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20.萎れた2鉢!

 私達が立ち話をしていると、リンドラー公爵夫人の従者が私に声をかけてきた。

 そう言えば、この人と話をするのって初めてじゃなかろうか?


「あのう……」

「先程はどうも。公爵夫人は大丈夫ですか?」

「気持ち良さそうに眠っていらっしゃいます」

「そうですか。本当は、ご同行頂いたお礼を言いたかったのですけど」

「こちらこそ、大層なモノを頂戴致しまして。あれって、お値段の方も相当高いんじゃありませんか?」

「まあ、今回のは、だいたい一本で30,000Wenくらいでしょうか?」

「それを十本も。本当に済みません」

「いえいえ」

「それで、リンドラー公爵夫人から、アキさん達をビナタの町まで送り届けるよう申し付けられておりまして」

「よろしいんですか?」

「はい」

「では、よろしくお願い致します」


 私達は、せっかくなのでリンドラー公爵夫人の馬車で町まで転移させてもらった。

 その従者は、私達を送り届けた後、リンドラー公爵夫人を迎えに行くためにお城へと戻ったんだけどね。

 まあ、それが仕事だからね。



 その日、ニオベ達は私の家に泊まることになったんだけど、パラスのご機嫌が、どうもよろしくない。

 HP……何度も言うけど、ここではハレンチパワーね。

 ヒットポイントじゃないからね!

 多分、HPで負けているのが気に入らないんだろうね。


 パラスのHPは48で、一般の女性よりはずっと高いんだけどさ。だから、通常なら男共は、パラスの周りに寄って行くはずなんだよ。

 ところが、ニオベが50、ジジムが64、ナヴィアが87、ヴァナディスが98、そして私は、ヴァナディスを遥かに凌ぐ存在。

 そりゃあ、面白くないだろうね。まさかの最下層だもんね。



 なので、ミチルさんは一旦家に戻られたんだけど、パラスはミチルさんについて行っちゃった。

 男女一つ屋根の下になるけど……。


 まあ、ミチルさんだから大丈夫かな?

 それに、もし間違いがあっても相手がミチルさんなら悪い話じゃないと思う。



 と言うわけで、今夜は、私の家では女性五人で雑魚寝状態。

 厳密には女性四人と人形一体だって?

 私も女性にカウントしてイイんだよ!

 店の二階に布団を五つ敷いて寝ることにした。

 まるで修学旅行か何かみたいだ!


「アキさんとミチルさんは、どうして魔王ジローヌと知り合いなんですか?」

 こう聞いてきたのはヴァナディス。

 顔立ちもハッキリしているけど、性格もハッキリしている娘かも?


「実は、私とミチルさんは、別の国から来たのよね。実は、同じ会社で働いていて、そこに沼尾もいたのよ」

 一応、別の世界という表現は避けた。

 まあ、大ウソじゃないからイイよね?


「じゃあ、同僚だったってことですか?」

「そう。でも、沼尾ってイヤなヤツでさ。てめえのミスをこっちに擦り付けてきやがって、それで私は減俸処分を食らったんだ!」

「セコい男ですね。でも、魔王の力なら、ミスなんか無かったことにできるのに」

「でも、それは、力に目覚める前の話だからね」

「そうなんですか……。それと、あと、やっぱり気になります! アキさんは、なんでそんな強大なHPを持っているんですか?」

「これも、こっちに来て目覚めたパワーなのよね」


 うーん。異世界転生のことを話さずにいるのって難しいな。

 でも、迂闊に言えないよね?


「じゃあ、そっちの国の人達って超人だらけなんですか?」

「私と沼尾が、たまたま力に目覚めただけだってば」

「なんか隠しているみたいですけど、今のところは、そう言うことにしておきます!」


 まあ、納得できないだろうね。

 でも、私が言いたくないのを察してくれたみたい。一先ず、ここで引き下がってくれた。



 この日は、美女五人で、特段、変なこともしないでグッスリ寝た。

 本当にイヤラシイことは一切無かったからね!

