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一人じゃないよ ①
「どうして皆、馬渡君が嫌がる事ばかりするんだ!」
七竈門市立小学校四年B組の担任である小原 吉正は声を張り上げた。
B組の馬渡 章吾以外の生徒は小原と眼を合わせようとはせず、俯いたりしているのがほとんどだ。
「先生は悲しい!まさか、クラス全員で一人をいじめるなんて!!」
生徒の一人が不満げに小原に言う。
「だって馬渡君が…」
「馬渡君は関係ない!!イジメをした君達、皆が悪いんだ!」
生徒の声をかき消す勢いで小原は吼えた。
「皆のお父さん、お母さんには先生から連絡をします!!皆、ちゃんと反省するように!」
ぼそぼそと返事をする生徒達を見て、小原はため息をついて帰りの会の終了と下校指示を全員に告げたのだった。
不満げな顔で教室から出ていく生徒達。
そんな中、渦中の馬渡だけは少し不満気な顔であった。
その日の夜、四年B組の保護者により『子供の名誉毀損』扱いで警察に連絡が入り、翌日捜査科特殊16班が事情聴衆に向かうこととなった。