第3話 お姫様な、私のスローライフ?
私が転生してから約一週間が過ぎた何故、約が付くかと言えば私が1日の大てい眠って過ごしていたからだ。
べ、別にやることが無くて暇だからっ寝てたワケじゃないよ?
赤ん坊である私に出来る事なんて凄く限られているのだからね!
だからと言って何もしなかった訳じゃ無い、世話役のメイド達などから情報を集めたり、目も見える様になって来てからは自分が居る部屋がどんな感じなのかを観察して観ることにした。
まだ自分では起き上がれ無いから、首を動かし見回して観た、広い、広すぎる。
赤ん坊である私一人が使うにしては広すぎる、前世で私が住んでいた家がほぼすっぽりと入るくらいだよ!
庶民の私にとってこの広さは落ち着かない事この上ない、赤ん坊に与える部屋じゃ無いよ!
流石王族だわ、スケールが違うね!
趣味の悪い家具類が置かれた部屋じゃ無いだけマシだ、金の装飾が施された家具は明かりを灯す蝋燭台とランプ以外無く、木に綺麗な彫刻が施された家具が幾つか置かれた落ち着きの在る雰囲気の部屋だった。
世話役達の会話から解った事は2つ、国の名はエルテイシアと言うこと、私の今世での名前がシスティと呼ばれている事の2つだ。
情報が少ないのは仕方がない、部屋の外に出る事はめったに無いし、外に出るためには人の手を借りなきゃいけないし、神様がくれた特典で言葉は理解出来ても、赤ん坊である私は話す事が出来ないから頼めない。
昨日は、母さまに抱かれて城内に在る庭園に在る花壇の花を観に連れて行って貰った時に始めて父親である王に会うことができた。
私が産まれた際、会っているかもしれないけど母乳を飲んで満腹感によりすぐ眠ってしまったので解らない。
「おお!、カティアよ、我等の娘は今日も元気であるか!」
「はい、私達の娘、システィは元気ですよ!」
「うむ!顔立ちはお前に似て愛らしくも美しい」
「いえいえ、目元はあなたにそっくりですよ、バルトス」
「何を言う、鼻立ちなどはお前にそっくりではないか」
(うわぁ…、恥ずかしいなコレは!)
私の顔立ちのどの部分が自分達と似ているか、似ていないかを言い合う様子は端から観たら微笑ましい光景だろうが、当事者である私は恥ずかしいったらありゃしない。
2人とも美男、美女なのだから。私が美少女に成長するのは間違いない。
でも待てよ、私まだ自分の顔を見たことが無い!
私の部屋には鏡が無いから確認が出来ない、城のどこかに幾つかあるはずだ、喋れるようになったら私の部屋にも鏡が欲しいとお願いしてみよう。
しかし、元居た世界では当たり前に鏡が在ったけど、この世界だと貴重品かもしれない。
数日おきに庭園に連れて行って貰って、季節ごとの花を観たり、庭園内に在る小さな果樹園に行って果物のすり下ろしを食べたりした
その際、父さまも一緒に庭園内を散歩し、散歩をしてる最中、母さまが父さまの腕をずっと抱くようにして歩いて居た、その間、私は父さまの空いている方の腕に抱かれて移動した。
父さまの腕の中は暖かくてとても安心できた。
その後も何度か似たような事があった。夫婦仲がいいのは構わないけど、子供の前で腕を組ながら歩くのは止めて欲しい。
(そういえば、今まで気にして居なかったが、世話役のメイドって何人居るのかな?)
(暇だし、何人居るか数えてみよう!)
数えて観た結果、3人居ることが判った。その内1人が人間で、残り2人は獣人だった、人間のメイドの見た目はだいたい20代後半~30代前半ぐらいで、なかなかの美人さんで、綺麗な翠玉色の髪を後ろでまとめてポニーテールにしていた。
名前はアステル、この人真面目なのはいいけど、部屋の掃除と食事の世話、オムツの取り替えしかしてくれない。
獣人の方2人は身の回りの世話以外に、よく私と遊んでくれる。
双子の猫人間で姉の名前がリアン、妹がフィリア、2人とも顔立ちは整っているけど美人と言うより可愛らしい感じの2人だ。
年齢は15歳~18歳ぐらい。
ちなみに、2人の見分け方は赤髪ロングストレートで勝ち気な性格なのがリアン、青髪ショートでお淑やかな性格なのがフィリア、顔は同じなのに性格とかが正反対で見分け易い。
体の一部分の大きさも違ってて、フィリアの大きさは共感を覚える。
後で知ったことたことだが、リアン達姉妹は私の護衛役で、母さまが世話役もやって欲しいとお願いしたみたいだ。
私が産まれてから2年が過ぎた、2歳の誕生日を迎え、祝うために誕生祭が2日間に分けて開かれる事になり、始めて国民の前に出る事になった。
去年は大勢の人の前に出るのは嫌だと大泣きしてやり過ごしたが、今年はどうしてもと、父さまや母さま、私の護衛役で姉のように慕っているリアン達に頼まれてしぶしぶ出る事にした。
今回の誕生祭に出席する代わりに鏡が欲しいとお願いしておいた。去年は拒否するので精一杯で、忘れていた。
人見知りな私にしては良くやった、午前の誕生パーティーで挨拶して来た貴族達や隣国の友好関係にある王族達へ、ぎこちなく挨拶を返したり、会釈したりした後に軽い食事を取った。
「こ、此度は私の誕生パーティーにご来賓いただきありがとうございます」
「此方こそ、お目にかかれて光栄です。システィ姫殿下!」
翌日、国民の前に父さま達と出て挨拶をして、手を振ったら大きな声で歓声が上がった。
「皆さま、今日は私、システィ・ルド・エルテイシアの誕生日を祝うために集まっていただきありがとうございましゅ!」
(最後の方、噛んじゃった!)