 ミチルさんとパラスの方は、どうなったか知らないけどさ。



 翌朝、私は目が覚めると、

「(HPをパワーダウンしなきゃ!)」

 急いでHPを100まで下げた。

 寝て起きると上限値まで上がっているからね。


 下限値の50ではなく100にしたのは、ヴァナディスへの対抗心から。

 やっぱり、良く分からないけど負けたくない!


 昨日、上限値が1,999,703まで下がったけど、やっぱり寝て起きたら2,000,000に戻っていた。本当にHPの永久機関なんだ、私。



 私が起きたのが最後。

 他の四人は既に起きて一階に降りていた。


 どうやら、HP最大放出の私が、近くにいるのが不快で目が覚めたらしい。

 それこそ、女性からしたら吐き気を催すレベルだったとか……。

 

 男子だったら大喜びなんだろうけどね。

 でも、私の貞操が危険か。


 それにしても、超美人のヴァナディスまで耐えられないとはね。

 さすが、私のハイパーHP!

 少し私も開き直ったよ。



 私は、早速、物質創製魔法で野菜とかフルーツとか飲料とかを出した。

 出せるモノは限定されているけど、本当に便利な力だ。


「昨日も服とか布団とか出していましたけど、この能力って、いったい?」

 こう言ったのはナヴィア。


 彼女は、細身でムチャクチャ均整の取れたスタイルをしているんだよね。

 器械体操とか新体操、フィギュアスケートとかやらせたら、凄く綺麗な演技を見せてくれそう。



 まあ、売る商品を魔法で出しているんだから、普通は驚くだろうね。

 つまり、元手はタダで商売しているってことだもん。

 家賃の支払いが無ければ、基本的に赤字にならないからね。


 あと、この世界には電気が無いから、もっぱら夜の明かりは蝋燭頼みだけど、私の家には蠟燭が沢山ある。

 言うまでもなく、赤いヤツだけどね。

 これなら能力でいくらでも出せるからさ!


「まあ、種類限定で出せるのよ。でも、町の人達には黙っていて頂戴ね」

「町の人達は知らないんですか? この能力のこと」

「知っているのは、ミチルさんと王族とリンドラー公爵夫人くらいね」


 まあ、リンドラー公爵夫人の場合は、私が異世界転生者であることも、私が性なる魔玩具であることも知っているけどね。

 でも、公爵夫人は、物質創製魔法以外のことは国王陛下にさえも話していない。

 その辺は、本当に助かっているよ。


「で、今日からしばらく、ヴァナディスとナヴィアとジジムで店番をしていてもらいたいのよ。イイかしら?」

「はい。植物にされた残り五人のことを頼みます!」

「何とかできるとイイけどね」


 本当は、

『イイけどね』

 じゃなくて、何とかできないとヤバいよね。

 まさか正体不明の植物を食べる輩はいないと思うけど、薬にできないか実験するヤツは出てくる可能性がある。

 もっとも、それ以前に枯らされないかも心配だ。



 それから少しして、パラスが私の店に来た。

 今日は、ミチルさんは自分の仕事をするみたい。

 なので、来たのはパラス一人。


 何の仕事をしているのかは聞いていないけどさ。

 でも、毎日遊び惚けているわけには行かないからね。



 あっ!

