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夜になっても『手当て』は続けられていた。女騎士は発熱し、血を失ったため顔色も悪い。薬草を取り替え、手当てをしている事で出血は止まっているに過ぎない。


月明かりがケイを照らした。いや、上空から何かが来る。それは神秘的な女性であった。服の裾を下着に巻き込んでいなければ。

「この世界にようこそ、ケイ。私は女神アナストライア。あなたを歓迎いたします。」

雰囲気が神秘的なだけに、服を巻き込んだ姿が情けない。

「えっと、服?」

思わず指指したのは仕方ないだろう。

「?」

指の先を追った女性の視線が下着に気付き、そして悲鳴があがる。

「女、女神に不埒な~。」

女性の右手にハッキリと分かる力が集まっている。

「あっ、死んだな・・・。」

晴天の夜に雷が落ちた。


「このポンコツは、また問題を起こす気ですか。」

目を開けると、先程の女性を踏みつける女性がいた。

「あっ、ケイさんですね。私はこのポンコツの上司にあたります。本来は様々な説明をしたうえで道具・武器を渡し、この下界に送るはずでしたが。このポンコツが居眠りをして何もしなかったため、ご迷惑をお掛けしました。」

「私が寝てるうちに終わったのが悪いんです!」

あっ、頭を踏まれた。

「えっと、その『ダメ神様』?が来る必要があったんですか?」

「無事に説明を終わらせれば減給と始末書で終わらせてあげるつもりだったんです。それをこのポンコツは・・・。」

「えっ?減給されるんですか!?」

あっ、ダメ神様が復活した。あっ、また顔を踏まれた。


「この世界は『力』で構成されています。敵を倒すとレベルが上がったりするのは、相手の『力』を吸収して成長するからです。勿論全ての力を吸収できるわけではありませんが。そして死んで魂となった時に神の元へ『力』は戻ります。日々の鍛練でも成長しますので、神の手元に戻る『力』は大分増えます。ここまではいいですね。」

まるで授業である。

「今現在、私達に敵対する神陣営が現れました。敵陣営に所属する者に倒されたら『力』は敵陣営に渡ります。しかし、貴方はこの世界の者ではない。敵陣営に倒されても、敵陣営に『力』は行かない。貴方の世界の神と取引した私達の元へ『力』と『魂』は戻ってくる。つまり貴方には敵陣営の『力』を奪って欲しいんです。ここまでは事前に説明をしてから、この世界に来る了承を貰うはずでした。」

あぁ、ダメ女神の顔がドンドン地面にめり込んでいっている。

「能力やスキルの説明は省くわよ。敵陣営は古神や新しき神。魔神や悪神は私達の陣営よ。意外かも知れないけど、正義や悪があっての世界。綺麗なだけでは世界は完成しないのよ。

そのうえで貴方は自由でいいわ。なんならそこにいる女騎士を殺して悪の道に走ってもいい。私はお勧めしないけど。 」

女神の例示に戦慄が走る。

「武器と道具はそこに置いておきます。あとは謝罪ね。」

女神はダメ女神から5枚の羽を引きちぎった。ダメ女神が痙攣している。

「何かあったらこの羽に願いなさい。このポンコツの給料差し引きで願いを叶えましょう。無理な願いもありますから分を弁える事です。それと・・・。」

女神はアイアンクローでダメ女神を持ち上げる。ダメ女神は気絶したうえに泡を吹いていた。うん、神様に逆らっちゃダメだね。

「私は忙しいうえ、このポンコツの折檻をしなくてはなりません。失礼します。」

・・・。

2人の姿は消えていた。

質問があったんだが聞ける雰囲気ではなかった。足元にはメモと武器や道具があった。

『片手剣、革の鎧、ハイポーション1、ポーション2、傷薬3を支給。高級傷薬3を特別に支給。金は自分で稼ぎなさい。』

やはり神様は怖い。



革の鎧は上半身だけの物であり、軽くて動きやすい。片手剣は両手で振り回せる重量で、腰に装備をしておく。ハイポーション、ポーションは小瓶に入っており、高級傷薬は貝に封をした状態で、傷薬は貝に入ってはいるが油紙で包んであるだけだ。

傷薬は『薬学の知識』のスキルがどのような物か教えてくれる。作り方もわかるが、同時に材料と道具があっても同等の物を自分には作れない事も分かった。技術も必要だし、非常に手間がかかる代物なのだ。それらを持って陰へと戻る。今は看病が優先であった。

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