慎太郎先輩は恋のライバル?
4人は研究部のドアの前にいた。
ライラが一歩前に進んで、ノックした。
コンコン・・
・・・・・・
コンコン・・
・・・・・・
バババババンバンバンバン!!!
バババババンバンバンバン!!!
ババババババババァァーーーーーン!!!
悠・樹・亜里沙(ちょ、ちょっとー!)
このまま行くとドアを破壊しそうなライラ。
ガラガラガラー!ドアが開いた。
「なんだよー!うっさいなー!勝手にドア開けて入れよー!」
芸術家のような少し長めの天パのヘアスタイルに、
小さな銀縁のメガネの先輩らしい学生が出てきた。
独特な雰囲気で、モデルのようなスタイルにハッとさせられる。
色白だけど、下級生にないワイルドさがあった。
ロボット研究部の先輩とは、到底思えない。
「しんちゃん!」
ライラが叫んだ。
「あー、ライラ!」
先輩が嬉しそうに、ライラをぎゅーっと抱きしめて、ほっぺにキスをした。
亜里沙はハッとして、悠を見た。
全身をわなわなと震わせている。
樹が困ったなと言いたげに、チラッと亜里沙を見て腕を組んだ。
「まぁ、入れよ。」
「お前ら、新入生?この部活に入るの?」
「はい!」
亜里沙が一番に答えた。この展開にワクワクが止まらないようだ。
先輩は6年生の情報科で、佐伯慎太郎と言った。
樹が悠の肩を落ち着けと、ポンポンしている。
「じゃあ、この用紙に記入して」
先輩がクリップボードに挟んであった申し込み用紙を渡してきた。
「それにしても、ライラが人を連れてくるとは思わなかったな。」
メガネの位置を直しながら、ゆっくりと奥のドアに向かって行く。
「みんな、友だちなの」
ライラが答えた。
「え?ライラ、友だちできたの?」
ドアのノブに手をかけていた先輩が驚いた様子で振り向いた。
そして、私たち1人1人を見てニコリとした。
「ふーん、そうかぁ、良かったね」
「うん」
「部長、入部する子たちが来てるよー」
先輩がドアを開けて、部屋の中に声をかけている。
「ライラ、あの先輩とはどういう関係?」
高まる興味を抑えきれず、
亜里沙は先輩に聞こえないよう、小さな声で聞いた。
悠が聞き耳を立てている。
「うーん・・・」
たまりかねた様子で、悠が間に割り込んできた。
「瀬戸さん、あの先輩のこと好きなの?」
亜里沙はそれを聞いてクスクスと笑っている。
そこへ漫談のような口調で、部長が現れた。
「やあやあ、皆さん。ようこそ、ロボット研究部へ。私が太田部長です。」
クセが強い。
「慎太郎くん、部活のスケジュールや今後の活動を説明してあげて。他の先輩たちは、今日は来ないからね。」
「部長、俺はちょっと忙しいんで、部長が説明してください。」
こちらを見ることもなく、面倒くさそうにしている。
「何を言っているんですか。慎太郎くん!さっき寝てたじゃないですか。」
部長はブツブツ言いながらも、私たちに近付いて、私たちを見ると驚いたように目を丸くした。
「おい!ちょっと待ってください。君たち、本当にロボ研に来たの?慎太郎くんに続き、顔面偏差値高すぎですよ。私の立場がないじゃない・・・」
部長の話を遮るように、悠が勢いよく近付いてきた。
「太田部長!部長はこの瀬戸さんを知ってますか。」
悠からの唐突な質問に、部長は驚いている。
「い、いや、初めてですが、どうかしました?」
「じゃあ、挨拶はいいですね!」
悠がちょっと怒ったように言うと、部長は眉をひそめて、
樹や亜里沙に「どういうこと?」と声を出さずに聞いている。
「へーーー」
慎太郎は面白そうに笑みを浮かべた。