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明日からは毎朝6時更新です。
走って、走って、走って。そして騎士は倒れた。無事に逃げ切れたのか。わからないがケイも息があがっていた。座り込んで息を整える。物音は聞こえない。思わず安堵する。
「何だよ、あれは?」
明らかにおかしな存在。いや、あんなものは地球上に存在しない。
「はぁ、はぁ、はぁ。本来は水辺や海上にいる水魔だ。」
わざわざ騎士が回答をくれた。
「そんなのがいるのかよ。いったい、何が起きたんだ。」
「民は何も知らんのか?3年前の神託調査くらいは知っていよう?」
自分の身に何が起きたかをボヤいたのだが、また知らない単語が返ってきた。
「神託調査?」
「知らぬ、か。民へはあえて何も教えていないのか。ならば教える事はできない。」
「???」
なんだ?教えてもらえないのか?
「そうだな。ある戦いでヒノモトの侍は多大な犠牲を出して武と信義を示した。同じ戦いで我が国は無能と恥をさらした。その戦いで助けられた国々がヒノモトに借りを返しにきた。そういう事だ。」
要約しすぎなのか、現状についてはさっぱりわからない。
「そうだ。借りは返さねばならん。たとえ我らが全滅しようとも。」
続けられた言葉は虚空へと消え、ケイには聞き取る事はできなかった。
騎士は起き上がり兜を外す。若い銀髪の女性だ。
「私はもう走れん。お前だけでも逃げるがいい。いずれ敵もやってくる。追い付かれる前に逃げるんだ。」
置いていけるわけがない。いや、置いていくだけの度胸がなかった。見捨てる勇気がなかった。
「肩を貸します。に、逃げましょう。」
「無駄だ。太ももと脇腹をやられている。血を失って死ぬのが先か、血痕を辿った敵に殺されるのが先かだけだ。」
ケイが気付かなかっただけで、騎士の周りには血が拡がっている。
「治癒師でもいれば助かるのだろうが、駐屯地の場所もわからんからな。それとも君の村に治癒師がいるのか?それに私の体力も限界に近いからな。」
「治癒師?」
「近所にそんなスキルを持った人が・・・、さすがにスキルやステータスくらいは知っているな?意識すれば自分のステータスはわかるからな。知らないわけはないよな?」
意識をしてみる。あぁ、ゲームのつもりで設定した内容だ。そんな馬鹿な。
名前:ケイ
性別:男
年齢:16
レベル:1
HP:550
MP:550
体力 10
筋力 10
速度 10
魔力 10
精神 10
運 10
・限界突破
レベルやステータス、スキルの上限を無くする。
・成長促進
レベルアップの際にステータスの上昇値にボーナスが加算される。
・魔の核
瘴気や負の感情を糧に成長するモノ。
・降魔の支配
殺さずに降した者を絶対支配下における。
・英雄憑依
英雄を憑依させる。1度の憑依は12時間まで。1度憑依させた英雄を再び呼び出す事はできない。現在ストックは100人であり、減る事はあっても増える事はない。
・薬草の知識
薬草についての知識を得る。
・薬学の知識
薬学についての知識を得る。
・手当て
手を当てた箇所の傷を治す。効果は低い。
・修復魔法
壊れた物を修復する魔法。時間を戻すわけではないため、新品に戻るわけではない。
ケイは自分の能力を確認する。確認をして、そして走り出した。