始まりの事
地球とは異相にある世界、カンナギ。
科学が発達した地球とは異なり、魔法や錬金術が発達した世界である。科学が発達した事により神々が力を喪った地球とは異なり、カンナギでは神々は実在して畏敬される対象である。
そのカンナギの神々を悩ましている問題があった。それはカンナギの神々が知らないうちに、「知らない大陸」ができていたのだ。地球でいう太平洋に1つ、大西洋に1つ、インド洋に1つ。そこは力ある神々の目を持ってしても子細を把握できない場所であった。カンナギの神々は神官を筆頭とした調査団を派遣。
調査団は敗走し、多くの戦力を喪失した。
そんなカンナギの神々と地球の神々は取引を交わした。
「適応しそうな人間をカンナギに送って欲しい。代わりに神としての力を回復させる神酒を少しだけ送ろう。」
反応した神により、数人の人が神隠しにあった。
これは、そんな神隠しから始まるおはなし。
真っ暗だ。真っ暗だ。
いや、モニターがあった。古い古いデスクトップのパソコンモニターだ。
『これよりメイキングに入ります。熟慮と直感を大事にしてください。』
そんなアナウンスの後、モニターに表示が現れた。まさしくキャラクターメイキング。パソコン初期の時代に流行ったゲームのようである。10面体のダイス2つが振られるが良い数字など出ない。
もちろん99になるまで振り続ける。
そしてその数字を能力やスキルにあてるのだ。
「うーん。普通だと退屈だよなぁ。腕力特化や速度特化はお約束だし。」
何故かそんな考えが浮かぶ。
名前:ケイ
性別:男
年齢:16
体力 10
筋力 10
魔力 10
速度 10
精神 10
運 10
能力は初期値のままにしてスキルに全ての数字を注ぎ込む事にしたのだ。
「全魔法とか最強だよなぁ~。」
1つ1つのスキルを説明までじっくりと読み込んでいく。こんな所に伏線やヒントが隠されてるのも昔のゲームにはあった。時にはネタバレになるものもあったっけ。
限界突破(10)
成長促進(10)
この2つを入れておけば初期の能力の低さは挽回できるはずだ。
でも普通じゃツマラナイ。ツマラナイよなぁ。悩んだ末に
魔の核(50)
降魔の支配(10)
英雄憑依(15)
を選び、残りの数字を
薬草の知識(1)
薬学の知識(1)
手当て(1)
修復魔法(1)
に振り当てて終わる。
世界は再び暗くなっていく。
「起きたら、ゲームの続きをするか・・。」
そんな言葉を最後に全ては闇へと消えた。