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ちょっとだけ、人見知りな私の異世界転生~龍神の加護は必要ですか?~  作者: 静樹
第一章 これからの私【幼少期】
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第8話 はしゃぐ私と怯える獣

「フッ♪フフン♪フッ♪フフン♪」


フィリアに誘導され裏手側にあるヒッポグリフの厩舎へ向かっている。


 私の右隣にはリアンが居て、私と手を繋ぎ歩幅を合わせながら歩いてくれ、私はスキップを踏むように軽やかな足取りで厩舎に向かっているのです。

 

本当はスキップを踏みながら行きたいんだけど、一度試しにスキップを踏もうとしたら盛大に転びかけた。


 慌てたリアンが受け止めてくれて事なきを得たから、良かったもののそのまま転んでいたら顔面強打していたに違いない。


 身体がまだ出来上がっていない幼児な私がスキップを踏むなど無理な話しだったのだ。


 こころは大人でも、身体は2歳で、うまく動かせているつもりでも心と身体にズレが生じるのは仕方がない。


 私が転生者で在ることは誰にも話してはいない、話したところで信じて貰えないだろうし、気味悪がられて嫌われるのは絶対に嫌だなぁ~…


 暗い事を考えるのは止めよう、今はヒッポグリフを観に向かっている最中、明るく楽しく行こうじゃない。


(それにしても、リアンの手は暖かくて柔らかい、いつまでも握っていたいくらい、ヒッポグリフに会うの楽しみだな~♪)


 リアンが手を握っている理由、それは落ち着きのないシスティが再び転ばないようにするためなのは言うまでもない。


 浮かれている私をしり目に、隣りを歩いているリアンはある事を心配していた。


(なんか、何時もより漏れでる魔力多くねぇか?)


 このまま厩舎に向かったら、ヒッポグリフ達が興奮して暴れるかもしれない。


(その時は姫様にゃあ悪いが日を改めて、連れてってやるか)



 システィは陽気にリアンは一抹の不安を抱えながら厩舎に向かっている一方、ヒッポグリフの厩舎では今までにない雰囲気に包まれていた。


ガラガラガラ…


 ヒッポグリフの世話係見習いであるミサツミは何時ものように餌の入った台車を引きながら厩舎に向かっていた。


「よーし、今日も元気にヒッポちゃん達のお世話をしますよ~!」


 ミサツミが厩舎の扉を開け中に入ると何時いつもと雰囲気が違っていることに気が付いた、普段であれば早くご飯ちょうだいと騒ぐヒッポグリフ達が静かだった。


「さぁ!みんな~!朝ご飯のじか‥んん?」

「クキュウ…」

「ク、クェー‥」

「・・・・・」


 厩舎に居るヒッポグリフ達に元気がない、まるで食肉として出荷される前の牛や豚のように、今日が自分達の命日だと悟り何もかも諦めたかのごとく生気を殆ど感じさせないのだ。


 人で言ういわゆるお通夜ムードである。


「ど、どうしたんですかぁ~!ご飯の時間ですよ~!もう…、みんな何時もの元気は何処に行ったのです!?」

「おうおう!どうしたんだミサツミ」

「あっ、ドルケさん!」


 ヒッポグリフ達に元気がなくどうしたらいいのか解らずオロオロし始めたミサツミの後ろ、厩舎入口から上司であり城にある全厩舎の総まとめ役を勤めるドルケが声を掛けてきた。


「それがですね…」


 ミサツミは何時ものように朝の餌やりに来たらヒッポグリフ達が元気なく、餌を食べようとしない事をドルケに説明した。



「ハッハハ!ヒッポグリフ達に元気がないだぁ?そんな事は龍でも来ねぇ限りほぼありえねえぞ!」

「ほ、本当なんですよ~!」


 そう言いながらドルケは厩舎の中へと入り、厩舎全体を見回しヒッポグリフ達の様子をうかがった。


「マジかよ!本当に元気がねえじゃないか!」

「だから言ったじゃないですか、元気がないって!」

「う~ん、これは体の調子が悪くて元気無いと言うよりは何かに怯えているみてぇだな!」

「怯えている?普通の冒険者が束になっても適わない程の強さを持つヒッポちゃん達が?」

「前に一度同じようなことがあってな、確かあの時は龍王農園の爺さんが城に野菜や果物を届けに来たんだが爺さんかなりの魔力持ちでな、その高い魔力を感じ取ったヒッポグリフ達が今と同じように怯えてたんだよ」


 龍王農園とはエルテイシア連合国食糧生産量六割を占める巨大農園で、広さは○○ドーム数十個分の広大さを誇る。


「龍王農園のお爺さんて、あの噂のお爺さんの事ですよね?」

「ああ、魔力と気力が充実しすぎて正体は龍なんじゃないかって噂の爺さんだよ!」

「じゃあ~…、ヒッポちゃん達が怯えているのは近くにそのお爺さんが来ているからなんですか~?」


 ミサツミの質問にドルケは首を横に振った。


「いや…、それは無いな!」

「何故ですか~?」

「爺さんが来た時怯えて居たのはヒッポグリフ達だけじゃなかったんだよ、馬や番犬達城にいる動物全て怯えきって居てな静かなモンだった」


 ドルケがヒッポグリフの厩舎に来るまでに見た限りだとそんな様子は無かった、怯えているのはあくまでヒッポグリフ達だけでありその外はいつもどうりに元気いっぱいに餌を食べて居た。


「ヒッポグリフ達が怯えているのはもしかしたら誰かが意識的に強い魔力をここに向けて放っているからかもな!」

「誰がそんな事をやって居るんでしょうねえ~?」

「城の中でヒッポグリフ達を怯えさせる程の魔力持ちといゃあ…、国王様と姫様ぐらいしか思い浮かばねえな!」


 国王様がそんなイタズラをする訳はないし、考えられるのは魔力制御や感知が出来ない姫様だが…、まだ幼い姫様を護衛役の2人がここに近付けさせる訳が無いだろうとドルケは考えて居た。


 しかし、事実は違う。


 ヒッポグリフに会えるとはしゃぐシスティと護衛役のリアン達が今正に厩舎へ向かっている最中なのである、しかも魔力を大量に放出しながら。



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