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3.世の人々はHな方に色々なモノを転用し過ぎじゃない?

 金貨が出せるのは儲けものだけど、これだけに頼っていたら人生堕落してしまう。金貨を出すのは最後の手段にしよう。

 あと、魔導師エロスは私にアイテムボックスも与えてくれていたみたい。

 これは有難い。

 私は、出した金貨とナース服を、一旦アイテムボックスにしまった。


 それから私は、HP……ハレンチパワーね。これを下げる方法を探した。

 いくらなんでも、HPが高過ぎる。これじゃ、行く先々で貞操の危機が頻発するし、女性達に殺される。



 一応、HPの下げ方は取扱説明書に書いてあった。

 HP表示のすぐ下に二つボタンがあるんだけど、その左側の方のボタンをクリックすれば良いみたい。

 触れることは出来ないから、クリックするよう念じるわけだけど。


 普通の人が100にも満たないのに、2,000,000なんて異常値だもんね。

 超高い人でも最大値が100行くかどうかって話だし。

 エロの権化以外の何者でもないよ。


 もしかしたらサキュバスにでもなれるんじゃないの?

 一先ず私は、70までHPを下げた。表示は70/2,000,000。

 この時、私は、人間のHP最大値の最高値が100程度なら、平均値は50くらいと考えて、だったら、ちょっと美人くらいに見られればと思って70に設定したんだ。



 あと、ここはまだエロスの家から2キロ程度しか離れていない。

 もっと遠くに逃げなければ……。


「ええと、転移魔法の連続回数は……」

 自分の仕様をステータス画面で調べられるのは非常に便利だ。

 触れることが出来ないから念じて使うんだけど。


 どうやら私は、連続50回まで転移魔法が使えるらしい。

「一回2キロで50回だから100キロか。じゃあ、連続転移!」


 そして、私はエロスの家から100キロほど離れた地方の街に辿り着いた。

 しかも、いつの間にかカリセン王国から隣のアデレー王国に入っていたから驚きだ。



 なにやら前方に人だかりができていた。

 妙に騒がしい。

 何かと思って、私も、その人だかりの中へと入って行った。


 ただ、妙に周りの男共が私に送ってくる視線が熱い。

 そう言えば、私はまだ着替えていなかった。女王様丸出しのボンテージファッションのままだったんだ。

 着替えるタイミングを逃した。



 人々の服装とか建物、街並みの雰囲気から、明らかにここが現代日本とは違う世界であることが容易に想像つく。

 まあ、そもそも現代日本だったらラプ男もラプ子もいないけどさ。


 たしかに、異世界モノでよくある中世ヨーロッパを連想させる雰囲気だった。

 これならシーシアって天使が言っていたとおりだね!

 ようやく私は、これを見て異世界に転生したのを実感できたよ。



 目の前には三階建ての建物。この街では、これでも高い建造物の方だ。

 その建物の屋根の上に、覇気の無い目をした男性が立っていた。


 しかも、涙を流しながら、

「俺は、もう何をやってもダメなんだ」

 と蚊の鳴くような声で言っていた。私には何故か聞こえていたけど、こんな小さな声、多分、他の誰にも聞こえていないよね?



 取扱説明書:アキ-108号は、男性の声なら、どんな小声でも聞き逃すことはありません。



 取扱説明書:その分、女性の声を聞き逃すことは多々あります。



 うーん。我ながら男性優位な設定だな。

 それはさて置き、その男性は、もう声を張り上げる気力もエネルギーも無いみたいだ。


 もしかして死ぬ気?

 前世の私と一緒か?



 違う。多分、私よりも、先月うつ病を発症して自殺した社員に雰囲気が似ているような気がする。

 ってことは、もしかして、この人、うつ病?


 そして、とうとう、その男性が飛び降りた。

 私は、

「大量に出ろ!」

 と唱え、その男性が落ちるであろう辺りに、Hな道具を出す魔法で沢山のソープマット(エアマット)を出した。

 使えそうなものが、これしか思いつかなかったんだよ!



