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REV  作者: 神宮寺飛鳥
14/17

REV.13


美しかった星が、何故滅んでしまったのか。 その理由をボクらは知らない。

そこにどんな歴史があり、そしてそれを誰が受け継いでいくのか。 過去も未来もわからないボクらは、きっと無知で愚かな生き物なのだろう。

滅びは直ぐにはやってこない。 平和はまだ長持ちする。 けれどボクらはそれを意識せねばならない。 恒久的な、永遠と呼べる世界なんて何処にもないのだから。

ならばせめて。 せめて大切な物だけでも。 その両手に掴んだまま、世界の終わりを過ごしたい。 それはきっとボクに許された最後の願いだから。

過去も未来も進化も再生も、そんな物はどうでもいい。 世界なんてどうでもいい。 ただ、ボクは――――!


「それじゃあ始めるけど……二人とも、本当に一緒に来るの?」


「今更何言ってんだ?」


「そうよ。 あたしマリーに負けっぱなしで生きていくなんて絶対嫌よ」


「いや、そうだけどさあ……」


ロケットのコックピットは恐ろしく狭かった。 元々子供が二人で宇宙に行く為に設計されていた物を強引に三人乗りに改造したのだ。 強度的にも設計的にも不安は尽きない。

だがまあ確かに、もうここまで来てしまったのだから仕方が無い。 ぎゅうぎゅう詰めのコックピットの中、一人操縦桿を握り締める。


「それじゃあじいさん、あの……」


『おう。 行って来い。 ちゃんと、レヴィちゃんを助けて来るんだぞ』


部屋の隅に組み立てた急ごしらえの管制装置からくぐもったじいさんの声が聞こえてくる。

これまた急ごしらえで手作り感溢れるインカムに手を当て、そっと目を閉じる。

なんというか、もしかしたらこれでじいさんと会う事はなくなるのかも知れないと考えると胸に何ともいえない熱い思いがこみ上げてくる。 ロケットは片道だけしか効果を発揮しないから、戻ってこられる保障は今の所全くないのだ。

だからこそ、本当に一緒に来るのかと二人にも訊ねたわけだが……もう二人がテコでも動かない事はよく判っていた。 でも、まだ、じいさんについては話が別だ。

ボクはずっと家によりつかず、じいさんともまともに話をしなかった。 覚えの無い両親の代わりにボクを育ててくれた彼に、まだなんのお礼も出来ていない。

それでもどんな言葉をかけたらいいのか判らず言葉に詰まるボクの肩を叩き、イクスが笑った。


「言ってあげなさいよ。 それがきっと、おまじないになるわ」


「…………そうだね」


涙は見せない。 もう、ボクはさんざん泣いたから。

深く息を吸い込み、声しか届かないじいさんに向かってボクは言う。


「――行ってきます」


安全装置を解除し、エンジンを起動する。

同時にじいさんが操作を行い、空への道を塞いでいた地上へと続く真上の鉄板をいくつも移動。 出来ない物は爆破して道を作る。

余りにも急ごしらえの発射台だった。 操作をミスれば地上に出る前に衝突して木っ端微塵だろう。 全てはボクの両手にかかっている。

それでも二人は何も言わずにボクの背を押す。 そして、ボクは自分に出来る戦いを始めると誓った。 だからもう迷わない。

歯を食いしばり、空に向かって放たれる衝撃に備える。 それは今までの人生で体感した事のないような衝撃で、想定していなかったその激しさに思わず息が詰まる。

それでも操縦桿を必死に握り締めた。 がたがたと揺れるそれを子供の両手で固定するのはとても難しくて、思わず手が滑ってしまいそうになる。

そんな瞬間、背後から延びてきた二つの手がボクの両手を大きく包み込み、支えていた。 左右から覗く二人に目配せし、後はもう、考えるのをやめた。

ただただ天空へ。 まだ見ぬ世界へ。 そしてこの世界の真実目掛け、ボクらは飛翔する。 偽りの空を突き破り、宇宙へ――――!



