168.国際化の前に『うん!』を付けちゃいけないと思う!
「それにしても、ルテチア有志達が、私やヴァナディスやミチルさん達を襲撃してくるのは、筋違いな気がするけどね?」
「だよね」
「事の発端は、自分達の先見性の無さじゃないかって気がするし」
そもそも、ルテチア島の連中は、放っておいても世界中から客が来るってことでイイ気になってさ。
最初にケイコがゲートのことを提案した時に、ディスプロシ島のことを見下して、その提案を蹴ったのはアイツらなのにね。
後になって、フリョロフ島のリゾート開発に加えて、フリョロフ島・ディスプロシ島経由で南北の大陸を繋ぐってなったら急に焦り出してさ。
それで、ルテチア島にもゲートでの行き来ができるようにしてくれって言われたって、今更マナミ達が、それをやってあげる義理なんて無いじゃん?
そうしたら、私を拉致って言うことを聞かせようとして。
それが原因でルテチア島は失脚したわけじゃない?
ケイコとマナミの力を甘く見過ぎていたってのもあると思うけど、それだけじゃない。
ケイコが最初に話を持ち掛けた段階で、南北の大陸を繋ぐ可能性まで見通せなかったのが悪い。
自分達の無知さとか視野の狭さが、そもそもの原因だって考えなきゃいけないんだよ、ルテチア島の連中は!
「まあ、ルテチア島の人達には、最初から世界を相手にビジネス展開するだけの力が無かったっでことでしょ」
「言うねぇ、ヴァナディスも」
「だって、たまたまイイところに生まれ育っただけで、何の努力も勉強もせず、情報収集も怠っていたから、ああなっちゃったわけでしょ?」
「まあね」
「部下に転移の気配を感じさせない暗殺者がいるわけだから、暗殺させるかどうかは置いといて、少なくとも世界中の情報を色々収集することは簡単に出来たはずなのに」
余り人の悪口を言わないヴァナディスにしては珍しいな。
それだけ、彼女もルテチア島の連中に対して怒ってるってことだろう。
私に感化されて悪口を言うようになったとかじゃないよね?
「まあ、上にいた連中がダメだったってことだろうね。それと比較すると、ディスプロシ島の人達は、世界を相手に頑張っていると思う」
「だよね。私とパラスはディスプロシ島を出ちゃったけど、残った人達は本当に頑張ったと思う」
「随分、世界的にも有名になったしね」
「うん。国際化をしてると思う」
「えっ?」
私の頭の中に疑問符が浮かんだ。
どうしていきなり、
『ウンコ臭い顔してる』
ってなるの?
「ええと、ヴァナディス? ディスプロシ島の人達って、そんなことしてる?」
「うん。国際化は大事でしょ? ディスプロシ島は観光業をやってるんだし」
「えっ?」
さすがに、観光業で、
『ウンコ臭いかは大事』
ってことは無いと思うけど?
むしろ、
『ウンコ臭くない方が大事』
なんじゃないかな?
「これも、ケイコさんとマナミさん、あと、アキのお陰だよね」
「私達の?」
「うん。国際的だって思うもん、今のディスプロシ島は」
ええと……。
ウンコ臭い敵って?
そりゃあ、ルテチア島の連中からしたら、ディスプロシ島のことを、そう言いたくなるかも知れないけどさ。
勿論、私やマナミ、ケイコに対しても。
でも、どうしてヴァナディスがそんなことを言うんだろ?
別に私は、ヴァナディスの前でウンコ臭くなるようなことはしていないと思うし……。
そもそも、私は美少女フィギュアだからウンコしないし!
もしかして、ヴァナディスの正体が、実はルテチア島の暗殺者メルだった……なんてことはないよね?
それで、何か訳あってディスプロシ島に送られて、キツイ生活をしていたから、ルテチア島に残ってノウノウとしていた連中に腹を立てて、
『ルテチア島の人達には、最初から世界を相手にビジネス展開するだけの力が無かった』
とか、
『たまたまイイところに生まれ育っただけで、何の努力も勉強もせず、情報収集も怠っていたから……』
とか辛口発言したとかじゃないよね?
「あのさ、ヴァナディス。ウンコ臭いって何が?」
「えっ?」
「ウンコ臭い顔とか、ウンコ臭いのが大事とか、ウンコ臭い敵とか」
ヴァナディスが、
『何言ってんの、コイツ?』
みたいな顔で私を見ている。
これって、もしかして私、またやっちゃった?
「ええと、国際化してるとか、国際化が大事とか、そう言うことを言ったんだけど?」
「国際化?」
「うん。多分、例の機能が働いたんじゃないの?」
「うーん……。やっぱ、そうかな?」
さすがに、
『ウンコ臭い』
は、ヴァナディスの台詞じゃないもんね。
それに、私のことをウンコ臭い敵なんて言わないと思うし。
H臭いだったら言いそうだけど!
マリカ程はH臭くないと思うけどさ!
一瞬でもヴァナディスのことを疑ってゴメン。
やっぱり、ヴァナディスがメルってことは無いよね?
もし、ヴァナディスがメルだったら、魔王に変な植物に変えられる前に転移魔法でさっさと逃げているだろうし。
…
…
…
それから少しして、私はヴァナディスを連れてミチルさん達の家の前まで転移した。
まだ朝早いけど、ミチルさんもパラスも起きているはずだからね。
圧縮睡眠魔法をパラスが使っているわけだし。
だけど……。
「×××!」
「×××!」
「×××!」
案の定、ミチルさん宅では、ミチルさんとパラスの大バトルが執り行われていたよ。
勿論、Hバトルね!
暇さえあれば、これなんだから……。
って言うか、毎日朝チュン状態だからね。
外まで激しい声が聞こえてくるし。
伏せ字にしかならないけど!
町中の家じゃなく、野中の一軒家で本当に良かったと思う。
もし、住宅街にある家じゃなかったら、絶対に隣の家まで聞こえているからね、これ。
隣じゃ済まないかも知れないけど……。
さすがに、この中に入って行くのはマズイ。
私は、今日はミチルさんもパラスと一緒に私の店に来てくれるよう手紙を書いて、ミチルさん宅の郵便受けに入れておいた。
そして、ヴァナディスと一緒に転移魔法で家に帰ったんだけど……。
「ねえ、アキ。イイでしょ?」
家に着いて早々、ヴァナディスが私を抱き締めながら股間を押し付けてきたよ。
ミチルさん達の大バトルに刺激されちゃったみたいで、ヴァナディスのスイッチが入っちゃったよ!
ク○ト○スペシャル魔法が既に発動……と言うか発情してるし。
なので、私達も朝から大バトルに突入した!
ミチルさん達のことは言えないな。
なんだかんだで、私達も暇さえあれば、これだし……。
隣の家まで聞こえていないか、ちょっと心配だよ。
ヴァナディスがメルでないことは、ステータス覗き見スキルで分かるはずなのですが……。
そこに気が付かないくらい、アキは一瞬とは言え焦ったと捉えてください。