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ちょっとだけ、人見知りな私の異世界転生~龍神の加護は必要ですか?~  作者: 静樹
第一章 これからの私【幼少期】
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第7話 騎士王の伝説?その3

 フィリアは左手を腰にあて、右手の人差し指をピッと立て少し前屈みになりながら、1つ豆知識を教えてくれた。


(うん、可愛らしいね!)


「伝説について説明する前に1つ豆知識を、私達が住む首都の名前は知ですか?」

「首都の名前?え~と、確か…、ベルセリアだったよね?」

「はい、その通りです!」

「首都の名前がどうかしたの?」


「名前の由来がですね、初代さまの名前と通り名から来ているのですよ」

「名と通り名?」


 (通り名…、通り名ねぇ…、伝説として語り継がれるくらいだから立派な通り名なんだろうな~!)


「初代さまはかなりの戦闘好きでして、当時はまだ小国間での争いが絶えず、エルテイシアと言う一つの国を立ち上げる前、小国各地の戦場を傭兵として駆け回っていたそうです、その時に付いた通り名が戦闘狂ベルセルク、そして初代様の名はリア・ルドラ、その二つを合わせ、縮めて今の首都の名前になりました」

「へぇ…、そうなんだ…」


 初代の国王が戦闘狂だなんて…、よく国を立ち上げる事が出来たものだ、国を立ち上げるには、多くの人、土地、お金が必要になる。

 

 傭兵として戦場に出ていたのなら、ある程度のお金は在ったのだろうが、土地と人はどうしたのだろうか?



「初代って怖い人だったんだね…」

「いえいえ、戦闘狂などと呼ばれてはおりましたが、普段は優しい妹思いのお姉さんだったそうです」

「お姉さん?、初代って女の人なの?」

「はい、女性ですよ、初代国王リア様は戦争で両親を無くし、唯一の家族である妹を養う為に傭兵となり戦場を駆け、独学で魔術を学び、剣術を磨き上げ、戦場ではほぼ敵なしと言われておりました!」


(おぉう…、フィリアがいつになく熱くなっている)


 

 もしかして、妹の為に危険な戦場に赴き勇敢に戦う優しい姉と、その帰りを待つ妹と言う部分にロマンを感じているのだろうか?


 ここまでの話を聞くと、なんか小説や漫画でよくある話だな、日本だと戦国時代に当たるお話なんだろうね、と言うか、伝説についてはいつ説明はいつするのかな~?


「それで、初代国王の伝説ってどんなものなの?」

「はい!初代国王リア様がお立てになった伝説とは、首都から馬の足で約1ヶ月掛かる山奥に、龍の渓谷と呼ばれる場所があるのですが、そこに住む龍達に単騎で挑み……」

「え!ちょ、ちょっと待って、龍達の巣に1人で向かったの?」

「いえ、正確には、相棒パートナーのヒッポグリフと共にですね!」


(ヒッポグリフ?グリフォンじゃなくて?)


 ヒッポグリフ、確かグリフォンと馬のハーフだよね、天敵と被食者のハーフって複雑な感じ、性質はグリフォンを色濃く受け継いでいて肉食で、誇り高く、近ずく時は視線を外さず礼儀正しく悪意がないと示しながら近ずく、だったかな?


それと、グリフォンより獰猛性は低く、乗馬に適しているらしい。

日本に居た頃に読んだ、有名小説にはそう書いてあったはず…。


(自分で催促したのに、話を逸らして別の話題に食いついちゃった、好奇心には勝てないヨネ!)



「ヒッポグリフなんて、よく、手懐けることが出来たもんだね!」

「リア様が戦場から拠点としていた街へ帰還する途中、街道脇にある森の中で、数人の男達が何かを取り囲み、騒いでいて、気になって近くの茂みから覗き込んだ所、まだ幼い、子供のヒッポグリフが翼や足に傷を負い倒れており、男達は殺して素材を売り飛ばすか、生かして貴族に売りつけるかで揉めていてそうです」

「うんうん♪それで、どうしたの?」


(あ~あ、また、姫様の悪い癖が出やがった!)