 一応、キチンと膨らました状態で出てきてくれた。

 そして、間一髪。

 男性は、山のようなソープマットがクッションになって助かった。


 この世界にはソープマットなんてモノは多分無い。

 でも、私の前世の記憶の中でH関連に使われ得る道具として認識されていたモノなら何でも出せるみたいだ。



 私は、

「アナタは、多分、頭の中が疲労し切っています。この薬を飲んでください。これで症状が改善するはずです!」

 と言いながら、その男に錠剤を一つ差し出した。これは、たった今、私が魔法で作り出した薬だ。


 って言うか『薬が出せるんかよ!』って思ったでしょ?

 この薬は、早漏治療薬のダポキセチン。

 でも、『じゃあ何故ダポキセチン?』って思うでしょ?

 実は、ダポキセチンは、セロトニン再取り込み阻害剤の一種で、元々はうつ病の薬として開発されていたんだよ。

 それで、これなら使えるはずって思ってね。

 異世界だし、医師免許とか薬剤師免許とかは必要ないよね?



 でも、なんでそんなことを知っているのかって?

 私の取扱説明書にも書いてあるでしょ。私は、Hな道具を作り出す魔法が使えるだけじゃなくて、その道具に関する知識も豊富だって。

 つまり、私はHに関係する道具(薬)としてダポキセチンを作ったわけだけど、ダポキセチンに関する知識も並以上にあるってこと!

 前世では、そう言う薬があるって誰かに聞いたことがあった程度だけどね。



 ただ、その男性は、薬を飲むのを躊躇していた。

 そりゃそうだよね。いきなり知らない人間(?)から渡された薬だもん。何の薬か分かったもんじゃない。


 なので、私は一瞬だけ女王様モードに切り替わり、

「お飲み!」

 と言った。


 すると、

「はい、女王様!」

 と言って、その男性は薬を飲んでくれた。

 この能力って、結構、便利かも?


「一応、薬は追加で3錠渡しておきます。精神的に辛くなったら飲んでください。ただし一日1錠までです」


 私は、錠剤が入った小さなガラスビンを、その男に渡した。魔法で出したんだけど、ガラスビンに入った状態で出てきてくれたのは有難い。


「はい……」

「それと、私、宿を探しているのですが」

「この裏の道に一軒あります」

「そうですか。では、そこに泊まることにしましょう。私はアキと言います。よろしければ、明日、一度来ていただけますか? 薬の効き目を確認したいので」

「分かりました」

「では、一旦私はこれで」

 そう言うと、私は、その男の言う宿へと急いだ。



 言われた場所に、たしかに宿はあった。

 ただ、見た感じ高級そうだ。


 受付は女性だった。

 私を見る目付きが余りよろしくない。

 やっぱり敵視されているのかな?


「あのう、三泊くらいしたいんですけど?」

「今、一部屋しか空いていないのですが」

「おいくらでしょうか?」

「夕食、朝食つきで、三泊で15万Wenになります」

「えっ?」


 一泊5万Wenって、ムチャクチャ高くない?

 Wenは、この世界のお金の単位。だいたい、食パン一斤が150Wenから200Wenってとこかな。感覚的には1Wenが1円くらいじゃないかな?

 なので、だいたい一泊5万円ってとこだね。

 まぁ、さっき作った金貨があるからイイけどさ……。金貨一枚が10万Wenね。


「じゃあ、やっぱり二泊で」

 早速、私は宿泊の手続きをした。一泊減らしたけどね。



 部屋に通されると、一応広い。

 ここが、この宿のスウィートルームってことなのかな?

