第6話
皆さん、こんにちは。お馴染みライラ・ブラックでございます。先ほど、第98連合基地に到着したアルフとカレンから別々に通信が入りました。
アルフにはカレンの為にトーラン先輩の情報を得る事、レオナルドの為にコーティ先輩の情報を得る事、二つについて話しました。アルフからの感想は「情報を集めるのは良いけど、トーラン先輩の事、好きにならないでね」でした。なりません。アルフの事が好きですから。と言ったら、嬉しそうに微笑んでくれました。・・・今となっては恥ずかしい。
カレンにはレオナルドから情報を貰うことを話しました。出向で頭の中がいっぱいだった出発前と比べて冷静になったようで、私とトーラン先輩の接点が少ないことに気が付き「それは・・・そうだよね!」と笑っていました。
さて、トーラン先輩情報はレオナルドに任せて、問題はコーティ先輩だ。今まで、私の恋愛を揶揄うことはあっても、自分の恋愛については話したことのないコーティ先輩。どうやって、話を持っていこう・・・。思わずため息をついてしまう。
「お、彼と離れて3日目。もうため息?」
コーティ先輩!!なんていいタイミング。うまく話を持っていけば・・・!
「ち、違います。昨日、通信で話しましたから」
「おお、さすがラブラブだね」
ダメだ。このままだと、いつも通り揶揄われて終わりだ。切り込むんだ!
「コ、コーティ先輩は無いんですか!?」
「ん?」
「だから、コーティ先輩には恋愛系の話題は無いんですか!?」
・・・直接的過ぎたかな?いや、ちゃんと聞かないと。
「どうなんですか?」
「・・・今日は食いついてくるね~」
「いや、なんというか、いつも私の話ばかりなので・・・」
「そうね~良いなって思う人は居るけど・・・」
「え?」
え、え、え・・・居るんだ!!
「もう、良いなって思っているだけ。どちらかというと、今は仕事一筋よ」
「ええ~。教えてくださいよ」
「秘密」
「私とアルフの事は知ってるじゃないですか」
「そりゃあ、調査部・補給部の公認カップルですから」
・・・え?
所変わって、いつもの食堂。レオナルドと二人のランチタイムです。
「・・・私とアルフって調査部・補給部の公認だったんだ」
「今更・・・」
え?今更なの?
「調査部ではアルフが『今日のライラ』って感じで毎日惚気るから・・・」
「それ知らない」
知りたくなかった。
「それより、どうだったんだよ」
「あぁ、それはね」
コーティ先輩との会話をレオナルドに話した。
「そんな感じで、はぐらかされちゃった」
「・・・そうか」
レオナルドの表情は変わらない。
「じゃあ、今日のトーラン先輩情報をお願いします」
「ああ、今日は・・・」
「今日は普通に任務について、お昼は同期と行ってたって」
夜、カレンとの通信だ。レオナルドから聞いた話をそのまま伝える・・・レオナルドがカレンに通信を入れれば良いんじゃないの?ってそれは言ってはいけないお約束だ。
「それだけ!?もう、レオナルドったら仲間だと思っていたのに・・・」
「仲間って」
「だって、レオナルドはコーティ先輩の事が好きでしょ?」
「あ、知ってたんだ」
「見てれば分かるって」
・・・分からなかった。言われるまで全然気が付かなかった。
「私さ、コーティ先輩が好きなのってトーラン先輩じゃないかなって思って・・・」
「え、でも仲が良い同期って感じじゃない?または補給のセルとして信頼してるとか」
「『良いなって思っているだけ』って言ってたんでしょ。十分可能性あると思うんだ」
・・・確かに、そんな気がしてきた。
「待って、複雑になってきて分からなくなってきた」
「だから、私とレオナルド、トーラン先輩、コーティ先輩の四角関係って事」
カレンとの通信を切り、アルフと話す
「四角関係?の話でもう頭がゴチャゴチャ」
「あはは、カレンの考えすぎだと思うけどね」
「そうかな・・・」
「そうだよ。俺は、コーティ先輩は仕事が大事に一票」
「そう?」
「恋してる人は分かるよ」
・・・サラッと、そんな台詞言えるなんて流石だ。
「そうだ、基地には慣れた?」
「まあまあかな。シアタールームがあって今日は基地の先輩と・・・」
みんな、恋に悩んでる。ヒロインのカレンが攻略対象に片思いで、別の攻略対象のレオナルドはゲームに出て来なかった人に恋してる。
やっぱりここは乙女ゲームの世界ではない。私の恋もアルフの恋も本物だと安心した。
・・・みんなには悪いんだけど、幸せでごめんなさい。