私
私は誰だ?
朝の光を浴びながら温かなるかなこの太陽、お前は何をそんなに張り切っているんだい?
鼓膜をゆらす音、眼を苛立たせる光の波
顔に冷たい感触、鏡の中に閉じ込められた一人の男
コーヒーの匂い、朝の影
舌に熱さと苦さ
ゆらす音、光る波、冷たい水、そして熱さと苦さ
感覚というものは存在を浮かび上がらせ自分という曖昧さに現実を与える
今の私に安らぎというものを与えてくれるとすればこの感覚をおいて他にない
私は感覚というものをこの世界の何よりも信頼している
概念で埋め尽くされ蹂躙された私という哀れな動物にはこれだけでこの信頼だけで充分なのだ
私が誰かというのは感覚が全て知っている、感覚という疑いようのない真実だけが私を支え世界を生きているという確固たる現実に導くのだ
さあ味わえ、匂え、視るのだ人間達よ
この世界というものを全神経を使い感じとり征服してしまうまで