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TSFハザード ~キスしたら女になる~

作者:三管陽山
 ***

芽島 = 真面目な学級委員長
欽也 = ツッパリヤンキー
ジェイ = チャラ男
タクオ = マシュマロ体型で言動がオタク
琴尾 = か細い少年

 ***

「ジェイ君がやられたぞ!」
 芽島がジェイの肩を支えながらシェルターに戻ってきた。
「う……」
 ジェイは滝のような汗を流して呻いている。
 シェルター入口の黒いソファにそっと横たわらせた。

「バカ野郎! 何で勝手なことをしてんだ!」
 欽也が駆け寄り、ジェイを叱責する。
 ジェイは既に体格が縮み、体つきも丸みを帯びてきていた。
「チッ……TSF病がもう発症してやがる」
 欽也はジェイの胸ぐらを掴み、シェルターの入口まで引きずった。

「欽也君! 何をしているのかね!」
 芽島が慌てて欽也を止める。
 シェルターの入口を開けようとしている欽也は視線だけ芽島に向けた。
「コイツはもうダメだ。シェルターの中には置いておけねぇ」
「しかし……!」
「せっかく生き残った俺たちまで感染しちまったら……この地球から男がいなくなっちまうぜ」
「だが……」
「委員長よぉ。コイツをかばって何になる。コイツは自分でTSF感染者に接触したんだ。自業自得ってヤツだぜ」
「……」

 芽島は深くうなだれる。
 世界中でTSF病がパンデミックを起こしてから数週間。
 虎瀬高校で男として生き残ったのはここにいる5人……いや、1人がすでに罹患し4人になってしまっていた。

「委員長、知ってるだろ? 何をしたらTSF病にかかっちまうのか」
 芽島を睨み付ける欽也。視線をそらして頬を赤らめた芽島を欽也はつまらなそうに一瞥した。
「ハッ、知っての通りだ。コイツは、ジェイは感染者にキスしちまったんだ。ヤバいってわかっていてもな」
 欽也の足元で倒れているジェイは既に原型をとどめていない肉の塊……否、ジェイの面影を残す美少女の姿になっていた。
 汗にまみれて服が透けているジェイ。胸の二つのふくらみに白いシャツがぴったりと張り付き、先端の色が透けて見えていた。
 それもそのはず。さっきまで男だった者が豊満に発達したバストを包むブラをあらかじめ身に着けているはずもない。

「ゴメン、委員長……オレ……ゴホッゴホッ」
 ジェイが咳込みながらゆっくりと上半身を起こし、上目づかいで芽島に視線を送った。
 オレなどという言葉の響きが似つかわしくない、鈴のなるような可愛らしい声だった。見れば喉仏が完全に消えている。
「ジェイ君……」
 目元を潤ませて芽島の足元にすり寄るジェイ。
 芽島からは前が大きくはだけたワイシャツの隙間から、汗でじっとりと蒸れたジェイの谷間が見えていた。
「だ、誰かジェイ君に着せる服をッ!」
 動揺する芽島の足にジェイが絡みついた。
「委員長……こんなオレにも優しいんだな……。そういうとこ、好きだったぜ」
「ジェイ君ッ……」

「オラッ! 離れろ委員長! コイツはもうダメだ、シェルターの外に放り出すぞ!」
 ジェイの襟首を掴み芽島から引きはがす欽也。しかしその手を芽島が止めた。
「欽也君、待ちたまえ。ジェイ君がかわいそうじゃないか!」
「あぁ!? 委員長おまえ、ジェイに惚れちまったか?」
「なっ……そ、そうではない! ジェイ君がTSF病に発症したとはいえ、女の体になっただけで無害ではないか。それを見捨てるなんて……」
 欽也の手からジェイを奪い、引き寄せる芽島。
 しかし欽也は収まらない。
「委員長、わかってんのか? そいつにキスしたらTSF病にかかっちまうんだぞ」
「ハッハッハ! そんなことはわかっている! だが安心したまえ。長い高校生活を共にしたジェイ君にボクがキスをするなんてことはあり得ない! 考えてもみたまえ、ジェイ君はさっきまで男だったんだぞ。女の体になったからといって友の唇を奪うなんてボクにはできないさ!」