 パラスの視線が痛い。

 仕方が無いので、私はHPを下限値の50まで下げた。


「おはよう、パラス」

「おはようございます」


 まだパラスの機嫌が悪いな。

 ヴァナディスとナヴィアが視界に入っているから仕方が無いんだろうけどさ。


「じゃあ、私とパラスとニオベで残り五人を探しに行くよ!」

「ラジャー!」

「で、ニオベ」

「はい?」

「先ずは、どっちの方角に行けばイイ?」

「ここから北に100キロくらいです」

「分かった」


 と言うわけで、私はパラスとニオベを連れて連続転移魔法で北上を開始した。

 それにしても100キロ先まで見通せるとはね。私がイメージしていた探査魔法とか索敵魔法とかとはレベルが違うわ。

 まさに広域レーダー魔法って感じだね。



 店の方は、ヴァナディスとナヴィアとジジムの三人娘なら、ある程度、男性客からの売り上げは期待できるだろう。

 勿論、Hな意味じゃなくて野菜の売り上げね。

 野菜を変な方に使うわけじゃないからね!


 商品は全部、元手がタダだから、瞬間的に売り上げが下がっても構わない。

 近隣トラブルだけ起こさなければイイよ!



 一先ず私達三人が出たところは、地面剥き出しで何もない路上。

 ニオベが目を閉じて神経を集中した。レーダー魔法発動中だ。


「ここから、西に三キロ行ったところの町に2鉢あります」

「了解!」


 再び私は、二人を連れて転移に入った。

 もし、私が人間だったら、ここで休憩が必要なんだろうね。

 でも、人間じゃないから疲れない。なので、すぐに転移魔法に入れる。

 やっぱり便利だわ、この身体。



 そして間もなく、私達は目的地、コロナと言う町に到着した。

 最近は、新型コロナウイルスのお陰で、コロナって言葉がアンチ・ヘイトされているっぽいけどさ。


 でも、コロナって王冠の意味だからね。

 本来は、悪い意味じゃないんだよ。



 ニオベの案内で、私達は、この街の外れの花屋さんに来た。どうやら、ここに2鉢あるようだ。

 売れていないってことかな?


「ごめんください」

 すぐに2鉢を救済できると楽観視して、私は店に入った。



 たしかに目的の植物は2鉢そろっていた。

 でも、店の奥の日の当たらないところで葉が萎れていた。


「あのう、その植物なんですけど……」

「これね。面白いかなって思ったんだけど、気味悪いって言って誰も買ってくれる気配が無いから、処分しようと思ってね」


 店主は女性。

 この植物達に何と言う仕打ちを……。


 もっとも、これが、人間が植物に変えられた姿だなんて知らないだろうからね。売れそうになきゃ粗雑に扱っちゃうんだろうな。


 でも、それで本当にイイのか?

 売れようと売れまいと、人間であろうとなかろうと生き物だぞ!

 そう言いたいのを私は我慢した。



 それにしてもヤバイなぁ。

 今回は、もしかしてギリギリセーフ?

 それともアウト?

 マジで瀕死状態だ。

 助けられるか不安だよ。


「あのう、それ買います。おいくらでしょうか?」

「処分品だから2鉢合わせて300Wenでイイわ」


 私は、この2鉢をソッコー買いした。

 そして、人気のない裏路地に入ると、私はHPを最大まで開放して、この2株の萎れかけた捕虫葉に指を突っ込んだ。



 人が来ると色々面倒だ。

 ここは街外れなので、裏通りに入ると人通りが少ない。その分、犯罪者とかが来るかもしれないけど、今はそこまで考えていられない。


 まあ、仮に犯罪者が来ても、それが男だったら私が何とかする。

 女王様モードになれば問題ないはず。



 この状態でHPを吸えるか心配だったけど、

「ボン! ボン!」

 何とか、2鉢とも必要量のHPを吸えたみたいだ。


 私のHPは一気に132下がったけど、それと入れ替わりに、この2鉢はHP67の娘とHP65の娘に姿を変えた。

 ただ、二人ともぐったりしていた。


「水……」

 HP67の娘の声だ。

 半分死にかけた感じの掠れるような声だ。


 私は、

「出ろ!」

 急いでペットボトルのスポーツドリンクを二本出した。


 あっ!

 勿論、ニオベとパラスの視線が怖いのでHPは50まですぐに下げたよ。

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