「「うぉぉお!姫様ーーー!」」
「「キャーッ!姫様こっち向いてーーー!」」
うわっ!びっくりした、驚きで心臓が止まるかと思った。
何、このアイドルのコンサート会場に来る熱狂的ファンみたいなノリは、正直に言うと、今すぐ部屋に戻りたい。
でも、戻る訳にはいかない。私の誕生日を祝うために集まってくれた国民から逃げるなんて、王族として恥ずべきことだから…、王族らしく、最後まで堂々としていよう。
(頑張れ、私のメンタル!)
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誕生祭を終えた私はぐったりしていた。
(わ、私はやり遂げた、最後までやり遂げたよ!)
国民達や他国の貴族、王族の前に始めて姿を見せる緊張感と羞恥心で精神的にも、肉体的にも、私は疲れきってしまった。
「姫様、立派だったぜ!」
「えぇ、姫様は立派に務めを果たしておりました」
「そんな事ないよ、緊張してガチガチだったし、国民に挨拶した時だって、最後の方噛んじゃったもん」
疲れきった私は部屋に戻り、フィリアに膝枕してもらいながら、ベッドに横たわっていた。
(い、癒やしが欲しい!私の心に癒やしを……!)
(そうだ!こんな時は、ケモミミをモフモフして癒されよう!)
「ねぇねぇ、リアン~、お耳触らせてちょうだ~い!」
「しょうがねえなぁ~!少しだけだぜ、ほらよ!」
「やったー!ありがとー!リアン大好き!」
リアンは私が触りやすいように、体を後ろ向きにして、そのままベッドへ仰向けにゆっくりと私の隣に横たわった。
「エヘヘ、じゃあ、お耳触らせてもらうね!」
「本当に、少しだけだからな!」
「わかってる、初めてだけど、痛くしないから大丈夫だよ?」
「・・・」
「姫様…、それは女の子が言うセリフじゃないですよ・・・・!」
私の発言に、リアンは真顔になり、フィリアは呆れ顔で私を覗き込みながら注意して来た。
自分の発言に少し恥ずかしくなったが、気にせず耳をモフるとしよう。
(ふわぁ~あ、リアンの耳って毛並みがシルクみたいで気持ちいい~なぁ~!)
あまりにも触り心地が良くて、つい夢中になって触ってしまった。
耳を触っている間、リアンは最初はくすぐったそうに声を上げたり、身をよじっていたけども、最後の方はちょっとぐったりしていた。
(調子に乗って、耳を甘噛みしちゃった。テへへ♪)
「ン、ちょっと、姫様?」
スリスリ♪
「あっ、マ、マッテ、そんなにしたら!」
フニフニフニ♪フニフニフニ♪
「も、もういいだろう?勘弁してくれ、これ以上はムリー!!!!!!!!」
スリスリ♪フニフニ♪ハムハム♪
(顔が赤く、瞳が潤んでいた気かするが気のせいだろうか?)
満足した私はそのまま眠ってしまった。
翌朝、私は息苦しさで目が覚めた、何だろうこの暖かくて柔らかい物は…、ともかく息苦しいし、手でどかそうとしたら。
頭の上の方から声が聞こえた。
「ううん…、姫様?目覚めたのか?」
私の顔を包み込んでいた柔らかい物の正体は、リアンの胸だったみたい。
息苦しいので離れて欲しいと伝えるとすぐに離れてくれた。
「わりぃ、姫様が眠った後に俺も寝ちまったみたいだ!」
「気にしなくていいよ、耳、触り過ぎちゃってゴメンね…」
「べ、別に嫌じゃなかったから良いぜ、気持ち良かったしな!」
リアンは白い歯を見せながらカラッと、笑っていたけど、少し頬が赤く染まっていた。
「あれ、フィリアはどこ?」
起き上がった私は部屋の中を見回し、フィリアがいないことに気がついた、何処に行ったのかなと思っているとドアをノックする音が響き、部屋の中にフィリアが大きな布包みを持って入って来た。
(あの布包み、フィリアの身長くらいの大きさだけど重くないのかな?)
忘れていたけども、この世界には魔法が存在しているのだから、魔法で身体能力を強化して、重たい物を持ち上げる事は簡単に出来るんだろう。
そうであって欲しい。
(もし、フィリアの服の下が筋肉質な体だったら嫌だよっ!)
「姫様、リアン、起きていらしゃいますか?」
「うん、私もリアンも起きてるよ!」
「ああ、俺も姫様も起きてるぜ!」
「ねぇ、フィリア、その布包みは何?」
「フフ、これはですねぇ…、姫様が欲しがっていた物ですよ」
(欲しがっていた物?何だっけ?)
「もったいぶらず、教えてやれよフィリア」
(リアン、ナイス、グッジョブ!)
正直、寝起きで頭が働かない。思い出しそうで、思い出せない感じ!
誕生祭に出る代わりに何かを要求したのは覚えてる。私の記憶力大丈夫か?
「わかりました、姫様、これは鏡ですよ」
「鏡?そっか、欲しいってお願いしてたっけ」
これで、やっと自分の顔を確認する事が出来る!
(あれ?そう言えば最近見ないがアステルは何してるのだろうか?)
何故にここまで遠回りしたのだろう?
自分の顔を確認するだけなのに時間かけすぎだ!