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ASeSiN0〜刺客〜  作者: くらしかる
2/6

Cocking

多機能ゴーグル"NOVA"の機能は以下の通り


・通信機能

・ライト

・ディスプレイ

・ハッキング

・生存確認


荒廃したこの世界において必需品である!

カウンターアサシン...奴らが狙うのはアサシンだけ...暗殺者返しというよりは、対暗殺者専門暗殺組織。

そして、さっきのラジオはカウンターアサシンの流した偽物。そして、私はここに逃げ込んだんじゃない。連れてこられたんだ。つまるところ、次の獲物は...私だ。

この手法、聞いたことがある。狙われたアサシンの死亡率100%。ターゲットはいつの間にか死んでいる。銃声もなく、足音もしない。でも眉間に開いた風穴はそれが銃殺であることを物語る。そいつは本名や性別はおろか、実在すらわかっていない。単独なのか複数なのか。謎は多く、何もわからないまま10人が殺された。付けられたコードネームはGhost(ゴースト)

足が竦む...。息が吸えない...。こんな私を影から見て、いたぶっているのだろう。どこだ、どこにいるんだ。

"カチン"

トンネルの中にマガジンセットの金属音が反響する。思考は止まった。にげるか...?どこに?外に出たら開けた川だ。恰好の的になってしまう。脇道はない...。奥に逃げるしかない。銃を持つ手が震えて狙えない!いや殺せ、殺すんだ。それしか生きる道はない。

ピンクのダウンを脱ぎ捨て黒の仕事着に袖を通す。奴を殺すんだ。音を立てないように進む。息を殺し、姿勢を低くして。自然と力が抜けていく。全神経を聴覚に集中させ周囲を警戒する。この暗闇で視覚は頼れない。敵の気配はない。息遣いや足音もしない。ただ、殺気だけが暗闇を満たしていた。


"カチ、カチン"

奴がコッキングした!奴の場所は...!

身体中に悪寒が走る。

すぐ...後ろ...。


距離にして30cm。後ろを取られた?!でもどうやって?後ろは逐一クリアリングしたし、物音はしなかった?なぜ奴はそこにいる?!

いや、そんなこと考えても仕方ない。奴はそこにいるんだ。いる以上実体はある。ならば...!


しゃがみこみながら右足を軸に左回し蹴り。


......。

蹴りは空を切った。


目の前にはなにもみえない。ただ暗闇が広がる。


"カチャ"

後頭部に硬くゴツゴツとした金属が押し付けられる。感覚でそれが銃口であることはすぐに悟った。


不思議と恐怖は消えていた。あるのはこれで終わりだという悲壮感だけ。M93Rの引き金は一層硬くなり、心は死を受け入れた。

「ラファーガ、だな?」

小さく頷くとそれは続けた。

「なぜ人を殺す?」

なぜ....か。そんなこと考えたこともなかった。その答えは必要なかったから。

変声機を通した無機質な含み笑いをした奴は続ける。

「我々はお前らのように心を悪魔に売り飛ばした愚者を裁いている。すべては日常のために。」

逃げられ...ないのか。

「しゃがんでいるのも辛かろう、膝まずけ。そして頭の後ろに手を回すんだ。すぐ終わるさ。」

くそっ!何かないか?私の視界を取り返してくれる何か!

立て膝の姿勢に足をまわす。

"チャプン"

何かが足に当たった。角張った瓶だ。もしかして...?!

渾身の力を振り絞り、瓶を反対の壁へぶん投げる。

"パリンっ!"

瓶が割れる。

「何をした?」

奴が反応する。視線は誘導できた!手元に銃を引き寄せる。そして、割れて中身が飛び散ったであろうポイントに3点バーストを撃ち込む。

運がよかった。中身はウィスキー。気化したアルコールに火がつき、辺りは淡く照らされた。壁も、地面も、Ghost(お化け)も。

奴は実在した。炎に照らされたGhostは存外に小柄で身長は160cm前後、黒い防弾チョッキに身を包み、暗視ゴーグル、黒いヘルメットといったもので完全に闇と同化していた。そして手にはL字型のこん棒...いや、Welrod、立派な銃が握られていた。英国軍が開発した銃で32ACP弾を使用すれば銃声は囁き程度の音量になる。奴はなぜ至近距離で攻撃するのか、やっと答えが出た。銃の特性上、至近距離でしか使えなかったのだ。

しかし、先に聞こえたコッキングの音はなんだ?Welrodのコッキングは極めてしずかで、あんな金属音などする筈がない。つまり奴はもう一丁銃を、戦闘用の銃を持っている。しかし、奴との間合いは距離にして3m...。充分Welrodの有効射程だ。

どっちでくる...?!奴の銃口が動き始める、私の眉間に向かって。


今だ!


消えかかる明るみとは逆の暗闇へタックイン、そして壁を蹴りつけ奴に飛ぶ。フェイントの右フックを見切らせWelrodを握る右腕にニーキック、ヒット。そのまま左の裏拳!かわされる。間合いが開いた隙に奴が左腰の拳銃に手を掛ける。

"させるか!"

不思議と足元の石に自然と手が伸び、投げた石は銃をとる右手にヒット。

「うっ」

そう短く怯んだすきに水月に突き蹴りを食らわす。

辺りの小石をまき散らしながら奴は倒れた。そこでマウントをとり、奴の顎に銃口を押し当てた。

ゆっくりと奴の暗視ゴーグルと変声機に手を伸ばす。ゆっくり、ゆっくり。奴は抵抗しなかった。まるで電源が落ちたかのように。そして暗視ゴーグルを取るとGhostの素顔が姿を表した。消えかかる炎にかろうじて照らされるまだあどけなさが残る瞳には純粋な少女のそれと共に、激しい憎悪と絶望、その歳にして世界の真髄を知ってしまった悲しみが混沌と渦巻いていた。そして、その瞳には微塵の恐怖もなく、同時に一筋の光すらなかった。

そして、その少女とは初対面ではなかった。

そう、あの時の...。

ラファーガの使う武器紹介!


L118A1

英国軍が使用していたスナイパーライフル。

ボルトアクション式で装弾数は10発

彼女は長距離の狙撃以外サプレッサーを装着している。


M93R

対テロ用に開発されたハンドガンで3点バースト。拡張マガジンで15発に装弾数を拡張している。

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