 熱く語る芽島の言葉に涙し、ジェイは芽島を強く抱きしめた。
 芽島の学生服に汗が移り、ジェイのじっとりとした熱を伝えた。
 それに応じて芽島もジェイの肩を抱き、まっすぐにジェイの目を見つめた。
「もう安心したまえ、ジェイ君。欽也君だってわかってくれるはずさ!」
「委員長……ありがとう。オレ……委員長のことが……」
「ジェイ君……!」

 チュッ

「ア゛ーーーーーーーーーーーッ!?」
 一部始終を見守っていた欽也が叫んだ。
 ハッと気付く芽島だったが、もう手遅れである。
「委員長ゥゥゥゥ! てめえ、なに自然にキスしてやがる!」
「欽也君、し、仕方がなかったんだ! そういう雰囲気になってしまって……!」
「ちっとはガマンしろやぁぁぁぁぁ!!
「そ、それは無理だ。ボクにはそんな免疫は……はうぅ……!」

 芽島の体からも蒸気があふれ出た。
 TSF病が発症したのだ。

「……は、離れてくれたまえ、欽也君! この病気はボクで食い止める!」
「お、おい。大丈夫かよ。汗がヤバいぜ?」
「見ないでくれたまえ……君にはこんな姿を見せたくない!」
 息を切らしながらも、シェルターの入口に向かって歩く芽島。
「さっきは済まなかったな、欽也君。初めからこうしていれば良かったのだ」
「おい、委員長。何を……」
「出ていくのさ。このシェルターから。ジェイ君には悪いが、彼も連れていく」
「くっ……」
 彼を守れなかった失意にひざを折り地にひざまずく欽也。
 彼には少しづつ小さくなっていく芽島の背中を見守るしかできなかった。

 芽島はやがてハッチにたどり着き、ジェイの手を取った。
 その姿は完全に女性そのものになっていた。
「すまない、欽也君。君とはずっと友でありたかった」
「バカ野郎っ……! 女になったからって急にしおらしくなってんじゃねえぞ。いつもみたいに俺に怒鳴り散らして見せろよ」
「フフ……君の眼にはボクは小うるさい男に見えていたのだろうね。だがそれは、クラスの中でも特に君を信頼していた事の裏返しでもあるのだよ」
「何っ? 今更、何なんだよっ……」
「欽也君。シェルターに残ったあとの2人のこと、よろしく頼むぞ」
「……待てよ」
「何だい?」
「俺みてぇな不良に任せて、大丈夫だと思ってるのかよ」
「もちろんさ。胸を張りたまえ」
 芽島は手本を見せるように胸を張った。ピシッとした学生服の内側から二つの丸いものが服を押し上げていた。
「……ダメだ」
「何?」
「俺はお前がいないとダメなんだよ、委員長!」
 握ったこぶしを地面に打ち付け、うなだれる欽也。
 黒髪の美女となった芽島が遠くからそれを見守る。
「いかないでくれ、委員長。いつもみたいに俺を叱ってくれよ!」
 欽也の眼には、友を想う熱い涙が浮かんでいた。

「フッ……」
 カツカツと学生靴を打ち鳴らしながら整った姿勢で欽也に歩み寄る芽島。
「顔をあげたまえ、欽也君。君らしくないぞ!」
 芽島は毅然とした態度で欽也を叱責する。
 欽也は歯を食いしばって何とか顔を上げた。
 四つん這いになっていた彼の視線の先に、上から芽島の顔が下りてきた。
「そう、それでいいのだ。欽也君、君はいつも前を、上を向いていたまえ」
 欽也の肩に手を置き諭す芽島。
「委員長ぉぉ……!」

