この歳で、修行です!
パーシバルは5歳になった。
この世界には剣、ハンマー、杖、拳、魔法、etc……。何でもござれな状態の異世界。
どうすればいいのだろうと、迷走しかけているパーシバルではあるが、それは現実逃避に過ぎず言い訳もいいところである。
迷ってはいるが、決めないといけない。
パーシバルは直感した。
どれを使えるかなんてわからないが、まずは魔法をやってみたい。
何故かそう感じた。
何故かそれが自然に出た。
パーシバルはこれしかないと思い至って、王都『グランベルトル』にある王立の図書館『アーズビレッチ大図書館』にいくと決めた。
その際、母が泣きつき、父はうむうむと頷き顔でカオスな状態であったが……。
アーズビレッチ大図書館はとても特殊なのだ。
それは、人間個人個人に合う本が本人の目の前で神々しく光るということである。
「ここが王立のアーズビレッチ大図書館か」
ぼやりと呟くが然し、返事は返ってこない。それは無理もないだろう。
何せ、父親は自分一人で行ってこいといい、銀貨(多分日本円にして凡そ2000円以上の価値)をもたせて馬車の旅を10日間続けたのだ。因みに母は泣きつく。
一人で旅に行かせられるのはそこまで苦ではない。
くではないのだが、友達の数が圧倒的ほとんどいないパーシバルは考える。友達の作り方を、それはもう切実に考える。
少し現実逃避しかけたが、その内気にも留めなくなると心の中で軽く涙し、思いを断ち切る。
「どれも光ってる本がいっぱいだな」
こんなにも光り輝いているとは思っていなく、正に虚を突いた。
すると、そこを通りかかった大図書館の館長兼司書のルンデル・リリーストが目を白黒させて言った一言が震えていた。
「どれも光っている…………!?それは本当かい、そこの小童よ」
「……?えぇ、確かにどれも光っています」
首を傾げながらも、ルンデルの一言を肯定する。
すると、突然ルンデルが目の色を変え、こう言い放つ。
「小童、主は魔法の修行だけをすりゃいい。さすれば、主はこの世界で魔王を倒しうる存在になるやもしれぬ」
こう言われるや否や、直ぐに本を読み始める。
パーシバルは根っこは集中力を欠くタイプの人間であったが、何故かこの本へは熱心な知的探究心が働き、集中力は欠かなかった。
いや、何かに取り憑かれていたと言っても過言ではないほどにだ。
「リリースト、此れ面白いね」
その時のパーシバルの顔は満面の笑みと、少しの狂気に塗れた顔だったと云う。
その後、パーシバルは光り輝いている数多もの本を読破、それと同時に魔法を最上級魔法まで習得。
因みに、魔法にはいくつかの種類がある。
パーシバルが習得したのは、この世界で最も困難とされる魔法、最上級魔法。
次に上級魔法、超級魔法、中級魔法、師級魔法、初級魔法…………なんと6つもある。
パーシバルはそんな6つものある魔法の最も高いものを覚えたのだが、果たしてこれが強いものなのか、将又使えなくて弱いものなのか。
周りに言うと注目度を増してしまいそうで、パーシバルのやり方には合わないのだ。
パーシバルは結論付けた。
これ絶対バラさない、と。
内心では小心者の上、少しコミュ障がかってるぽいパーシバルではある。
然し、そんなの抜きにしてバラさないと思ったのは本能、いや小心者故にだろう。
グランベルトルを後にし帰路に着く。
少しばかりか、いやとても長居してしまった。それも、家から経って10日程だ。
王都滞在が5日、そして王都からこの村の家の道程まで10日、約1ヶ月である。
まぁ、母は泣きつくだろう。
閑話休題。
村について、我が家にたどり着くと、明かりがついてる。
何時もだったら暗いのに。
人間、どんな世界でもいつもと違うことが習慣の中に起きたら、どんどん悪い方に持っていく性質がある。
今パーシバルが陥っているのはその最たる一つで、焦燥が沸き立つ。
真坂と勘繰るその不安な心を押しのけ、いざ扉に手をかけ一気に開けると、そこには知らない女の子が二人、父と母ぐらいの年齢、つまりは24歳位の人が男女(此れは夫婦だろう)揃っていた。
「…………………え?」
まぁ、お察しのとうり、なんでもないただの偶然である。
このことを話したら、父は呵々大笑として笑い、母は少しクスッとした。
その夫婦の説明がまだだと思い、父に説明を要求した。
「ああ、パーシバル、紹介するぞ。こっちは父さんの妹のカマリナ・リートルヒスタ」
「初めましてかな?パーシバルくん、私はリヒでいいよ」
父の顔は確かに整っているが、そこまでではない。
然し、リヒさんはとても綺麗で、なんだか引き込まれる。
「次は僕だね!リヒの婿になった、カマナリ・フォル。そのまフォルでいいよ!」
朗らかな感じ。
然し滲み出るリア充感。
「私はこの二人の長女、ネールよ。あまり気安く呼ばないで」
早々に否定、然しパーシバルは諦めない。
「じ、次女のヒールなの。お、おねいちゃんはちょっとどころじゃなくて、いつも言い過ぎなの」
ヒールはなんていうか癒し的存在と言った方が適切か?
まぁ、可愛いなうん。
可愛い、可愛い、可愛いは正義!
………………ハッ!
一寸電波が届いてしまった……。
それから寝ることになった。
パーシバルの場所は今は自分に割り振られた部屋。
そして魔法を覚えたのであればやることと言ったら一つしかないだろう。抜け出して夜の特訓。
近くに魔物が出る森がある。
その森の名前は『トラップの森』という。
ピンとこないかもしれないが、この世界には亜人、魔人、魔物、人類の四種族が暮らしている。
その中の魔物とは、土から生まれたり、木から生まれたり、環境から生まれたりと様々。
その魔物を今から倒しに行こうというのだ。
心中を占めるのはちょっとした好奇心とがあるのみだった。
家からこそりと抜け出す。
今から楽しい時間の始まりだ。
この時、パーシバルは見逃していた。
二つの小さいものの視線に浴びせられているということを。
修正 2017/06/11 「グランベルトル」これを「」で囲っていたのを、地名などは『』で統一。




