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ハレルヤ×ハーモナイズ  作者: 文月 イツキ
二小節目 ジャンル違いの主旋律
9/14

5-1

 ダサい。めちゃんこダサい。


 私のクローゼットにはライブTシャツとユニクロ、リーバイスしか詰まっていないことに気がついたのは昨日の夜。靴に関しては二足しか持っていない。

 よって今日の私の格好は通学にも使っている紺のスリッポンに始まり、ジーパンに派手じゃない白のライブTシャツ、その上に暗めの赤いパーカー。さらに白と黒のボディバッグ。


 今時、男子中学生でも、もっとまともな格好で出歩くだろ……。


 これでも色味を考えて組み合わせたからましな方だと思うけど……いつもは一人だから着こなしなんて気にしたことなかった……。

 自分の衣類への無関心を嘆きつつ、三十分前に着いた待ち合わせの駅前でスマホを眺めながら時間を潰す。


 それにしても、まさか、待ち合わせ場所がウチの高校の最寄駅になるとは……。

 晴さんが誘ってくれたライブの会場に行くんならここが都合良いのは分かるけど……。まだ昼過ぎだし同じ学校の連中に見つかるのは嫌だな……。

 まあ、こんな格好で駅前にボーっと立ってる私を見て、連中が何を思うのか知らんが、ただでさえ七弥とのことで目立って嫌なのに、これ以上の風評被害を被りたくないんだよな。


「きゃっ!」


 そんな風に不安になりながら、スマホに視線を落としていると、背後から首に絡まってくる腕があった。



「よう、そこのお譲ちゃん……かわいいなぁ、儂とデートせぇへんか?」



 いや、どれだけドスを効かせた声でも、流石に女声と男声の違いくらい分かるよ。


「……なにやってんスか晴さん。…………っ!?」


 ちょっと背伸びしてるのか、声の方に顔を向けたすぐそこに晴さんの顔があった。そっか、首に腕の感触があるってことは肩を組まされている形なのか。

 正直、突然のスキンシップより、いい顔がすぐ近くにあることの方にドギマギしてしまう。


「うぃひひ、なんや深夜ちゃん浮かない顔しとったさかいな。笑かそう思ってんよ。まあ、肩の力抜きんしゃい」

「あ……」


 そういって、晴さんは回していた腕を外し離れていってしまった。もう少しくらいあのままでも良かったのに……。


「それよか、今日の深夜ちゃん、ボーイッシュな感じで中々カッコええやん」

「うぇっ!? そ、そんなことないッスよ。こんなのめちゃんこ安物ですし……正直にダサいっていってください」

「そんなことあらへんって、やっぱ黒いポニテやと赤がよう合うなぁって思って。それに足長いしジーパンもカッコいいし」


 晴さんの急襲から息継ぎする間もなく、続けざまに何食わぬ顔で追撃がやってくる。

 まさか、こんなのを褒めてくれるなんて、殺す気かよォ……。


「恥ずかしい……いっそ殺して……」

「なに顔隠して恥ずかしがっとんよ、そんな風にしゃがみこんどる暇があるんやったら、ウチにもなんか言うことあるんやないの?」


 言われてハッと顔を上げるとそこには膨れっ面の晴さん。

 そうだ、今日は出会ってまだ晴さんの顔しか見れてない。晴さんも自分のおでかけ用の服装を褒めて欲しいのだ。

 ようやく、私は晴さんの全体像を確認……なんてことをしたら、あまりの輝かしさに私の目は潰れるんじゃなかろうか……?

 いや、潰れたっていいじゃないか! 一瞬でも晴さんのおでかけコーデを目に焼き付けられるのなら!

 意を決し、その目に晴さんの姿を焼き付けるために一歩退いて全身を捉える。


 ――女子力ッ!


 まず第一印象にそれがやってくる。

 夜では見れない陽を浴びて光沢を帯びた茶髪にふんわり乗っかてる大き目の黒いキャスケット。

 本来カッコいい代物であるデニムジャケットの中に白いパーカーを合わせて着ていて、下はベージュのロングスカート。それに添えるように控えめなブラウンのブーツ。

 気取らない程度の数のアクセサリーがほどよくアクセントになっていて、このまま、おしゃれなカフェテラスに座らせたらそれっぽい雑誌の表紙になりそうなくらい画になる。それっぽい雑誌がどんなか知らないけど。


「モデルさんみたい……」


 光輝で目が潰れるというよりかは清楚さで浄化されそう。


「そんなことないよ。足短いんを長い丈のスカートで隠しとるだけやし。ブーツなんて背ぇ低いんを少しでもマシに見せるためやし」


 言われてみればいつもより晴さんと目線が近い。それでもやっぱり私の方が高いけど。


「そんなことないッス! めちゃんこ可愛いし、今の晴さんが表紙になってたらどんな雑誌でも私、絶対買うッス!」


 他にもいいたいことが山ほどあるはずなのに、どうにも興奮していてちぐはぐでまとまらない。


「うぅ……やっぱ自分も褒められるんはちょっと恥ずかしいなぁ。もう、ええから、ほな、行こっか!」

「ああ! 散々、私を攻撃しといて、自分がやられ始めたからって逃げるのはずるいッス!」


ども、作者です

「かぐや様は告らせたい」で盛大に草を生やしながらのあとがきです

特に話すことがないので一番書きやすいキャラの話を少し


自分的に書きやすいのは晴ですね。僕は関西圏の人間なので思いついた台詞をそのまま書き出せば台詞として成立するのが楽でいい

逆に標準語のキャラは一度自分の言葉で出してから標準語に直して変じゃないかを確かめないといけないのが面倒くさいんですよね


とくに落ちはありません。それではノシ

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