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スペース・オペラは始まらない!?  作者: ツネツ・ネツネ
乙女ゲームの世界!?
3/9

第3話

 みなさん、こんにちは。業務中のライラ・ブラックです。補給業務の他にも企業との契約などに関わらせて貰えるようになりました。ただし、実家は除く。

 えぇ、通常業務全般になれてきたと思います。カレンとの補給も完璧です。そろそろ他の機体への補給も任せてもらえるかな。


 あの時に感じたのは、きっと嫉妬ではありません。嫉妬のはずがないのです。だって、私は悪役令嬢ではないのだから・・・。


 私が悪役令嬢を降りてもストーリーは展開しているようです。先日、初の長期任務(といっても一週間)に行ってきたライラ達。ストーリー通りのハプニングが起き、ライラの機転で解決したようです。先日のランチタイムにアルフレッドから聞きました。

 えぇ、調査部同期組のランチにまだお呼ばれしています。というか、ランチタイムになるとアルフレッドが迎えに来てくれます。コーティ先輩、そんなにニヤニヤしないで下さい。私は攻略対象様に恋しないのです。だから、周囲(補給部同期)からの痛い視線も減って欲しいものです。


 今日はアルフレッドと二人のランチです。ライラはトーラン先輩とランチらしい・・・ということはルート確定したのかな。ちなみにレオナルドは昼の待機任務とのこと。

「カレンから聞いたよ。ライラの点検は丁寧で信用できる。だから、任務に集中できるって」

「そんな・・・カレンも自分の目で点検しているから自信に繋がっているのではないでしょうか」

「・・・俺の機体もライラが点検してくれたら良いのに」

アルフレッドが食事の手を止めてこちらを見てきた。

「アルフレッドさん。それは補給担当者に失礼ですよ」

「そうだね。ごめん。でも、本当にカレンがうらやましい」

アルフレッドが食事を再開する。思わずドキドキしてしまった。流石、攻略対象様。美形の御尊顔は心臓に来ますね。


 そう、美形だからドキドキするのです。


「ライラ。今度の休日っていつ?」

「えっと、明後日です」

「本当!?俺もなんだ。良かったら一緒に出かけない?ステーションの方とか・・・」

「良いですね。カレンとレオナルドも一緒に・・・」

「二人は任務なんだ」

・・・え?

「俺と二人は嫌?」

「い、嫌じゃないですけど、でも」

「じゃあ、決まり!!10時に中央展望通路ね」

そう言い放つとアルフレッドは食事のプレートを持って颯爽と去って行ってしまった・・・。

またまた強引な・・・って、え?二人で出かける?それってデート・・・いやいや、おこがましい。たかが同僚と出かけるだけですね。


 そんなこんなで当日です。昨日はコーティ先輩やカレンにニヤニヤされましたが、デートではありません。お出かけです。そう、前世だって同僚と飲みにくらい行きましたから、それと同じです。


 中央展望通路で星を見ながら待っているとアルフレッドが来ました。

「待った?ごめんね」

「時間より前ですよ。私が早く来すぎただけです」

「でも女の子を待たせるとは・・・不覚だよ。行こうか」

ステーションへはシャトルが定期的に出ているので、それで向かいます。軍の施設は便利に出来ています。福利厚生完璧です。


 ステーションに着いてから、アルフレッドのエスコートは完璧でした。ショッピング、食事、観光・・・調べてきたのかな。気を使わせてしまったようで心苦しい。ただの同僚とのお出かけにも手を抜かない男。流石の攻略対象様ですね。


 一日中ステーションで楽しんでしまいました。普段の休みは勉強してばっかりだったから、たまにはこういう休みも良いものです。

「今日はありがとうございました。今度はカレンやレオナルドも一緒に来たいですね」

「そうだね」


 アルフレッドが立ち止まる。つられて私も立ち止まる。

「良かったら、今度も二人で来ない?」

「はい?」


それって、どういう意味?


