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ハレルヤ×ハーモナイズ  作者: 文月 イツキ
一小節目 ある晴れた春の日の深夜
3/14

2

「ほい」

「……なにこれ?」


 鍵を返却し終え戻ってきた七弥が私に手渡したのはカラオケ代……ではなく――


「今度のライブチケット」

「ちょっと職員室に用事を思い出したッス」

「待て待て、話を聞け」


 七弥は職務を終えて先生モードの嫌味な敬語が砕けていた。


「ライブハウスで枠を借りてライブをするとき各バンドにチケットのノルマを課されるんだ」

「それで元々私にチケットを買わせるツモリだったから、この紙切れをタダで渡す代わりにカラオケ代と相殺ってことにしろってことッスか」


 仮にも高校の先生が生徒にモノを売りつけようとするなよ……。


「まあいいッス、七弥はどーでもいいッスけど、七弥のバンドの曲には興味あります」

「そーですかい。小さい箱だがきっとお前にとっていい刺激になると思うぜ。出演する俺が言うのもなんだけどな」


 ◎○◎○◎


 思えば有名なアーティストのライブに行くことはあっても、こういうライブハウスでやるアマチュアのライブっていうのには足を運んだことがなかった。

 言われてみれば、私はいつかミュージシャンになりたいと思ってはいるものの、同じ夢を見て行動してる人と七弥のバンドメンバー以外と触れ合ったことがない。

 いつまでも独りよがりな子供のままでは駄目だ。

 きっとそういうことなのだろう。


「分かってる、一人の殻に閉じこもったままじゃ、成長できないなんて」


 一人だとやけに広く感じるカラオケの一室で呟いた。

 だから私は少しでも人の目に触れられるように路上で弾き語りを始めた。

 けど、臆病な私は誰かに、熱量の違う誰かに、笑われるのが怖かった。

 せめて、私を知ってる人がいない場所でと、人もいない深夜の駅前で私は歌っているのだ。

 七弥には周りの目なんか気にしてない風に言ったけど、私は普通の女子高生だ。言われもない噂をよく知りもしない奴らに流されて嫌じゃないわけない。

 気丈に振る舞いたい。周りの目なんか気にせず自分という人間はこうだと、誇らしげに胸を張りたい。

 そんな思いとは裏腹に、見えてしまう冷めた目に、私は怯えてしまう。


「やっぱり、自信ないよ……」


 ギターを掻き鳴らすのはめちゃんこ楽しい。本格的にバンド活動をしてる七弥も褒めてくれる。

 けど、どうしても自分では確信が持てない。

 私の歌に少しだけ足を止める人たちは、どんな風に私の音楽を聞いてるんだろう?

 なんで、あの人は、毎日飴をくれるあの人は耳を澄ましてくれるんだろう?

 今、書いてる曲なんて、七弥のとこの人のに比べたらきっと全然大したことないんじゃないか?

 

 一人になると、いつもこうだ、どんどん自分が嫌いになる。

 馬鹿な話をして気を紛らわす七弥もいない、曲を作っていても、ギターを弾き鳴らしても楽しいと思う反面、自己満足なだけじゃないか、と自分を責め立ててしまう。


 そんな悪循環な考えを絶ち切るように、私のスマホからアラームに設定していた「天体観測」が流れてきた。


 終電一時間前、よりも更に少し前。ここから駅前広場まで少し歩かないといけない。

い。

今回は七弥のベースについて話をしたいと思います!


そもそも七弥というキャラクターはメインになってくる二人の次に考えたキャラクターなので少し思い入れがあるんですよね。

そんな彼に持たせているベースは「Classic Style J4 Custom 田淵智也モデル」そうUNISON SQUARE GARDENの屋台骨、田淵智也氏とのコラボ商品です。ユニゾンはロックバンドでも三人という少人数編成の珍しいバンドで七弥たちのバンドも三人とユニゾンをモデルにしているんです。しかし、七弥は作詞作曲をしないと、同じベースでありながら田淵さんとは違った役回りをさせています。


インディーズのバンドでは基本的に何本も楽器を用意し、一本の楽器だけで演奏することはないのですが、自分が思うユニゾンのメンバーが演奏していて格好良い楽器をチョイスして物語のキャラに当てはめております。


このあとしばらく楽器を演奏するキャラは登場しないので、次は話のキーになるアメさん関係の話を差し込んでいこうと思います。

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