「――――これが」


全てを吹き飛ばす風と白煙の晴れた向こう、空は果てしなく広がっていた。

漆黒の海に浮かぶ小さな、とても小さな街。 ボクらが広いと思っていた世界はとても小さくて、振り返れば呆れてしまうほど当たり前にそこにある。

空は本当にハリボテだった。 ただ、映像を映し出しているだけの薄い膜だった。 突き破ろうと思えばいつでも突き破れてしまうような、そんなちっぽけな壁だった。

境界線なんて本当は在って無いようなものだったんだ。 そんな事を漠然と考えながら、当たり前のように叶った夢でも躍らぬ心で上を見上げる。

そこには巨大な要塞があった。 ぐるぐると回転する巨大な機械の筒。 暗闇の中浮かび上がるそれを見て、イクスが口を開く。


「――――移民衛星フロンティア。 やつらはあそこに――レヴィはあそこに居るわ」


外の世界に出るなといっておいて、自分たちは移民の為の施設を建築していた。 それがこの世界の政府のやり口だった。

その大きさはボクらが世界だと思っていた物より何倍も大きくて、やりきれない思いが胸に去来する。


「突っ込むよ!!」


どうすれば中に入れるのかわからず、ボクはその巨大な筒目掛けて加速した。

二人が後ろで何か言っていたような気がしたけれど耳に届かない。 ボクは絶叫と共に敵の城に突撃した。



REV.13



「あー…………。 イクス、ウラ……。 生きてるか?」


「――――何故か生きているわ。 ここのところずっと自分の強運に驚かされっぱなしよ、あたし」


「き、傷口に操縦桿が当たった……っ!」


各々の感想を述べる三人はそれぞれあられもない格好で狭すぎるコックピットの中倒れていた。

絡み合うようにして各々呆然としている中、対照的に外壁を突き破られたフロンティア内部は酷い騒動に陥っていた。 鼓膜が張り裂けそうな音量で鳴り響く警報と共に二人が突き破ってきた外壁がゆっくりと閉じていく。

応急処置に過ぎなかったが、フロンティアは外部装甲を積層させているため、他の部位から装甲を移動し作業用ロボットに溶接させる事で一応の真空状態を維持する事が出来た。 新たに空気が注ぎ込まれる音が部屋中に響いていたが、三人はそれに気づいていない。


「ていうかゼン……。 気持ちはわかるけど、いつまで胸に顔突っ込んでるつもり?」


「意図的じゃねえからっ!! ウラ! お前もうちょっと後ろに下がれないのかよ!?」


「だ、だってイクスのヒールが顔に食い込んで……!」


三人のどたばた劇はしばらく続いた。 コックピットの外部装甲を解放すると、三人はあっけなく外に出る事が出来た。

円柱型の形状をしたフロンティアは回転する事により外側に向かって擬似的に重力を再現している。 三人が突き破ってきた穴が今は何故か『下』にあり、その事に戸惑いながらも準備を進める。

当然、フロンティアは強固な装甲を誇る建造物である。 音速を超えるスピートで吹き飛んできたロケットとは言え、突き破るのは困難だ。 それを突破できたのは、たまたま建築途中の進入禁止区域に三人が辿り着いた幸運のお陰であった。


「ここはまだ居住区として一般解放されてないみたいね。 しかし、弾頭を強化して突撃用にしたとは言えよくもまあ本当に無事に辿り着けたもんね……」


「これ、帰りもやるの……? ボクなんか既に憂鬱になってきたんだけど……」


「帰りは死ぬかもな、これ……」


「仕方ないでしょ? 港から入るのはまず無理だし……。 港を強行突破するなんて警備レベル的に不可能よ」


「だからって壁から入るのもどうかと思うぜ。 まあ、判りやすくて俺は好きだが」


「ボクもややこしいのはもうなんかめんどくさいからいいよ……。 それより早くレヴィを探さなきゃ!」


「はい、ストーップ。 少年、どこに行くつもり?」


「だから、レヴィの所に……」


「あんた馬鹿ね。 ゼン、荷物持って!」


頷いて装備を回収するゼンを背景にイクスは腕を組んで溜息を漏らす。


「少年、あんたの意気込みは評価するけど、真正面から挑んでもまたR2にやられるだけよ? こういう戦いにはそれなりのやり方ってもんがあるの」


「え? じゃあ、どうすればいいの……?」


「とにかく付いてきて。 こっちよ」


ゼンと共に荷物を担ぎイクスの後を追う。 イクスが向かう先には数々の扉があり、それらのロックを容易に解除しては先に進んでいく。

どこに向かっているのか、何をしようとしているのか。 イクスの考えは二人にはさっぱり理解出来なかった。 しかし今は他に頼るべきものがない。 大人しく続くしかなかった。