 チュッ

「なっ、何をするのかね! 欽也君!」
 慌てて顔を離す芽島。顔は耳まで真っ赤になっていた。
「へっ、お前ひとりで行かせるかよ!」
「バ、バカな! そんな事をして……君ってやつは!」
 困惑し、狼狽する芽島。
 欽也はどこか清々しいといった顔で芽島の慌てる様子を見つめた。
「ヘヘッ、女になると可愛いじゃねえか、委員長」
 その言葉を最後に、欽也は大量の蒸気を体中から発して地に伏せた。
「欽也君……」
 呼吸を荒くして地面で悶える欽也に、芽島はそっと包み込むように寄り添い肩を抱きしめた。


 ***


「なにがあったでござるか!?」
 入口での騒動に気付いたタクオが様子を見に来ると、2人の少女がシェルターの中で倒れていた。
「ど、どうしたの? タクオくん」
 琴尾も陰からそっと追いかけてきた。
 このタクオと琴尾2人が、世界で唯一男として残った者たちだった。

「おおお、おなごが! 男物のブカブカな学生服でグッショリ濡れたおなごたちがいるでござるよ、琴尾殿!」
「えっ、それってまさか……」

 タクオは特に何の警戒もせずに倒れた少女たちに近寄った。
 ドスドスドス
 重量級のタクオが走る音に気付いて少女のうちの1人が顔を上げた。
 気を失っていたわけではないらしい。

「ムッ、君はタクオ君? 来るんじゃない、ボクたちTSF病に……!」

 チュッ

「~~~~~~~ッ!!?」
 なんと、タクオは芽島めがけてダイブするように飛び込んで唇を奪った。
「ウッヒョーーーーーー! 拙者、女の子とキスしちゃったでござるよ! ……はぅあ!」

 ジュウゥゥゥゥ……

 そのままの勢いで体中から大量の背脂のような液体をまきちらしながらタクオは転がって行った。

 汗くさい水たまりの中から起き上がったのは、豊満なバストと引き締まった腰の美女だった。
「ウヒョ? ふおおおおお!」
 美女はがに股で無遠慮に自分の股間を触り激しくガッツポーズをした。
「せ、拙者がおなごになっているでござるぅぅぅぅ!」
 言動はタクオのまま、美女ははしゃぎまわった。

「な、なんということだ……タクオ君。せっかく残った男だったというのに」
 芽島は唇をぬぐいながら青ざめている。
 騒ぎに気を取り戻した欽也もブカブカの学ランを持て余しながら起き上がった。
 なんと欽也は幼児体型の少女になっていた。

「おっ、琴尾じゃん! お前が最後の男とはね~」
 騒動に紛れて身を潜めていたジェイが琴尾を後ろから抱きしめて捕まえていた。

「ジェイくん? それに……委員長と……誰?」
「おー。アレは欽也だよ。なんか一人だけロリ化してるけど。」
「そんな。みんなもう……」

 琴尾は絶望にうなだれた。
 きっと自分もTSF病にかかって女になってしまうのだと恐怖に震えた。
「わかった。みんな、僕も女にしてよ。それで全部終わりだろう?」

 琴尾は震える体を戒めながら、目を閉じ顔を上げて唇を差し出した。

「……」
 覚悟を決めつつも震える琴尾。
 見つめあう4人のTSF少女たち。
 そして。

 ぺたっ

 ガムテープで琴尾の口を塞いだ。
 これでもうキスはできない。

「もごっ!?」
 目を見開いて琴尾は驚愕した。
 微笑みを浮かべた4人のTSF少女が彼を取り囲んでいた。

「安心するでござるよ、琴尾殿」
「痛くはしねぇからよ。俺は痛ぇかもだけど」
「だーいじょうぶ、オレたち全員初めてだから」
「世界に残ったたった一人の男だ。気を楽にしたまえ、琴尾君!」

「もご……んっ、んんっ……んんーーーーーーーーーっ!!」

 ***

 その後、アンチTSFウィルスという抗体を持った4人の少年たちが生まれ、世界中のTSF美女たちをキスで治療して回ったという。



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