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好き嫌い症候群。

作者: 維角

※研究のために使用しているアカウントです。作品に感想を入れてくださると嬉しいです。宜しくお願い致します。


維角さんによる作品です。


この作品は、「コンビニ少女ミエコ+ドクターペッパー(売っていない)+教務主任(村木)」というお題のもと、作られた作品です。

 人の好み何て、人それぞれ違うものだ。キノコ派かタケノコ派か。ミルクコーヒーかブラックコーヒーか。

 それで争いが起こってしまうなら、悲しいものだ。和解なんてないだろう。好み何て、そうすぐに変わるものではないのだから。

「三ツ矢サイダー飲みたい!」

 気まぐれでマイペースな少女は云う。彼女は三ツ矢サイダーが飲みたい気分だった。

 彼女の通う学校にある読書クラブというクラブには、気まぐれな生徒が多く集まっていた。彼女―蒔苗深江子もその一人だった。

「三ツ矢サイダー? ドクターペッパーの方が好きだなあー、私は」

 そこへ、丁度その教室に居合わせていた先生—村木真緒が云った。そんな先生の発言を聞いた深江子は、非常に困惑した顔をした。

「ド、ドクターペッパーですか?」

 村木先生は微笑みながら頷く。同じ読書クラブ部員の少年―東彩俊朗が村木に続いて頷く。

「僕も、ドクターペッパーが好きですね。うん」

「そうだよね! 深江子さん、ドクターペッパーを買って来なかったら、この教室に入れないからね?」

 真剣な顔で少女―蒔苗深江子を見つめる。相当ドクターペッパーが好きらしい。

 困った彼女は、読書クラブの顧問―目白祐海へと助けを求める目で見つめた。しかし彼はそれに気付かず、ネット上の麻雀に熱中していた。もう一人の部員―阿納下さやかにも目を向けるが、彼女はお菓子を頬ぼるのに夢中で、深江子の必死な視線に気付かない。

「……じゃあ行ってきます」

 ぎこちない笑顔で彼女はそう云うと、さっさと教室を出て行った。

 学校のすぐ目の前にあるコンビニへ行く少女。

 コンビニの中に入ると、心地良いメロディーが流れる。そんな入店チャイムを無視し、彼女は急いで飲み物コーナーへと向かう。

(ドクターペッパー、ドクターペッパー……。)

 彼女は飲み物コーナーを右往左往するが、ドクターペッパーは見つからない。

(ない!! ない!!)

 彼女は焦りだす。このままでは教室に戻れない!!

 少女は物凄いスピードで店員へと歩み寄る。

「すいません」

 店員は営業スマイルで少女のほうを向く。吐き気がする様な笑顔だ。頭の中で、この小娘に何を売りつけようかと、考えているに違いない。

「はい、何でしょう?」

「ドクターペッパー、ないんですけど?」

 鬼の様な恐ろしい表情で店員を睨み付ける。

「ああ、ドクターペッパーは現在、在庫を切らしてまして......」

 さも申し訳ないと思っている風な表情で店員は答える。

 折角コンビニへ来たのに、ドクターペッパーがないとは。彼女は一瞬落胆したが、すぐに持ち直した。

(でも、ドクターペッパーを買わずに済んだから良いか......。)

 彼女はドクターペッパーをあっさりと諦めた。しかし、深江子少女は機転を効かせて、三ツ矢サイダーを普段より安く手に入れる方法を思いついたのだった。

「ドクターペッパーがないって、どういうことなんだよ。あアん?」

 店員は焦りながら謝る。しまったと云う表情も伺える。

「謝ってすむ問題じゃねーんだよ! ドクターペッパーはどこだよ、あアん?」

 彼女はふざけて演技をする事が多く、恐ろしい事にその演技は本気に受け止められる事が多かった。その多くは学校でやっているだけで、学校外では初めてだったが、無事成功した様だ。

「すいません、すいません!!」

 店員の肌が死体の様に白くなる。顔の毛穴という毛穴からは汗がだらだらと流れ、コンビニの照明により、きらきらと光り輝きながらコンビニの制服を濡らしていた。

 ドクターペッパーがなかった代わりに彼女は、三ツ矢サイダーとポテトチップスを両方とも半額で手に入れる事が出来た。

 教室に上機嫌で戻り、教室内に居るみんなにいつも通りの笑顔で云う、コンビニ少女・蒔苗深江子。

「ドクターペッパー、なかったよ」

 三ツ矢サイダーは怪しくきらりと光る。


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