだけど。


 ヴァナディスが、

「あーん♡」

 と言って私にスープを飲ませてくれる。


 当然、こっちからも、

「あーん♡」

 と言ってヴァナディスにスープを飲ませる。

 うーん、完全にバカップルになっているよ、私達。



 そして、朝食を終えて身支度を済ますとフロントにゴー!

 フロントに行くと、既にミチルさんとパラスはスタンバっていた。Hな意味のスタンバイじゃなくて、普通に外出できる状態になっているってことね。

 既にチェックアウトも済ませて私達を待っていた模様。


「待たせて済みません」

「イイよ、こっちも今来たところだから」


 そう言いながら、ミチルさんは、どこか疲れた表情をしていた。

 対するパラスはイキイキした表情。とてもスッキリしている感じだ。肌がツヤツヤしているよ。

 やっぱり、ミチルさんの精力を根こそぎ奪っているみたいだね。



 私は、チェックアウトを済ませて宿の外に出ると、早速、

「転移!」

 連続転移魔法で次なる街を目指して出発した。


 先ず、連続転移を5セット。

 勿論、連続転移と連続転移の間には小休止を挟む。

 そして、5セット終わったところで少し長めの休憩を入れる。


 その後、再び、

「転移!」

 連続転移5セット(小休止を挟む)を行った。

 これで移動距離は千キロ。



 ただ、ヴァナディスもパラスもゲロゲロ状態になっていた。

 パラスは、昨日も日中はそうだったけど、夜になると元気になっていたし……、勿論、Hな意味で。

 なので、今はゲロゲロだけど、今夜も元気いっぱいになるんだよね、きっと。



 そんなことより、私はヴァナディスの状態の方が気になっていた。

「ヴァナディス、大丈夫?」

「大丈夫です」


 まあ、私のお嫁さん候補だからね。使ってもらっちゃったし。

 なので、労わってあげて当然だよね!

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