120.ケツまくれ?
正月三が日を終えて、今日からお店を再開!
昨日も一昨日も、私はヴァナディスとひたすらHだったけど、パラスとミチルさんは、もっと凄いんだろうな!
それこそ、24時間耐久Hどころじゃなくて。
「おはようございます!」
パラスが来た。
今日は、一段と元気だ。
肌艶もイイし。
やっぱり、年末年始に渡って、ミチルさんから根こそぎ精力を奪っていたに違いない。
そして、何日かぶりに私は店を開けた。
店には、朝から結構客が来ていた。
三が日は、アチコチの店が休みだったからね。
そろそろ食糧調達が必要だってことだ。
「おはようございます」
「ルナさん。おはようございます」
この女性は、最近、この辺に引っ越して来た。
彼女は、催淫魔法……じゃなかった、催眠魔法が使えるらしい。
ただ、ホハハ国のワロス書記長を操ったリサのことがあったからね。
最初に催眠魔法のことを聞いた時は、余り良いイメージが湧かなかったけど、今のところ催眠魔法を悪用していないっぽい。
むしろ、不感症……じゃなくて不眠症の人の治療をしてくれているとのことだ。
催淫……じゃなくて催眠だけに。
「ここには、ビンの飲み物はありますけど、テトラパックは置いていないんですか?」
「テトラパック?」
「紙で出来た、正四面体の」
「精子……めんたい?」
「ええとですね。三角パックの俗称で知られる」
「???」
この時、私は意味が分からなかったけど、後でお母さんに聞いたら、今ではテトラ・クラシックって呼ばれる三角錐型の紙容器のことだって分かった。
テトラパックは、テトラ・クラシックの旧称で、昭和時代の小学生なら分かるってことだったけど……。
だとすると、ルナさんって昭和の時代を生きていた転生者かも知れないね。
互いに正体を明かせばだけど、お母さんと話が盛り上がりそうだよ。
「おはよう、アキさん」
「おはようございます、テラさんの奥さん」
「今日は、ちょっと大量に買わせてもらうわね」
「ありがとうございます」
ただ、この時、テラさんの奥さんは目が充血していた。
もの凄く痛そうだ。
「その目、どうしたんです?」
「結膜炎になっちゃって」
「ケツまくれ? ですか?」
「いきなりエロボケかまさないで頂戴ね。ケツまくれじゃなくて、結膜炎だから」
「えっと……。マジで済みません」
「それで、これってアキちゃんの魔法で治すことってできるかしら?」
取扱説明書:アキ-108号は、傷ついた男性を完全に癒す能力を有します(心身共に)。相手が男性の場合は、異性愛者でも同性愛者でも治します。
取扱説明書:女性でも同性愛者の場合は、癒しの能力が発動します。
取扱説明書:しかし、アキ-108号は、女性同性愛者あるいは男性に懇願されない限り、一般女性には癒しの能力を発動できません。
取扱説明書:例外的に性病の場合は女性でも治します。これは、飽くまでも男性に感染するのを防ぐためです。
今回のは性病じゃないからなぁ。
一般女性を治すことは出来ないんだよ。
せめて、ユリ要素があれば別だったんだけど……。
「私には、ちょっと難しいかもです。私の従姉(本当は母)が薬師ですので、今日中に聞いておきます」
「本当? 助かるわ。じゃあ、また明日来るわね。でも、そうそう。そう言えば、新春バーベキュー大会の日に、不審な人がいたんだって?」
「死んだ人?」
「そうじゃなくて、不審者ね」
「す……済みません。素で聞き間違えました」
不審な人の『ふ』が聞こえなかったんだよね。
これは、エロ聞き間違え機能とは関係なく、単なる私の聞き間違えだ。
テラさんの奥さんは、鼻で笑っていたけど。
多分、普段からエロボケが多いから、私のことをボケキャラだって思っているんだろうなぁ。
「なんか、この町の人でもディスプロシ島の人でもないのに、飲んで食べて暴れ回った女性がいたって」
「あっ! 済みません。それって、その私の従姉です」
「そうだったの?」
「はい。薬師以外に、今、カッシーナ村の飲食店で、メニューのアドバイザーの仕事をしていまして」
「それで、いたわけね」
「はい。一応、ディスプロシ島開発関連の人ってことで」
「これは、失礼したわ。じゃあ、その従姉の方に、薬の方をお願いね」
「承知しました」
この後、テラさんの奥さんは、色々と野菜や果物を買い込んでくれた。
それから、スパークリングワインも気に入っているようで、数本買って行かれた。
なんか、平和な日常が戻って来た感じだ。
できれば、このままバトルの無い日々を過ごしたいよ。
でも、Hバトルは別だよ!
折角、ヴァナディスがクリト〇スペシャル魔法を手に入れたわけだからね!