 フィリアの奴も真面目に答えんなよ、後で説明してやればいいだろう、伝説を教えるなら教えて、終わった後に疑問に答えてやればいいのによ、姫様は少しでも興味を持たれると、本題そっちのけで話の腰を折り、大事な本題を忘れ脇道に逸れて行き、本題を話せず1日が終わる事は何度かある。


 俺の場合は大事な話をする時、お菓子とお茶を用意し、話が逸れそうになったら姫様の頭を優しく撫で『後で説明してやっから、大人しく話を聞いてくれよな!』っと言い宥めてから話を続ける。

 

 フィリアには、『姫様の頭を気安く撫でるなんて、恐れ多い事は辞めて下さい!』と怒られたが、姫様は頭を撫でられるのが気持ちよくて好きらしい、フィリアには秘密で教えてはいないが、姫様が寝付くまで頭を撫でるのが、最近の日課になっている。


(まっ、今回はこのまま話させてやるか…)


「リア様が覗き込んだ時、丁度倒れていたヒッポグリフと目が会ってしまい、リア様に気が付いたヒッポグリフが助けを求めるように大きく鳴き声を上げ、立ち上がり、リア様がいる方へよろめきながら必死に走り寄って来て、自分達以外に誰かがいることに気が付いた男達は剣を抜き、逃げるヒッポグリフの後を追いかける形でリア様へ襲いかかって来ました」


 野生の魔獣が人に助けを求める事が果たしてあり得るのかな、生きるか、死ぬかの瀬戸際故の選択なのかもしれないが、不自然な事に代わりは無い。


「ヒッポグリフはなんで初代に助けを求めたのかな?」

「リア様は幼い頃から魔獣に好かれ易かったそうです、拠点の街に妹であるエスティ様が勤める孤児院が在り、其処にはリア様が拾ってきた魔獣が数匹飼われて居ました」


 それってかなり危ないのではないのかな、どんな魔獣かは解らないけども孤児院にいる子供達や街の住人達を襲ったりはしなかったのだろうか?


「孤児院に魔獣?危険じゃないの?」

「いえ、リア様が拾ってきた魔獣達はリア様の言うことを忠実に聞き入れ、子供達の遊び相手や警護をしていたそうです!」


 野生の魔獣が人の言う事を聞き、大人しく従うなんて普通は有り得ない、初代が何かしらの加護を受けているのならば別だろうが。


「魔獣が人の言う事に大人しく従うなんて不思議だね!」

「その訳については後程お教えしますね、リア様は襲いかかって来た男達全員を叩きのめし、返り討ち

にした後でヒッポグリフに治療を施し連れ帰り、自分の愛馬として育て上げました」

「ヒッポグリフを愛馬にかぁ…、良いなぁ~!」

「姫様、ヒッポグリフに乗ってみたいのですか、でしたら城に5頭ほど居りますので説明を終え、朝食をお取りになられてから見に行きましょう!」


(城で飼っているヒッポグリフが居るのね、城の警備兵の騎馬なのかな?)


「うん♪見に行く~!」

「では、続きをお話ししますね、龍の渓谷に向かい龍達に戦いを挑んだリア様でしたが結果は戦いにすらなりませんでした」

「それは龍達が強過ぎて戦いにならなかったの?」

「いいえ、戦いを挑もうとした瞬間に全ての龍がリア様に向かい頭を下げ降伏して来たと聞いています」


(嘘でしょ!!誇り高き龍が人間に対して頭を下げ降伏して来るなんて信じられない!)


「どうして龍達はそんな行動にでたのかな?」

「真実かどうかは別としまして、降伏して来た龍達の中から二頭の龍がリア様の目の前まで来て片方の龍がこう告げたそうです」


『我等が神、神龍セピィリトスの加護を受けし乙女よ、何を求め此処まで来られたか?』っと!


(神龍セピィリトス?いったいどんな姿形をした龍なのかな?)


