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始まり

 野球を初めて観戦した時のことは覚えていない。

 最初に観に行ったのは小学生の時。北海道を本拠地とする前のウォリアーズが近くの地方球場で試合をやるということで野球好きの父親に連れられて観に行ったらしいけど、そんな小さい時のこと覚えていないし、興味が無かったから真剣に見ていなかったのだろう。

 だから俺の記憶に最初に残っているのは、小学四年生の時、ウォリアーズが北海道に移転して初めての年に観た、二回目の観戦の方だ。

 その試合は今でも鮮明に記憶に残っている。

 七回終わってウォリアーズはチャンスを作りながらもゼロ点で抑えられているのに対して、相手のファルコンズは五点挙げていた。

 敗戦ムード濃厚。一方的で面白みも無い上に、相変わらず野球に興味のなかった俺は試合に目もやらずにゲームをやり始めていた。

 そんな中先頭、七番のバッターがヒットで塁に出た。それだけだとさして会場の空気に変化が無かったのに、次のバッターが四球、その次のバッターがヒットとどんどん繋がっていくと会場の空気が徐々に変わっていった。ランナーが一人溜まる度に、起こる大きな拍手と歓声。俺の手は止まり、自然フィールド内に目が行っていた。

 満塁で迎えた次のバッターがフライアウトになると多くの人から溜息が漏れるも、二番に入っていたバッターが初球でセンター前にヒットを放ち、二点を返した。

 更に広がる喜びの声と共に抱き合う観客の姿も多方面から見えた。

 そして次に迎えたバッターは、ツーストライク後も粘った末に四球を奪い取って、再び満塁。そこで迎えるは当時の四番バッター、外人のナニーシャ。

 その時には僕は、前のめりになって完全に二チームの攻防に目が釘付けになっていた。

 そんな中、相手ピッチャーが投げた初球をナニーシャが思いっきり振り抜いた。力強く振られたバットが弾いた打球は距離を伸ばしながらグングンと弾道を上げていく。

 ボールを追っていた相手のセンターが追うことをやめた。

 バックスクリーンに吸い込まれるホームランだった。

 気付けばやったーと喜ぶ父親と何度も手を叩き合っていた。


 ――それが、僕が野球というスポーツにはまった瞬間だった。

 

 

 

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