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正義のヒーローが子供泣かせた結果、悪の大王にしばかれた。

 今回のお話は、クマさんのお話し。


 私と愉快な仲間達シリーズに登場する、通称【クマさん】

音痴な詐欺師と仲良く、お歌の練習してくれる、とっても良い人。


 私は、昔、このクマさんの事がとっても恐かった。

だって、この人……鉄パイプ片手持って、30人ぐらいの集団に、高笑い上げながら突撃するんだもの。しかも。


 『おらおら~! 俺の後ろには市内No.1のもふ様が付いて来てるんだぜぇ!』


 とか言いながら……巻き込むな! 後、No.1なのは口喧嘩だ!(笑)


 そんな昔のアンタは何処に行った? と聞きたくなるぐらいに現在は、とっても家族想いのお父さん。


 まぁ、たまに家族愛が行きすぎて色々やらかしちゃうのは、ご愛敬。


 そんなクマさん、普段は優しいのだが、奥さんの事を悪く言ったり、子供を泣かしたりすると、別の人格が目を覚ます。


 私達の住む街には、ちょっとした大型のショッピングモールがある。そこでは、毎週日曜の朝に放映されている、仮面ライダーと戦隊シリーズが、新しくなる度に、それぞれがヒーローショーを行うんだ。

ちょっと広い多目的スペースなんかを使って。


 ある日、何ライダーか、何戦隊か知らんが、ヒーローショーを開幕すると言う情報が、クマ家にも伝わった。


 クマさんの2人いる子熊の内の男の子が、ヒーローショーを見に行きたいと、クマさんに、オネダリした。


 子熊に頼まれたら、奥さんに何を言われようとも、関係ない。早速、子熊に今度の日曜日に見に行こう。と約束した。


 そして迎えた日曜日。


 朝から、早く行きたくて家の中を走り回って喜ぶ子供。

それを、微笑ましく見つめながらクマさんが。


 「あの時計の長い針が8のところに来たら、○○レンジャーに会いに行くからな」


 子供はずっと大喜びで、時計の前から離れない。

それを見ていたクマさんは、少し早いが出掛ける事にしたらしい。


 車を走らせショッピングモールに到着。

さすがに早すぎたのか、まだ駐車場が開いてなかったらしく、入り口の横に車を止めて、子供とおしゃべり。


 30分ほどで駐車場が空いたので、一番に入場して、目的のスペースに一番早く行ける入り口に近い場所に駐車。


 そして、ヒーローショーの開始の10分前に会場に。

チラホラと親子が来ていたが、一番前の椅子がまだ空いていた。

子供を、その一番前の真ん中近くに座らせたクマさんは、子供の前にしゃがんで。


 「○○、いいか? パパが○○の横の椅子に座っちゃうと、パパの後ろに座った小さい子が、パパが邪魔で、○○レンジャーのカッコいい姿をよく見れないんだ、解るか?」


 クマさんの子供は、少し考えた後で、頷いた。


 「だから、パパは、横に座らないで、アソコに立ってるからな、ちゃんと1人で良い子でヒーローショーを見れるもんな?」


 そう言って会場の隅っこの辺りを指差すクマさん。

コイツは、姿もクマみたいなクセに、子供には異様に優しい。

その子供に見せる優しさを、少しは私にも向けろ!


 始まったヒーローショー。


 最初は悪者だけで登場だ。まぁよくあるパターンで、今日はこのショッピングモールを占領して、中に居る人を人質にしてやる! とか何とか。


 その言葉と共に、悪者の手下どもがワラワラと舞台の裏から飛び出して、舞台を降りて、武器を片手に、ヒーローショーを見に来てる子供の前に行き、怖がらせる。


 昔から大体やることは同じだな。


 中には怖くて泣き出す子供も。そして、子供を怖がらせた後で、ヒーローが颯爽と登場して、子供達を助ける訳だ。


 クマさんの子供の真ん前で、奇声を上げながら、ステップ踏んで、クマさんの子供を怖がらせる悪の手先。


 クマさんの子供は怖くて、ギャン泣きしてる。


 クマさんは会場の隅で、微笑ましく眺めてる。

悪の手先に泣かされた所を、ヒーローが助けてくれたよ。

なんて、後で子供が自慢してくる事を、ちゃんと折り込み済み。


 そして、散々子供を怖がらせたところで、○○レンジャーの登場だ!


 『待て~い! 良い子のみんなを泣かせているのは誰だ! この○○レンジャーが許さないぞ!』


 そして、まぁきっと……演出としては、悪の手先を子供達の目の前で倒して、ヒーローは強いんだ、いつでも子供達の味方なんだ。とかやりたかったのだろう。


 しかし、この日は運が悪かった……誰の運が一番悪かったのかは、未だに誰にも分からないが。


 ○○ブルーが、クマさんの目の前に居る悪の手先へと向かう。

そして、きっと、投げ飛ばすか何かしたかったのだろう……。


 何かの拍子に○○ブルーの、蹴りが、クマさんの子供にクリーンヒット。椅子ごと後ろにひっくり返る子供。

慌てる○○ブルーと悪の手先。

進行役の人も無言だ。


 そして、そこに響き渡る一際デカイ声。


 「テメー! コラ! 何をうちの子に蹴り入れてやがる! プロならプロらしく、しっかりやらんかい!」


 その言葉と共に、猛ダッシュで子供の元に駆け寄るクマさん。

子供を助け起こすと普通はみんな思うよな?


 そこは、ほら、家族思いでも、所詮は昔はヤカラ(笑)


 そのまま、○○ブルーに飛び蹴りを、思いっきり入れる。

着地と同時に、近くの悪の手先の首に、ラリアット。


 その後……正義のヒーローも悪の組織も、力を合わせて一丸となり、真の悪の大王に立ち向かう(笑)


 何とか取り押さえて、怒りの落ち着く悪の大王。

偉い人がやってきて、クマさんに平謝り。

周りの子供は、キョトンとしてたが、親達は、子供が怪我する事になってたかも? とクマさんの味方。


 そして、その場に居た子供達に、何か知らんがグッズを配り、ヒーローショーは再開。


 普段なら、物凄く目の前まで来るらしいのだが、演じてる悪の組織も正義のヒーローもどこか遠慮勝ちに、子供と距離を取ってたそうだ。


おしまい。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] こんにちは。入江です。 クマさんが最後に飛び蹴りしたのにびっくりしました。 最後に子供たちの人気者になっててすごいと思いましたね。 これって実話だったりするんでしょうか?
[一言] クマさんすげぇ!(笑) 飛び蹴り。(笑)優しいですね。もふさんは子供に優しくないんですか?(笑)
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