第8話
「それ、あたしってば当て馬って事~?何それ、楽しいわ~」
そう言ってケラケラ笑っているのはマックス先輩。現在、コーティ先輩のお部屋で女子会中です。
「ライラちゃんも彼氏いるんだ~良いわね~若い子は」
「若いって、マックス先輩とコーティ先輩、2歳違いじゃ・・・」
「2歳って大きいの。この年になるとねん」
ため息をつくマックス先輩・・・。
先ほどから話ているのは、最近できたショップ、最新のメイク、そして恋バナ・・・まごうこと無き女子会だ。
「それで~、ライラちゃんは彼のどこが好きなの~?」
「えっと、優しくて・・・」
コーティ先輩はマックス先輩の持ち込んだお酒で撃沈している。
「あれ?アルフレッド・ジーンて、作戦本部のアッシュ・ジーンの関係者?」
「あ、アルフのお兄さんだって聞いてます」
「そうなの!?コーティったらチャンスじゃない?」
「え?」
「あ、知らないの?アッシュ・ジーンて人気高いのよ?あの年で作戦本部でしょ。コーティも昔はキャーキャー言ってたし・・・」
「そうなんですか!?」
ってことは、レオナルドのライバルはアルフのお兄さん!?
「・・・そんなの昔の話だよー」
コーティ先輩が復活した。いや、かなり酔っていらっしゃる。
「そう?みんなで一緒にキャーキャー言ってたじゃない」
「だって、優良株だったしー。好きな人いないって言うと怪しまれて煩かったしー」
「・・・隠れ蓑ってことですか?」
「そう。なんか周りに合わせていただけで好きじゃないしー。・・・ああ、恋がしたい」
「分かるわ!!あたしも恋がしたい!!」
「・・・私と付き合うー?」
「駄目よコーティ。その場のノリで付き合うなんて言っちゃ。もう、この酔っ払いは」
・・・ここでマックス先輩がOKを出してしまったらと、内心、とても焦った私なのでした。
夜、いつもより遅くなっちゃったけど、カレンとアルフに通信を入れる。
「あれ?」
二人とも繋がらない・・・留守?任務か何か入ったのかな?
「・・・報告は明日で良いか」
今晩は、このまま寝ることにしますか。
翌朝、コーティ先輩は頭を抱えている。
「うぁ~ガンガンする。完全二日酔いだわ」
「大丈夫ですか」
「仕事に支障は出さないけど・・・昨日、私なんか言ってた?」
「え、覚えてないんですか?」
「記憶が飛んでる・・・」
お酒って本当に記憶が無くなるんだ。
「冗談でマックス先輩に「付き合う?」って聞いたのも覚えてないんですか?」
「え、私そんな事を言ってたの恥ずかしい・・・」
「・・・恋がしたいって言ってました」
「・・・恥ずか死にたい」
こんなコーティ先輩は初めてで、同性から見ても、とても可愛かったです。
そう、思わずレオナルドに報告してしまう程度には可愛かったのです。
「という訳で、レオナルドにもチャンスあるよ」
「・・・そうか」
ちょっと嬉しそうなレオナルド。私もつられて嬉しくなってしまう。
「そうだ。昨日、アルフとカレンに通信が繋がらなかったんだけど、何か知ってる?」
「そうなのか?いや、知らない。任務じゃないか?」
「そうだよね」
「・・・一日くらい通信が出来なくても、アルフは浮気しないぞ。お前にゾッコンだからな」
「そういう話じゃないです!!」
ゾッコンって単語久々に聞いたわ!!!
「あれ?今日も繋がらない」
その日の夜も二人に通信は繋がらなかった。何かの任務?それとも何かあったのかな?モヤモヤしながら眠りにつくのであった。