第一話
短編集的な感じで書くよ
私の名前はアリア。今年からセイクリッド魔道騎士女学院に通うことになったの!
私は他の人より魔力が弱くて、実技では点数が低かったけれど、筆記で頑張ったんだ!
でも、せっかく学院に入ったんだからここにいる間に大魔法すら軽く使えるようになっちゃうんだから!
「あいたッ! あっ! ごめんなさい!」
「私は大丈夫よ。貴方こそ大丈夫?」
わぁ綺麗な人!
腰まで伸びた黒い髪! 手入れが難しそうなのにつやつやでサラサラ!
「メルディお嬢様! 歩いてなど行かれずに、馬車へお乗りください!」
「私は歩いていくと言ったはずよ?」
「しかしながら……」
従者の言葉にメルディさんは頭を抱えてため息をついている。
すると、こっちをちらっと見て――
「私はね? この子と一緒に登校するって決めたの! だから、馬車なんていらないわ!」
えっ? ええええええええええっ!
私が驚いているとメルディさんは再びこちらをちらっと見てきた。
あぁ、本当に困ってるんだ。
でも……私なんかが協力していいのかな?
ううん違う。メルディさんが私を選んでくれたんだ。
選んでくれたからには! 全力を尽くすよ!
「そうです! 私がメルディさんとお付き合いさせていただいているんです!」
「「えっ……えええええええええええ!?!?」」
あれ? どうしてメルディさんまで驚いているのかな?
ま! これで万事解決だよね!
次の日、二日目の朝を迎えると、家の前に大きな馬車が止まっていた。
「ちょっと、アリア? 貴方の彼女? さんが来てるわよ?」
困惑した母の様子。これだけで大体察した。
「アリア? 一緒に登校しましょう?」
前で手を組み、もじもじと緊張を隠せない様子のメルディ。
一切目が合わない。
これは――!
昨日のことを本気にしちゃってる!?
えっ? 確かに、助けを求められたから、その場しのぎで反応しちゃったけど!
女の子同士が付き合うなんて、そっちのご両親は許可したの!?
でも、家に来てるってことはそういうことなのか~。じゃないよ!
しかし、それにしても昨日のカッコよさ、微塵もないなぁ……。
これはこれでかわいいけど♡
「うん! じゃあちょっと待ってて? すぐに準備してくるから!」
この時、私の心の中に小さな悪魔が生まれたことは誰も知らない。
学院での私たちのクラスは、奇跡的にも同じだった。
席は離れているけれど、授業中以外はいつも一緒。
学園生活も一か月を過ぎると私とメルディが付き合ってることを知っている人も多くなった。
でも、先生たちは知らない。
だって、不順異性交遊って言われて、生徒指導室に入れられちゃうに決まってるもん。
だから先生から見たら私たちはただの仲のいい友達なの。
「ねぇメルディ! ご飯食べに行こ?」
「えぇ行きましょうか。アリア」
私たちは学院にある食堂でご飯を食べない。いつも部屋を一つ借りている。
なんでも、メルディの特権だとか?
お嬢様すごーい!
で、いつもお互いのためにお弁当を作ってくるんだ~。
「あ、ここにお米ついてる」
私はメルディの頬についた一粒のお米を指でとって、口の中に入れた。
「あわわわわわわわ!」
メルディはご飯を食べると高確率でほっぺにお米がついてる。
どうやればくっついちゃうのか私には分からない。
最近では、わざとなんじゃないかと思ってる。
「はしたないから、やめなさいっていつも言ってるのに!」
「食べるよ。お米一粒には七人の神様が宿ってるんだから。粗末にしたら罰が当たっちゃう」
「だったら、言ってくれたら私が食べますわ!」
「だーめ。私が食べる」
「どうして――」
「そんなの決まってるじゃん? 私がメルディのこと大好きだからだよ?」
「ふぇ?」
そう、一か月間学院で過ごして、メルディと一緒にいて思ったこと。
私はメルディ―のことが好きだ。だって、こんなにもかわいい。
最初は外見と第一印象でクールな人だと思ったけど、実際はこんなにも思いをぶつけてくれる。
こんなの、好きにならないわけないじゃん。
「私はメルディのことが大好きなの! ほんとは頬についたお米を舐めとってあげたいくらいだわ?」
「舐めるのはよしなさい」
oh……マジトーン……。
「でも本当に好きなの。これからも一緒にいてほしい……」
「はぁ……私も好きよ。出会った次の日からはどうなることかと思ったけれど、想像してなかったわ? 貴方のことをこんなにも好きになるなんてね?」
「つまり……?」
「つ、つまり!? え、えぇと……その……。これからはもっと、こ、恋人らしいことを……しましょう?」
初めて一緒に学校へ行ったあの日の姿と同じ、前で手を組んでもじもじとしている。
普段はかっこいいけど、私の前ではこんなにもデレデレになってくれるメルディ。
私だけのメルディなの。絶対誰にも渡さない。ぜったあああああああああああい!