やがてしばらく移動し、警報の音も遠ざかった頃、三人が開いた扉の向こうに彼女の目的地が広がっていた。

眼前に広がる光景に二人は目を丸くした。 慣れた様子で一歩踏み出し振り返るイクスは二人を軽く手招きする。


「――――ようこそ、新世界へ」


そこにあったのは街だった。 巨大な巨大な、上下左右に果てしなく広がる街。

彼らが知る世界とは別に、空に組み立てられていた作りかけのもう一つの世界。 その存在を二人は知らなかったというのに、その街には多くの人が溢れていた。

余裕の表情でその波に混じっていくイクスに続き慌てて歩き出す二人。 何もかもがものめずらしく、視線はあちこちを往復していた。

街並みの様子は確かに地上のそれと大きくは変わらない。 しかしどう見ても清潔で、そしてより高性能な文化が栄えている事が見て取れる。


「い、い、イクス! 天井に街がある!」


「円柱の内側に街があるんだから当然でしょ」


「す、すごい……。 ボクらこんなのぜんっぜん知らなかった……」


「くううう〜〜っ!! やべえ、テンション上がってきたあっ!! 探検しようぜ、探検っ!!」


「ガキかあんたたちは……。 自分たちが何しに来たのか覚えてる?」


「うおおお〜〜っ!! マジやべえ! 本当に俺たち世界の外に来ちまったああああっ!! みんなーっ! 愛してるぜーっ!! ひゃっほおおおっ!!」


「わあーっ! わあーっ!! すごい、どうなってるの!? 上なのに下がある! 下なのに上があるよ!!」


「黙れっ!!」


後頭部を拳銃のグリップで殴りつけるイクス。 二人は同時に頭から血を流しながら道端に転がっていた。


「自分から目立ってどうするのよ、ったく……。 ほら、さっさと来なさい。 でなきゃ置いていくわよ、馬鹿」


「「 ごめんなさい…… 」」


声を合わせて返事をする二人。 イクスは煙草に火をつけながら歩く。

フロンティアは『世界』がもう長くは持たない事を知った政府がFRES、OZと同時に開発を始めた新世界であり、その開発は既に半世紀に渡って続けられてきた。

その世界に住むことが出来る人間は政府が選出した優秀な人材のみであり、選出されなかった人間たちは全て旧世界と共に滅ぶ事が決定していた。

そして彼らの間に余計な情報が伝わらないように政府は街を閉ざし、空という存在を忘れさせた。 杜撰な世界の管理体制も、OZとFRESが正面衝突しなかったのも、全ては裏で動いていた計画の為だった。


「フロンティアの設計にはあたしも携わっていたわ。 政府が新たに宇宙に楽園を築くつもりなら別にそれでいいと思っていたんだけどね……。 連中は地上の人間を全て見殺しにする気だって知ってからは、何だかやる気がなくなっちゃったのよ」


「それでイクスはFRESを抜けちゃったんだ……」


「ここには何度か来た事もあるんだけどね。 やっぱりあたしにはあのごみごみしていて汚くて、間抜け面引っさげて人が歩いている世界の方が好きなのよ」


「つーか、本当に何も知らせてないんだな……。 まあ知ったら知ったでえらい騒動になるだろうけどよ」


「うん……。 世界が滅ぶなんて現実、出来ればみんな知りたくないよね……」


「だからって何も知らずに滅びを迎えるのが良いとはあたしは思わないわ。 それは優しさじゃない、善意と自己満足を相手に押し付けているだけよ」


いつになく辛辣な、冷たい口調で吐き捨てるイクスの様子に二人は顔を見合わせた。

後頭部をグリップで殴られたのも、もしかしたらイクスがこの街に入ってから苛立っているからなのかもしれない。

しかしそれも致し方の無い事なのかもしれないと考えた。 見渡す街に生きる人々から感じる印象は、地上のそれと変わらない。

皆与えられた幸せと現実と世界をただ受け入れているだけ。 だからきっと、そこは第二の楽園だった。


「善意と自己満足の押し付け、か……。 何も知らずに滅ぶのは、確かに良くねえな」


「うん。 最期の瞬間が訪れるとしても、ボクは自分の望む形でそれを迎えたいからね」


「そうね……。 だからこそ、止めなくちゃ。 それがあたしの善意の押し付けだとしても……」


呟くように零したイクスの言葉。 それは街の喧騒に掻き消され、しかしそれでも二人の耳には確かに届いていた。

三人が歩き続けた先、辿り着いた広場があった。 公園の意味も持ち、人々の憩いの場所となっているそこで、三人は足元を見下ろす。

何百メートルの広範囲に渡って足元にはディスプレイが映し出されていた。 そこには今、フロンティアが観測している映像が絶えず輝いている。

それは、蒼い星だった。 かつて人々が世界と呼び、そして打ち捨てた物。 もう戻れない、二度とは帰れない、確かにあった楽園。


「『地球』――って、呼んでいたそうよ。 あたしたちが済む世界……『月』よりも何番も大きくて、美しい自然が広がる星。 REVはきっと、あの星から来たのよ」


その美しさに二人は目を奪われていた。 今も尚ゆっくりと回り続けるその巨大な蒼いスフィアに。 本当の意味での世界、そして楽園。 帰るべき場所。


「レヴィは、あそこから来たんだね」


蒼い蒼い、とても深く鮮やかな色。 そんな輝く不思議な色を持つ少女を連想し、少年は目を閉じる。


「きっと、そうなんだろうね。 だってあんなに――。 地球の色を切り取ったみたいに、蒼色なんだから――」


失われてしまったものからのメッセージ。

誰もが求めていた帰るべき場所への道標。

だからこそ、人は争ってでもそれを手にしようとする。



かつて、マリー・コンラッドとイクスは親友と呼び合える関係にあった。

イクスは最も優秀な頭脳を持つ科学者であり、マリーは二番手ながらも卓越した技術を持ち、二人はお互いを刺激し合い成長し、認め合う事の出来る存在だった。

幼い頃からマリーと共にあった二人は同い年であるという事もあり、常に一緒だった。 イクスの一生涯の内、最も多くの時間を共に過ごした相手。 それがマリー・コンラッドだった。