「初代はそもそも何の為に龍の巣に向かったのかな、自分に何らかの加護が与えられているのに気が付いてそれを確かめる為に向かって行ったの?」

「いいえ違います、リア様は永く続く各国の争いを終わらせる為、龍達に力を貸しては貰えまいかとお願いするために赴いたのです」


(つまりは、自分に神龍から加護が授けられているのをその時に知ったのね…)


「そうだったんだ、でも、神龍の加護なんていつ授けられたのかな?」

「その疑問については今からお話ししますね、龍からの問に驚いたリア様は何故自分に神龍の加護が与えられているのかと逆に質問を返したのです!」


『私に何故神龍の加護が与えられているのですか?』


「龍はこう答えます!」


『神龍様は預言なされた、われが見初めた魂の輝きを持つ者、人間の争いを治めんがためいずれ此処にやって来るだろう、その時、里で最も強き龍であるお前達が試練を与えよ、その者が試練を乗り越えたのならばその者と契約し、力と知識を与え共に生きよ、その者にはすでに我の加護を与えてある、来たのならば一目でわかるだろうと仰られた』


(つまり初代は産まれた直後、その魂の輝きを感じ取った神龍に一目惚れされたってことかな?)


「初代が授かった神龍の加護ってどんなものなの?」

「神龍セピィリトスは全ての龍の母と象徴される存在です、その神龍からリア様が授かった加護は信愛と慈悲、全ての者を惹き付け愛されるそんな加護です」


(あっ、なんかそれ羨ましいかも…)


 もしも私がそんな加護を持っていたら、見た目の可愛らしい魔獣を集めて一日中モフモフしてみたい、日本にいた頃は一切動物に懐かれなかったし…


「それで、初代は試練に合格出来たの?」

「はい、リア様は二頭の龍からの試練に見事、合格することが出来ました、ただ試練の内容がどんなものだったかは記録がございません!」


 記録が無いのは残念だな、偶然なのか、意図的に残さなかったのかは分からないけど、内容は知りたかったな。


「二頭の龍と契約したリア様は各地で起こる争いを二頭と共に収めて回り、その姿に惹かれ、憧れた人々が集まり一つの小国を立ち上げました、それがこの国エルテイシア連合国の始まりです」

「それが初代の伝説なんだね…、話は戻るけど鏡に映っていた鎧が初代の着ていた物と同じなのは本当なの?」

「細部に違いが有りますので、似て非なる物だと思われます!」


(う~ん、全く関係ないとは思えないのだが、リアンにも聞いてみよう!)


「ねえ、リアンは鎧についてどう思う?」


 リアンの意見を聞こうとしたら、いつの間にかリアンが居なくなっていた。


「あれ?リアンは?」

「そういえば、いつの間にか居ませんね…」


 不思議に思っていると扉を開けてリアンが入って来た。


「姫様、フィリア、朝飯作って来たぜ!」


 リアンは朝食の乗ったカートを押し、部屋にあるテーブルまで行き、料理を並べ始めた。

匂いに釣られ思わずお腹がクキュ~と鳴ちゃったよ。


「わ~い♪リアンの作った朝食だー!」

「今日のメニューは野菜のスープとフィッシュサンドだぜ!」


 私はすっかり鎧の事を忘れ、朝食を食べた。


「うん♪やっぱりリアンの作った料理は美味しいね、これなら立派なお嫁さんになれるよ!」

「ほ、褒めたって何にも出ねえぞ?」


 リアンは否定してるけど、尻尾がピンと立ち、耳がピクピクと動いているので喜んでいるのはバレバレである。


(うー、私だって、料理が出来れば姫様に食べていただきますのに…)


 私が料理を作ると何故か失敗する、ちゃんと教わった通りに作っているはずなのに、黒こげた物体しかできない。

男勝りな姉が料理上手で、妹である私が料理下手なんて納得できません。


「ごちそうさまでした!」

「おう、お粗末さま!」

「では、食器をお下げしますね」


(朝食も食べ終わったし、早くヒッポグリフを見に行こう!)


「フィリア~、朝食も食べ終わったからヒッポグリフを見に行こうよ!」

「分かりました、リアン、行きますよ」

「大丈夫かよ、ヒッポグリフの所に姫様を連れてって」

「平気ですよ、私達が側にいるのですから」

「そりゃあ、そうだが…」

「リアン達が一緒なら安心だよね、だからお願い連れてって」


 私はリアンのメイド服の裾を掴みながら上目使いでお願いしてみた。


(リアンって以外と押しに弱いからこれでいけるはず!)


「う…、分かったよ見に行こうぜ」

「よーし、それじゃヒッポグリフを見に行こう!」


(ふふ、チョロいね!)


 さてさて、生のヒッポグリフはどんな姿なのか楽しみだ。


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