「好きなんだ。あの無重力の中、荷物を運んでいる姿を見た時から。いや、試験中に倒れた時から気になっていた」


 だって、こんなの可笑しい。


「僕と付き合ってくれませんか」


 攻略対象ガヒロイン以外ニ恋ヲスルハズガナイ。私ガ攻略対象ニ恋ヲスルハズガナイ。私ハヒロインニ嫉妬シナイ。私ハ悪役令嬢ジャナイ。


「返事は今度で良いから」


 私はいったいどんな顔をしている?私は何が言いたい?私はライラ・ブラック。この世界の悪役令嬢だった人物。私は・・・どうすれば良いの?




 どうやって部屋に帰ってきたのか分からない。でも、今は部屋に一人。アルフレッドが告白?私に?ヒロインじゃなくて?どうして?疑問ばかり浮かんでくる。


 ここは乙女ゲームの世界。私はルートを外れた悪役令嬢。アルフレッドは攻略対象。攻略対象が悪役令嬢や脇役に恋することなんてあるの?


混乱の中、私は意識を手放した。




ドンドンドンドン!!!ドンドンドンドン!!

ドアを叩く音がする。

「ライラ!!居る!?居ないの!?」

コーティ先輩の声がする。なんだろう。

「はい」

ドアを開けると焦った顔のコーティ先輩が居た。

「ライラ!!大変なの。カレンが、カレン・ブランシュの機体が行方不明なんだって」

「・・・え?」

「補給担当を呼んで来いって言われて・・・ライラ大丈夫?」


 恐らく、私の顔は真っ青だと思う。カレンが行方不明になるなんて・・・そんなイベント知らない。


 私は爆死エンドを避けるために悪役令嬢を降りた。それなのに、私はヒロインに嫉妬してしまった。攻略対象が私を好きになってしまった。ストーリーが滅茶苦茶になってしまった。


・・・全部、私の所為だ。


 コーティ先輩に連れられて行った先は作戦本部の会議室だった。室内には補給部の隊長、トーラン先輩、アルフレッド、レオナルドと見たことない人物が居た。

「作戦本部の方よ」コーティ先輩に耳打ちされた。

「作戦本部のアッシュ・ジーンだ。カレン・ブランシュの補給担当か」

「はい。そうです。あの、カレンが行方不明って・・・」

「正確には行方不明ではない」

モニターに立体星図が映し出された。

「この位置から基地までのジャンプをした際、燃料切れで途中までしか飛べなかっただけだ。機体の位置は把握している。今、予備燃料タンクを持って迎えが行っているところだ」

・・・行方不明じゃない。安心のあまり腰が抜けそうな私をコーティ先輩が支えてくれた。

「そこで補給担当者に聞きたい。最後に補給したのはいつだ」

「・・・昨日です。今日、私は休みでしたので、昨日の夕方カレンと補給をして本日の任務に備えました。」

「その際、変わったことは」

「ありません。いつも通りの補給でした」

「そうか・・・通常、このような事は起こりえない。補給部、補給に使った燃料タンクを確認しろ。調査部は機体が戻ってきたら整備部に連絡しろ。以上」

作戦本部のアッシュ・ジーンは足早に去って行った。


「コーティ。行方不明ってブラックに説明したのか」

「トーランが言ったんじゃない」

コーティ先輩とトーラン先輩が言い争う中、アルフレッドが近づいてきた

「大丈夫?」

「・・・えぇ。本当に心配だったの」

「俺も。なんで今日が休みで一緒に任務に参加しなかったのかって思ったよ」

「どうしよう。私の補給に問題があったのかしら・・・」

「そんな訳ない。いつもカレンとダブルチェックしているじゃないか」

「でも・・・」

もし、嫉妬で無意識のうちに何かしていたら・・・やっぱり私は悪役令嬢なのかもしれない。

「大丈夫。兄さんが原因をしっかり突き止めるさ」

「・・・兄さん?」

「あれ、気づかなかった?アッシュ・ジーンは僕の兄」

・・・攻略対象に関してそんな設定あったっけ?また、ストーリーが違っている?

「ライラ、顔色が悪い。部屋まで送るよ」

「でも、タンクの確認が・・・」

「それは私がやるから。本当に顔色が悪いわ。アルフレッド、ライラをお願いね」

コーティ先輩に促されて、私たちは会議室を後にした。

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