 それでも二泊で金貨1枚は高いと思うけどね。

 ふっかけられたかな? 受付が女性だったし。

 まあ、イイか。


 一先ず私は、ベッドに横たわると、これからどうしようか考えた。

「私が出せるものってHな道具しか無いしなぁ。その手のモノを売る店を開く分には、売り物の原料原価はタダだけど、でも、そんな商売する転生者っているのかな?」

 独り言が出ちゃった。


 前世で、私はいくつか異世界モノのラノベを読んだけど、さすがに異世界で大人の玩具を売る主人公は知らない。

 そう言うのも探せばあるのかも知れないけど……。

 少なくとも私が読んだ中には無い。

 そもそも性なる魔玩具に転生した主人公も知らない。


「うーん。薬なら出せるよね。ダポキセチンにED治療薬に浣腸。一応、痔の薬も出せるかな?」

 見事にシモだな……。


 でも、これならシモの薬屋が開けるか?

 いやいやいや。さすがに今は、シモから離れたい。



 あと出せるのは、せいぜい低温の蝋燭(赤いヤツ)に各種制服。制服は、そう言ったプレイをする人用のやつね。

 それから鞭とかロープとか、避妊具とか……。

 マットとか変な椅子とか……。

 オムツとかおしゃぶりとか……。これは、幼児プレ……もうイイや。


 すぐに思いつくモノは、そんな程度か。でも、そんな知識が有ること自体、自己嫌悪に陥るんだけどなぁ。

 前世では全然知らなかった(嘘)知識だよ。転生したと同時にプレインストールされたんだよね、きっと(違う)。



 やっぱり、私に真っ当な仕事はムリなのかな?

 じゃあ、お金を出してフラフラしながら遊んで暮らす?

 なんだか、それもイヤだ!

 一応、程よく充実した人生が送りたい。それには、仕事があるのも大事だ!



 私は一旦、白衣に着替えた。これでも女王様スタイルよりはマシと思ったんだ。

 だったら外に服でも買いに行こうか。

 勿論、普通に平民女性が着る服ね。

 せめて、自分でまともな服が出せたらなあ。


 私は、冗談半分で、

「うーん、出ろ! 服!」

 と言ってみた。


 すると、私の予想に反して普通の服が出てきた。変な服じゃなくて、この世界の平民女性が普通に着る服だ。

「えっ? 何で?」

 すると、ステータス画面の取扱説明書のページが開いた。



 取扱説明書:女装プレイや男装プレイに必要な服も出せます。



 なにそれ?

 私が着る分には女装じゃないけど、でも、一応、服は出せるってことか。

 じゃあ、もっと色々なものが出せるのかな?

 私が出せるものって、具体的に何?


 それで私は、改めてステータス画面から出せるモノ一覧をサーチした。

 すると、例示されているページを見つけた。

 私は、思っていた以上に色々なものが出せることが分かった。



 例えば金粉。

 まあ、全身金粉まみれにするってショーがあったか。


 次に真珠。

 男性が自分の武器をグレードアップするのに使うってヤツか。


 髭剃り。

 下の毛を剃るのに使う人がいるか。


 石鹸やディソープ、歯磨きセット。

 やる前に使うか。


 掃除機とか電気アンマも出せるみたいだけど……。

 でも、この世界は電気が無いから使えない。


 お酒も出せる。

 ワカメなんとかに使うからね。


 あと、しらたき、こんにゃく、片栗粉、カップラーメン(辛くないヤツ)にメロン。

 使うのは男性。


 前世の私なら、なんでって思ったところだけど、今の私には使用方法が全部分かる。

 改めて自己嫌悪に陥るなぁ、私。

 こんなことを知っているなんて……。



 それからバターにバナナ。

 あと大根、にんじん、きゅうり、トウモロコシ、ナス、長ネギ、サツマイモ、ズッキーニなどなど……。

 女性が使うんだけどさ……。


 さらにビン、カン、ペットボトル飲料?

 ビールにワインって、そんなの突っ込む人っているの?

 まあ、サイズに個人差があるのは分かるけどさ。



 世の人々は、男も女も、なんでもHな方に転用し過ぎだよ!

 それに、食料品まで使うなんて、本気でバチ当たりだよ!


 でも、そのお陰で私は色々なものが出せるようだ。

 特に野菜。

 それで私は、この世界で、とりあえず八百屋を開いてみようと決心した。

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