二人とも宇宙開発特務室に勤務する事になってからもその間柄は変わらず良好で、フロンティアの建造、そしてゆくゆくは母なる星、地球への移民さえ視野に入れていた。


「どうして地球に近づく事が出来ないのかしら……」


「たぶん、地球の周囲にエネルギーフィールドが展開されてるからだと思う。 大昔に私たちのご先祖様がやったんだろうね。 絶対に地球に戻れないようにって」


「そんなに人間は地球に望まれていないのかしら……。 いえ、望んでいなかったのは人類の方かもしれないわね……」


白衣を翻し、壁に背を預けため息を漏らすイクス。 そんなイクスの様子を見つめ、マリーは優しく微笑んでいた。


「……大昔の人は、どうして地球を捨てちゃったのかな。 それとも、地球から逃げ出したかったのかな」


「地球から……逃げる?」


「とてもきれいで、とてもまぶしくて。 すごく純粋な存在から、目を逸らしたかったのかもしれない。 自分たちはそこに相応しくない、って。 だから私たちは今、ここにいるのかもしれない」


「あたしは月の暮らしも結構好きよ。 でも、続けていられないのならばどうにかしなきゃ。 いつこの世界が終わってしまうのかさえ判らないなら、急いで手を打たないとね」


「…………ねえ、イクス」


マグカップを手に取りコーヒーを口にしたイクスにマリーは視線を向けずに問いかける。


「聞いてみたいね……。 どうして人間が、地球を捨てちゃったのか」


「……それを知ったところでどうなるわけでもないんじゃない?」


「うん、そうだね。 それでも知りたいよ。 あの星の事……。 もっともっと、知りたいよ」


暖かい湯気が立ち上るマグカップを両手で握り、寂しげに微笑むマリーの横顔。

身分を偽り、過去を偽り、何もかもを偽って生きてきたイクスにとって、真実を語れるのはマリーだけだった。

いつでも傍に居て、出来る事ならば一生共に歩きたかった友人。 だからこそ最大の敵にして、最大の障害となる。

お互いの手は知り尽くしている。 アースという組織の事も、自分の過去も、知るものはマリーしかいない。

そしてその腕も、発想も、全てはお見通し。 何故ならマリーは常にイクスの背を見て歩いてきたのだから。

二人の道が分かたれて早くも数年。 変わってしまったのはきっとお互い様だろう。 今更相手に何かを言える程距離は近くなく、それを割り切れる程遠くも無い。

正しいかどうか、それが善なのか悪なのか。 それは考えても答えの出ない問いだろう。 それでもイクスは胸を痛める。

ウラやゼンと共に此処まで来て、勿論レヴィアンクロウは救い出したい。 それでも、彼女が救いたい物は一つではなかった。

あの日、あの場所で拳銃を突きつけたイクスが引き金を引けなかったその理由を、きっとマリーは見透かしていた。

そう思い、確信に至る程、イクスはマリーを理解している。 信念が二人の袂を別った今でも……。


「イクス」


「えっ? な、何?」


「らしくねえな。 緊張してんのか? 妙にしおらしい顔になってんぞ」


突然ゼンに頬を引っ張られ、思わず顔が赤くなる。

その手を振り払い、腕を組んでそっぽを向く。 過去を思い返しているうちに気づけば随分と進んでしまっていた。


「なんでもないわよ……。 あんたたちには関係のない事よ」


「それ、イクスが言う台詞とは思えないよね」


「ウラの言う通りだぜ。 あんたこそ俺たちには関係ねえだろ。 それでもあんたは一緒に来てくれた。 仲間じゃねえか、そんなにツンツンするなよ」


「ツンツンなんてしてないでしょ!」


「あはは。 イクスはそれくらいの方が丁度いいよね」


「だな。 ほら、さっさと行くぜ! 決着、つけるんだろ?」


振り返り微笑みゼンの横顔。 思わず笑みが零れ、深く紫煙を吐き出した。


「そうね」


三人が目指す景色の先、聳え立つ塔があった。

物語の終わりを告げる再生と進化の塔。 イクスはそれを見上げ、静かに思い出と共に息を付く。

本当に大切な瞬間に、迷ってしまわないように。


「行くわよ! 作戦はあたしに任せなさい!」


強く言い放ち、走り出す。

物語の終わりが近づいていた。


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