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ハレルヤ×ハーモナイズ  作者: 文月 イツキ
二小節目 ジャンル違いの主旋律
6/14

2

「ふん、ふふ〜ん♪」

「ご機嫌ですね。そんなに俺らのライブ楽しみなんですか?」

「はは、んなわけないじゃないッスか♪ 少しの間、黙ってろ下さい」


 七弥がふざけたことをぬかすが、機嫌がいいのは確かだ。

 週明けの放課後、私は鼻歌を歌いながら作曲作業に取り組んでおり、その間七弥は一応講師らしく授業の資料をまとめていた。


「……」

「なんで機嫌がいいか聞けよ下さい」

「めんどくせぇですね丹華は」


 あからさまに話を聞け、と信号を出しているというのに、それを無視するとは、七弥もまだまた乙女心というものを理解できていないな。


「それで、何かいいことでもあったんですか?」

「それがッスね!」


 私は鬱陶しく焦らしたりせず前のめりに、この間の晴さんとの運命的な出来事を掻い摘んで一時間掛けて七弥に語り聞かせた。


「まあ、要するにアメさん改め晴さんと仲良くなれたってことですね」

「仲良くだなんて〜 まだまだようやく一歩近づけたっていうか〜 これからもっとも〜っと親しくなっていくつもりっていうか〜」


 高校生になって初めてできた、友達……。

 素っ気なかった私のスマホのホーム画面はデュエットカラオケをしたときの自撮り写真。私と晴さんが並んで写ってるだけで華やいで見える。

 ついつい画面を見てると顔がにやけてほころんでしまう。

 そんな私の姿を奇怪なモノを見るような目で七弥は眺めていた。


「なんスカ」

「いや、丹華ってそんな風に笑えたんだ。って思って。今までムスッとしたとこと苦笑いしたとこしか見たことなかったから……」

「そんなことないッスよ。ギター弾いてるときはめちゃんこ楽しんでますし」

「そういのとはまた違う表情をしてるって言ってるんですよ」


 そう言われてもよくわからん。

 確かに浮かれてる。今までに経験したことのないことが起こってめちゃんこ嬉しい。

 けど、それでも「嬉しい」という感情に変わりはないはずだ。


「おっとそうだ、七弥、チケットもう一枚欲しいッス」

「チケット? ああ、俺らのライブの……やっぱり楽しみなんじゃないですか」

「はは、んなわけないじゃないッスか♪ 晴さんと二人で出掛ける口実に決まってんじゃないッスか」

「他人のライブをなんだと思ってんだ……まあ、ノルマ消化できんのは願ってもないですから売ってやりますが……」


 そうやって未だ厚いままのチケットの束を取り出し一枚を私に差し出す。


「2000円」

「うぇ、金取るんスか……」

「当然、チケット代はライブの資金源なんですから。そうぽんぽん上げてたら赤字になってしまいます」


 つまり売れなきゃ自腹を切らなきゃならないのか、チケットは一枚2000円、そこにある束は一体何枚残ってるんだ、確実に十枚、いや下手したら二十枚くらい残ってるかも……。


「つまり七弥だけで4万の赤字、さすがはバンドのお荷物……」


 さすがに可哀想になってきたので、仕方なしちゃんとチケット代くらい払ってやろう。


「残念3万と8000円です。もとよりメジャーじゃないバンドに集客力なんてないですし、全部が全部チケット代で賄えるわけないんですよ」

「そうは言っても七弥のバンドは結成してそこそこですし。バンドマンの界隈ではそれなりに名前は通ってるでしょ」

「そ、だから本命は手配りより当日の会場販売、さらに言えば単独ライブでもないですし、今は余ってても問題ないんです」

「ならもう一枚も七弥の奢りということで……」

「それとこれとは話が別です」


 チケットをぱっと奪い去ろうとしたが、七弥はさっと引いて上手くかわしやがった。


「どうするんですか? 晴さんを誘いたいんでしょ」


ども、前話でも言ったように声優の話をしよう、と思っていたんですが、少し語り忘れていたことがあったので先にその話しから。


前回、晴が深夜にプレゼントした『Believe』これは言わずと知れたワンピースのOP主題歌ですね。

これは晴のイメージと決意表明であると同時に深夜に向けての応援歌でもあるようにしています。

ここの曲のチョイス候補には『カサブタ』もあったんですが、女声で聞きたいのはやっぱり『Believe』やなってことでこっちになったのですが。ワンピースという作品の命題である。誰もが無理だ無謀だと笑うようなことに、馬鹿真面目に挑戦してそれを手に入れる。というメッセージがこの曲からは強く伝わってきて熱意に溢れてるのが感じ取れます。

この作品ではワンピースほど夢物語ではないにせよ、高校生が夢見るには敷居が高いように見える世界と先の見えない世界を目指す二人にはこの歌を胸に刻んで頑張って欲しいと作者なりの激励も含んでいます。このように既存の曲から自分が受取ったものをちょくちょく物語りに差し込んでいこうとおもっています。


さて、こっから本題ですね。僕が大好きな『声優』の話しです。


ちょうど先日、NHKで声優神谷浩史さんのドキュメンタリーを放送していましたね。やはり自分から進化を求め続けないと厳しい世界のようです。

この放送内でも触れられていたのですが昨今の声優業界では、それまでキャラクターの構成要素の一つだった声優という役割は段々とタレント性を帯びていき、今となっては大きな舞台で歌い踊るようになってきました。そしてそこでやはり密接に関わってくるのが『音楽』です。

声優の方々が歌われる曲には自身らで活躍しているミュージシャンの方から楽曲提供されるものも多々あります。それこそ以前に紹介したUNISON SQUARE GARDENの田淵さんやTRUEさん、大石昌良さんなど他にも様々なアーティストの方々が声優、ひいてはアニメ、ゲームのキャラクターの一要素となるように協力してくれています。

そして、やはり、アーティストが作った世界を表現する存在として声優という役割は根幹を担っていると僕は感じています。

そう感じるに至ったのはアイドルマスターミリオンライブ5thライブ、コレが僕にとっての運命の交差点でした。

僕のツイッターからこの作品を見つけてくださった方なら僕がどれほど『アイマス』に傾倒した人間かご存知かと思われますが、それを差し引きしても、声優の方々の表現力に圧倒されました。

それまで僕は物語の全てを決めるのは話の主軸である『ストーリー』『構成力』だと思っていました。しかし、まさに熱演ともいえる声優の方々の熱量、まさにキャラクターという架空の存在に魂を吹き込むその力に僕は虜にされたのです。

話の内容確かにこれもまた話を生み出すのに重要な一要素、しかし、それが全てでなくキャラクターを血の通った存在にできる唯一の要素である『声』というのも重要な要素なのだと今は思っています。

そして、その熱量に魅せられた一人の少女、雪下晴、彼女の物語を僕は紡いでいけたらな、と思っています。


長々と語ってしまいましたね。もしかしたら本編よりあとがきの方が長いんじゃないか?

まあいいや、次は本日18時に更新します。それではノシ

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