『モノ』2
これで二千字到達です。
Twitter始めたので「犬養泳治」で検索&フォローしていただけると幸いです。
……「お前、またここにいたのか。母ちゃんに起こられるぞ」
小さかった頃の僕は、よく小屋の中で遊んでいた。散らかり具合は今とそんなに変わらなくて、今思うと遊び場としてはそこそこ危なかったのではないだろうか。自分の家から近いことも、よくいた理由の一つかもしれない。叔父が帰っていたときは、暗くなると家まで送ってくれた。
……「あんなところに一人でいて、何が楽しいんだ?」
僕は何て答えたんだっけ。確か、すぐに言い返したんだ。
……「※※がいるもん!」
誰だっけ? あそこには僕以外にはいなかったはずなのに。
……「そうか。仲良くしろよ」
叔父は笑っていたと思う。たのしくて笑うのとは違う、ちょっとした嬉しいことを見つけて、つい笑ってしまった感じだった。
……「あいつも一人は寂しいだろうからな」
……「だいじょうぶだよ! ぼくたちともだちだもん!」
誰なんだろう? 叔父はその誰かを知っているみたいだ。
思い出そうとすればするほど、遠ざかっていく気がする。
そんなことを考えていると、また視点が変わった。視界の大部分が白いもやに包まれている。直視型になったようだ。
(これは……女の子? それに白色? 銀色? とにかく長い髪だ。この子が僕の『モノ』? あの小屋のなかにいる?)
「全員、自分の『モノ』が見えたようですね。今日はこれで終わりです。明日また、皆さんの色をチェックしますので、今日中に自分の『モノ』に触れてきてください」
夢が覚めたような、急に現実に戻ってきた気がした。